展示チェーンソーについて
チェーンソーについて
現在、展示しているチェーンソーは、長年にわたり職業病である振動障害の研究と対策にあたられた名古屋大学名誉教授 山田信也先生より、平成13年10月に当時の名古屋分局に寄贈いただいたものです。
チェーンソーの歴史
チェーンソー(ガソリンエンジン)は、1918年アメリカにおいて開発されたのが最初といわれ、全重量は95Kgにも及ぶ巨大なものでした。
その後、1929年にドイツで2人用、4サイクルガソリンエンジン、重量64Kgの機種が完成し、アメリカでは1938年に重量36~54Kg、1941年には54~64Kg、2人用2サイクルガソリンエンジンが実用化されました。
日本では、1920年頃、ドイツ製の重量67Kg、4人用が青森大林区署(現在の森林管理局)に導入され、貯木場において玉切試験に使われ、1947年には重量38Kg、2人用4サイクルガソリンエンジンが実用化されています。
1950年代には重量十数Kg、1人用が各国で開発され、1960年代に入り、重量10Kg以下の機種が各国で生産され世界中に普及しました。
現在は1人用2サイクルエンジンが主体となっています。
振動障害防止への取組み
1960年代に入るとチェーンソーを使用している山林作業者に障害が発生し始め、山田先生らによる調査・研究の結果、チェーンソーによる振動障害であることが判明し、1966年に振動障害を職業病と認定するに至りました。
先生は、名古屋大学医学部衛生学教室において、1964年から国有林における振動障害の研究のため、当時の名古屋営林局管内の国有林に幾度となく足を運ばれ、第1段階では健康診断方法の開発、第2段階ではチェーンソー等の使用時間規制のための基礎資料の作成、第3段階ではチェーンソー等の機械改良の労働衛生学的な評価と改良の促進、第4段階では障害を受けた人々の療養について研究されました。
先生の研究は、チェーンソーの小型化、時間規制、保温対策の徹底など振動障害の予防及び治療方法等に大きく寄与すると共に、新たな振動障害者の発生をくい止めるなど大きな成果を上げました。
参考:「林業機械ハンドブック」スリーエム研究会(1991)ほか
展示しているチェーンソー
機種 |
写真 |
特徴等 |
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マッカラー |
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マッカラー社のチェーンソーは、「黄色のマッカラー」の愛称で多くの山林作業者に愛用されました。このチェーンソーは、高出力・高速回転が魅力で天然林伐採に威力を発揮しました。この機種に付いているハンドルをラップラウンドフレームハンドルといいます。これにより左右自由に使えるようになっています。 |
RH600A |
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1974年にヤンマーディーゼル社から世界初のロータリーエンジンチェーンソーRH57が発売されました。ロータリーエンジンは、従来のピストン運動によるエンジンとは異なり、往復運動がなく回転運動によることから、振動や機械的騒音も小さく、振動加速度は0.5Gの低さで、従来の3分の1となりました。このチェーンソーは、RH型の改良型で、更に滑らかな切れ味が特徴です。 |
RH350 |
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このチェーンソーは、RH600型を小型化したものであり、主に枝切り用として開発され使用されました。 |
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中部森林管理局名古屋事務所
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