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林野庁

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森林計画制度の運用見直し(令和3年度)

1.基本的な考え方

令和3年6月に閣議決定された森林・林業基本計画においては、人工林資源の循環利用を推進しつつ、多様で健全な姿へと誘導していくこととしています。そのためには、森林資源の保続を確保するとともに、造林、保育、伐採その他の森林施業を適切に行っていく必要があります。

しかしながら、近年の主伐面積に対する再造林面積は低位にあり、林業に適した箇所でも人工林資源が再造成されていない状況が見られます。また、皆伐地において粗雑に作設された集材路から土砂流出が発生するケースのほか、更新方法の検討が不十分で天然更新が完了していないケースなども見られます。

このため、新たな基本計画に基づき、適正な伐採と更新の確保を図るべく、森林計画制度の運用見直し、地域森林計画及び市町村森林整備計画への反映等を行うこととしました。

2.個別施策の概要

(1)適正な伐採の確保

(ア)持続的伐採可能量(参考1・2)

近年主伐量が増加している中にあっても、全国的には十分な成長量と森林蓄積を維持しています。一方で、地域によっては主伐量と再造林の取組状況に大きなばらつきが生じており、地域ごとに森林資源の保続を考えていく必要があります。

地域森林計画における伐採計画量は、多面的機能の発揮のため、資源状況も踏まえつつ基本計画に示す「指向する森林の状態」へと計画的に誘導するために設定したものであり、地域における資源の保続を直接判断するためのものではありません。

このため、森林資源の保続に必要な伐採上限量について、カメラルタキセ式を用いて試算し、地域森林計画において、新たに参考資料として掲載することとしました。これにより、地域における今後の伐採量水準の検討や、再造林施策の推進等に活用できるようになりました。

(イ)伐採権者と造林権者の役割等の明確化(参考3・4・7)

伐採及び伐採後の造林の届出(以下「伐造届」)は「森林所有者等」による届出が義務付けられており、伐採者と造林者が異なる場合は両者が連名で届け出ることとなっています。しかしながら、伐採者と造林者の役割分担が曖昧なまま、造林者による造林計画が十分に検討されずに届出を行うケースも見られます。

このため、伐採及び造林の計画書が一枚となっている伐造届の様式を見直して、伐採計画書と造林計画書を分け(届出自体はこれらを束ねて一体として届出)、伐採者と造林者の責任の明確化を図りました。また、実効性のある造林計画となるよう、造林者が委託先や鳥獣対策を記載する様式へと見直しました。 

さらに、伐採行為を市町村が適時に把握することができるよう、造林終了時の報告に加えて、新たに伐採終了時についても報告を課すこととしました。

(ウ)集材路の作設など搬出方法に対する指導体制の確立(参考3・5)

皆伐に伴う集材路については、これまで技術指針等が示されておらず、粗雑に作設され、土砂流出の発生要因となっているケースも見られます。また、伐造届においては、搬出方法等の記載を求めていませんでした。

このため、「主伐時における伐採・搬出指針の制定について」(PDF : 240KB)(令和3年3月16日付け2林整整第1157号林野庁長官通知)を発出し、集材路の作設に際しては、この指針に基づいた作業を促していくこととしています。また、市町村森林整備計画の計画事項として、この指針に基づいた伐採・搬出を行うよう位置付けるとともに、伐造届の様式を変更し、搬出の方法等を新たに記載させることにより、必要に応じ市町村等が適切な集材路の作設等について、指導を行うこととしました。 

(2)適切な更新の確保

(エ)特に効率的な施業が可能な森林の設定(参考6)

森林資源の持続的な利用を図るためには、林木の生育に適しており、路網が整備されているなど、効率的な施業が可能な森林をはじめとして、再造林を促進していく必要があります。

このため、市町村森林整備計画におけるゾーニングに際して、木材生産機能維持増進森林の区域の中に「特に効率的な施業が可能な森林」を設定することとしました。基本的な考え方としては、林地生産力が高く、林道等からの距離が近い森林などを当該森林として想定しています。

また、当該森林では、皆伐後に原則植栽とすることを森林経営計画の認定要件とするほか、伐造届が提出された場合には、植栽による更新を促すこととしました。

(オ)一定以上の面積で天然更新が計画された場合の現地確認等を推進(参考7・8)

伐採跡地の更新の手法としては、植栽によるほか、天然更新によるものがありますが、天然更新は母樹の存在など自然条件に左右され不確実性が伴います。

市町村森林整備計画においては、天然更新が困難な区域を「植栽によらなければ適確な更新が困難な森林」として事前に設定し、再造林を進めることとしてきました。しかしながら、天然更新の可能性は、伐区の様態などにも左右されるため、事前には区域設定が難しい場合もあります。

このため、市町村森林整備計画において、「植栽によらなければ適確な更新が困難な森林」を区域指定することに加えて、その基準等についても新たに示すこととしました。市町村においては、森林所有者等から伐造届の提出があった時に、区域外においては当該基準に該当するか否かを確認し、植栽等の指導をすることとします。

(3)森林窃盗、無断伐採事案の未然防止

近年発生している森林窃盗、無断伐採事案の未然防止には、伐採届出制度などを適切に運用していくこと等が重要となります。

このため、森林計画制度の運用見直しに併せて、衛星画像を活用した伐採箇所の把握など、森林窃盗、無断伐採事案発生の未然防止に向けた対策強化を図ることとしました。対策の強化に当たっては、地域における警察関係機関と林務行政機関が緊密な連携を図るため、警察庁にも協力をお願いしています。(「森林窃盗事案発生の未然防止に向けた取組について」令和3年10月6日付け林野庁森林整備部計画課長から警察庁生活安全局生活経済対策管理官あて通知)

3.改正された規則等

これらの運用見直しに際しては、以下の改正を行っており、令和4年4月1日から適用となります。

森林法施行規則

森林法施行規則の規定に基づき、申請書等の様式を定める件(農林省告示)

地域森林計画及び国有林の地域別の森林計画に関する事務の取り扱いの運用について

市町村森林整備計画制度等の運用について

伐採及び伐採後の造林の届出等の制度の運用について

森林窃盗、無断伐採事案発生の未然防止対策の強化等について

参考


森林計画制度の運用見直しに関する参考資料はこちらから

お問合せ先

森林整備部計画課

担当者:森林計画指導班
ダイヤルイン:03-3502-8700

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