平成28年度スギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度の調査結果について
平成29年2月8日
1.調査の経緯
林野庁では、森林に降下した放射性物質が、スギ花粉にどの程度含まれているかを把握するため、平成23年度から福島県内でスギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度の調査を継続して実施しています。平成28年度においても、国立研究開発法人 森林総合研究所(以下「森林総研」という。)と連携し、今季のスギ花粉の放射性セシウム濃度をスギ雄花から推定する調査を実施しました。
2.調査の内容
(1) 調査箇所調査は、福島県内の22地点で実施しました。調査箇所は空間線量率の高い地点から低い地点まで均等に分布するように選定しています。
(2) 調査期間
スギ雄花の採取は平成28年11月に行いました。
(3) 調査方法
スギ雄花の採取地の空間線量を測定するとともに、採取した雄花について、ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリ法(注)で放射性セシウム134及び放射性セシウム137の濃度を測定しました。
(注)放射性核種からのガンマ線は、それぞれ固有のエネルギーを持っています。「ガンマ線スペクトロメトリ」とは、ガンマ線のエネルギー分布を測定することにより、放射性核種の種類と放射能を同定する方法です。
3.調査結果及び考察
今年度調査した各地点の値を同一地点の前年度(平成27年度)の値と比較すると、平均で8割程度となり、平成23年度の値に対しては、6%程度となりました。また、今回の調査においても、雄花中の放射性セシウム濃度(Cs-134とCs-137の合計)は空間線量率の値に比例するという、これまでと同じような傾向がありました。
今年度の調査の最高値は7,750Bq/kgであり、過去の調査でも濃度が高い地点でしたが、これまで最高値であった平成23年度の値の3%程度でした。
なお、昨年度検出限界以下であった2カ所で放射性セシウムが検出されました。この要因としては、雄花の付き具合によって採取部位や採取木が異なるために試料間のばらつきが大きくなったことなどが考えられます。
各地点の空間線量率とスギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度は別添参考1のとおりです。
以上の結果を踏まえ、今回の調査で測定された最高濃度の放射性セシウムがスギ花粉に含まれて大気中に飛散し、これを人が吸入した場合に受ける放射線量を平成23年度と同様の前提条件で試算しました。試算値は、1時間あたり最大0.0000069μSvとなり、平成23年度の試算値の4%程度となりました(別添参考2)。
4.参考
平成23年11月22日付プレスリリース「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査の実施について」平成23年12月27日付プレスリリース「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について(中間報告)」
平成24年2月8日付プレスリリース「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について」
平成25年2月8日付プレスリリース「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について」
平成26年1月31日付プレスリリース「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について」
平成27年1月30日付プレスリリース「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について」
平成28年2月1日付「スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について」
添付資料
(別添)平成28年度スギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度の調査結果について(PDF : 898KB)お問合せ先
森林整備部研究指導課
代表:03-3502-8111(内線6224)
ダイヤルイン:03-6744-9530