第1部 第4章 第1節 国有林野の役割(1)
(1)国有林野の分布と役割
国有林野は、758万haの面積を有しており、これは我が国の国土面積(3,780万ha)の約2割、森林面積(2,505万ha)の約3割に相当する。土地面積に占める国有林野の割合は地域によって異なり、北海道森林管理局及び東北森林管理局管内では3割以上であるのに対し、近畿中国森林管理局管内では1割未満等となっている(資料4-1)。
国有林野は、奥地脊梁(せきりょう)山地や水源地域に広く分布しており、国土の保全、水源の涵(かん)養等の公益的機能の発揮に重要な役割を果たしている。また、国有林野は、人工林、原生的な天然林等の多様な生態系を有し、希少種を含む様々な野生生物の生育・生息の場となっている。さらに、国有林野の生態系は、里山林、渓畔林、海岸林等として、農地、河川、海洋等の森林以外の生態系とも結び付いており、我が国全体の生態系ネットワークの根幹として、生物多様性の保全を図る上で重要な位置を占めている。
一方、国有林野は都市近郊(北海道野幌(のっぽろ)、東京都高尾山(たかおさん)、京都府嵐山(あらしやま)等)や海岸付近(福井県気比(けひ)の松原、佐賀県虹(にじ)の松原等)にも分布し、保健休養や森林との触れ合いの場を提供している。
このような国有林野の有する公益的機能は、広く国民全体の利益につながるものであり、昨今の頻発する自然災害への対応や地球温暖化の防止に対する国民の強い関心等も踏まえて、適切に発揮させることが求められている。
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