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林野庁

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第1部 第 II 章 第4節 国際的な取組の推進(4)

(4)我が国の国際協力

我が国は、持続可能な森林経営等を推進するための国際貢献として、技術協力や資金協力等による「二国間協力」、国際機関を通じた「多国間協力」等を行っている。

2016年の世界の森林分野の政府開発援助による拠出金6億4千万ドルのうち、我が国は3千6百万ドルを拠出しており、フランス、ドイツ、英国に次ぐ世界第4位の金額を拠出している(*173)。


(*173)OECD Stat



(二国間協力)

我が国は、「技術協力」として、JICAを通じて、専門家派遣、研修員受入れ及び機材供与を効果的に組み合わせた技術協力プロジェクト、開発計画調査型技術協力、研修等を実施している。平成29(2017)年度には、ソロモン諸島等で新たに森林・林業分野の技術協力プロジェクトを開始した。平成29(2017)年12月末現在、森林・林業分野では、18か国・地域で20件の技術協力プロジェクトを実施している。林野庁からは、JICAを通じて、6か国・地域に8名の専門家を派遣している(資料 II -39、事例 II -8)。

「資金協力」としては、供与国に返済義務を課さない「無償資金協力」により、森林造成プロジェクトの実施や森林管理のための機材整備等を行っている。また、JICAを通じて開発資金の低利かつ長期の貸付け(円借款)を行う「有償資金協力」により、造林の推進や人材の育成等を目的とするプロジェクトを支援している。

さらに、日中農業協力グループ会議及び日韓農林水産技術協力委員会を通じ、日中及び日韓それぞれの間で、農林水産分野に関する試験研究の動向について意見交換を実施している。

事例 II -8 インドネシアにおける森林からの温室効果ガス排出抑制に向けた体制構築のための支援

インドネシアは世界第3位の熱帯林保有国であり、豊かな生物多様性を有しているが、1970年代前半からの森林開発や、森林・泥炭地における火災の多発等による森林の減少・劣化、それに伴う温室効果ガスの排出が大きな課題となっている。インドネシア政府は、REDD+の活動の実施を通して、これらの課題に対応しようとしている。

我が国は、2013年からJICAを通じて長期専門家等を派遣し、インドネシアで2番目の面積を有するカリマンタン島の西カリマンタン州において、州の行政組織や国立公園の職員等に対する能力強化、森林の減少・劣化に関するデータの把握、REDD+の制度的枠組みの整備等、REDD+の実施体制の構築を支援している。

このような活動を通じて得られた成果を、インドネシア全体のREDD+の体制整備に活用することにより、インドネシア国民自らが森林資源の管理を通じて熱帯林を保全していくことが期待される。

西カリマンタン州の政府・NGO等の関係者間の森林減少抑制のための会議
西カリマンタン州の政府・NGO等の
関係者間の森林減少抑制のための会議


プロジェクト活動支援成果の一つである、「西カリマンタン州の2012年から2030年までの森林からの二酸化炭素排出量試算(2016年作成)」
プロジェクト活動支援成果の一つである、
「西カリマンタン州の2012年から2030年までの
森林からの二酸化炭素排出量試算
(2016年作成)」

(多国間協力)

「国際熱帯木材機関(ITTO)」は、熱帯林の持続可能な経営の促進と合法的に伐採された熱帯木材の貿易の発展を目的として、1986年に設立された国際機関であり、本部を我が国の横浜市に置いている。ITTOには、熱帯木材の生産国・消費国から72か国及びEUが加盟している。2017年11月から12月にかけて行われたITTOの理事会(ITTC(*174))では、合法・持続可能な林産品のサプライチェーンの構築等に関するITTOの2か年作業計画(*175)(2018年~2019年)、また、グアテマラにおける林産品のトレーサビリティ改善等の14のプロジェクト等が新たに承認された。我が国はITTOに対し、加盟国としての分担金や本部事務局の設置経費を拠出することで、ITTOによる持続可能な熱帯林経営等の推進を支援している。

「国際連合食糧農業機関(FAO)」は、各国国民の栄養水準と生活水準の向上、食料及び農産物の生産及び流通の改善並びに農村住民の生活条件の改善を目的として、1945年に設立された国連専門機関(*176)であり、本部をイタリアのローマに置いている。我が国はFAOに対し、加盟国としての分担金の拠出、信託基金によるプロジェクトへの任意拠出、職員の派遣等の貢献を行っている。平成29(2017)年からは、任意拠出した資金を活用し、森林吸収量の推移に関するシナリオを作成するとともに、開発途上国において植林を推進させるための土地利用計画の策定を進めるプロジェクトを実施している。


(*174)「International Tropical Timber Council」の略。

(*175)「ITTO Biennial Work Programme for the years 2018-2019」

(*176)それぞれの専門分野で国際協力を推進するために設立された国際機関で、国連憲章第57条及び第63条に基づき国連との間に連携協定を有し、国連と緊密な連携を保っている国際機関のこと。



(その他の国際協力)

「日中民間緑化協力委員会(*177)」では、平成29(2017)年6月、東京で第18回会合を開催し、平成28(2016)年度に実施された植林事業のレビューや平成29(2017)年度の植林事業の実施方針等について意見交換を行い、今後も引き続き気候変動対策、砂漠化・黄砂対策により焦点を当てることを含めて、効果的にプロジェクトを実施していくことで一致した。

本委員会は、平成12(2000)年より毎年開催されている。緑化協力事業には、これまで日本側から82の民間団体、中国側から各関係省庁及び29の省・自治区・市における多数の地元住民が参加しており、日中両国民の信頼関係、相互理解の増進に貢献している(*178)。


(*177)中国における植林緑化協力を行う日本の民間団体等(NGO、地方公共団体、民間企業)を支援することを目的として、平成11(1999)年11月に、日中両国政府が公文を交換し設立された委員会。同委員会は、日中両政府のそれぞれの代表者により構成され、助成対象とする植林緑化事業の選定に資するための情報及び意見の交換等を実施(事務局は日中緑化交流基金)。

(*178)林野庁プレスリリース「「日中民間緑化協力委員会第18回会合」の結果概要について」(平成29(2017)年6月27日付け)




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