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林野庁

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平成28年度 森林内の放射性物質の分布状況調査結果について

平成29年3月24日

1.調査の概要

林野庁では、森林内の放射性物質の分布状況等を的確に把握した上で、森林の取扱い等の対策を検討するため、平成23年度から、国立研究開発法人 森林総合研究所(以下「森林総研」という。)と連携し、福島第一原子力発電所からの距離が異なる福島県内の3町村(川内村、大玉村、只見町)において、森林内の土壌や落葉層、樹木の葉や幹などの部位別の放射性セシウム濃度と森林全体の放射性セシウムの蓄積量を調査しています(森林内における放射性物質実態把握調査事業)。

2.調査内容

(1)調査箇所
福島県川内村(スギ)、大玉村(スギ、アカマツ、コナラ)、只見町(スギ)の国有林、川内村上川内(スギ)の村有林

(2)調査方法
各調査地において、空間線量率を測定したほか、落葉層の試料と、深さ別の4層の土壌(0~5、5~10、10~15、15~20cm)の試料を採取しました。
また、対象樹種を各3本選び、伐採して、葉、枝、幹に分け、幹については樹皮、材(心材、辺材)に分けました。
部位別の試料は乾燥・粉砕した後、ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリ法で放射性セシウム134及び放射性セシウム137の濃度を測定しました。

3.調査結果及び考察

(1)部位別の放射性セシウム濃度の変化
葉や枝、樹皮など樹木の部位別の放射性セシウム濃度は、2011年の調査開始以来、全体として低下傾向にありました。葉の濃度は2015年に比べて20~96%に低下しました。枝の濃度は2015年に比べ、大玉スギ林を除いて44~87%に、樹皮の濃度は只見スギ林を除いて63~90%に低下しました。また、木材内部の心材と辺材の放射性セシウム濃度は全般に低く、2015年と比べて大きな変化は認められませんでした。
落葉層の濃度は、大玉アカマツ林を除くすべての調査地で2015年の46~85%に低下しましたが、葉や枝など他の部位より高い濃度となっています。土壌の濃度は、2015年までと同様、表層土壌0~5cmの層が最も高く、5cmより深い層は最大でもその5分の1以下で、下層にいくほど低下する傾向を示しました。

(2)森林全体の放射性セシウム蓄積量と分布の変化
森林全体の放射性セシウム蓄積量は、いずれの調査地でも明瞭な変化傾向は認められませんでした。分布については、樹木に蓄積する割合が減少し、落葉層や土壌に蓄積する割合が増加する傾向がみられました。
森林内における樹木及び土壌の部位別の放射性セシウム蓄積量の割合については、2011年から2012年にかけて土壌の割合が大幅に増加するなどの変化がありましたが、2012年から2016年にかけての変化は小さなものでした。上川内スギ林を除く3調査地では、土壌に分布する放射性セシウムの割合が年々増加し、2016年は全体の81~91%となりました。上川内スギ林は、2014年、2015年に土壌の割合が大幅に増加しましたが、2016年は前年とほぼ同じで全体の59%が分布し、落葉層と枝・葉にはこれまでと同様に他の調査地より多くの放射性セシウムが分布していました。
森林全体の放射性セシウムの蓄積量の変化は小さく、かつ大部分が土壌表層付近に留まっていることや、渓流水中の放射性セシウム濃度の調査結果等から、放射性セシウムは森林内に留まり、森林外への流出量は少ないと考えられます。

4.今後の予定

林野庁では、引き続き、地元自治体等と連携しながら、森林内の放射性物質の分布状況等について継続的に調査を進めていくとともに、今回の結果を踏まえ、より効果的な森林・林業再生のための取組を進めてまいります。

5.参考

平成23年12月27日付け「森林内における放射性物質の分布状況調査結果について(第二報)」
平成25年3月29日付け「森林内の放射性物質の分布状況調査結果について」
平成26年4月1日付け「森林内の放射性物質の分布状況調査結果について」
平成27年3月27日付け「平成26年度 森林内の放射性物質の分布状況調査結果について」
平成28年3月25日付け「平成27年度 森林内の放射性物質の分布状況調査結果について」

添付資料

(別添)平成28年度森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(PDF : 876KB)

お問合せ先

林野庁森林整備部研究指導課

担当者:森林除染技術開発企画班
代表:03-3502-8111(内線6224)
ダイヤルイン:03-6744-9530
FAX番号:03-3502-2104