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第1部 第3章 第1節 木材需給の動向(4)

(4)違法伐採対策

(世界の違法伐採木材の貿易の状況)

違法伐採や違法伐採木材の流通は、森林の有する多面的機能(*40)に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがある。

このため、平成17(2005)年7月に英国で開催されたG8グレンイーグルズ・サミットでは、違法伐採に対する取組について、木材生産国及び消費国双方の行動が必要であるとされ、合法的に伐採された木材の利用促進及び違法伐採に対処する取組が世界各国において進められている(*41)。

2016年12月に国際森林研究機関連合(IUFRO(*42))が公表した報告書(*43)によると、2014年の丸太と製材に係る違法伐採木材の貿易額は世界で63億ドル、最大の輸入国は中国で33億ドル(52%)、次いでベトナムが8億ドル(12%)、インドが6億ドル(9%)、EUが5億ドル(7%)等であるとされている。また、違法伐採木材は、主に、東南アジア(35億ドル)、ロシア(13億ドル)、オセアニア(7億ドル)、アフリカ(5億ドル)及び南米(4億ドル)から輸出されていると報告されている。

米国やEUを始め諸外国は、違法伐採木材の取引や輸入を法律や規則で禁止しており、林野庁では、これら諸外国の状況の情報収集等の取組の強化を図っている(*44)。

また、TPP11協定や日EU・EPA等の国家間の協定においても、違法伐採対策を盛り込んでいる。


(*40)森林の有する多面的機能については、第1章第1節(1)67-68ページを参照。

(*41)森林の違法な伐採に対する国際的な枠組みについては、第1章第4節(1)107ページを参照。

(*42)「International Union of Forest Research Organizations」の略。

(*43)IUFRO World Series Volume 35: Illegal Logging and Related Timber Trade

(*44)「令和元年度森林及び林業の動向」第3章第1節(4)167-168ページを参照。



(政府調達において合法木材の利用を促進)

平成17(2005)年7月のG8グレンイーグルズ・サミットを受けて、まずは政府調達を通じて合法木材の利用を促進することとし、平成18(2006)年に、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(*45)」(グリーン購入法)に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(*46)」(グリーン購入法基本方針)において、紙類、オフィス家具、公共工事資材等の分野で、合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品を政府調達の対象とするよう明記した。その後、「グリーン購入法基本方針」の特定調達品目に関する「品目及び判断の基準等」が見直され、間伐材や合法性が証明された木質原料等を使用している合板型枠等が政府調達の対象となったほか、コピー用紙等で森林認証材パルプ及び間伐材等パルプの利用割合が可能な限り高いものであることが配慮事項に記載された。

上記基本方針に併せて、林野庁では、平成18(2006)年に「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成した。本ガイドラインでは、具体的な合法性、持続可能性の証明方法として、「森林認証制度及びCoC認証(*47)制度を活用した証明方法」、「森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法」及び「個別企業等の独自の取組による証明方法」の3つの証明方法を提示するとともに、合法性、持続可能性が証明された木材・木材製品を、これらが証明されていないものと混ざらないよう管理することを求めている(*48)。

上記の証明を活用し、合法性、持続可能性が証明された木材を供給する合法木材供給事業者として、令和3(2021)年3月末現在で、149の業界団体により12,130の事業者が認定されている。


(*45)「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(平成12年法律第100号)

(*46)直近、令和3(2021)年2月閣議決定。

(*47)第1章第4節(1)107-110ページを参照。

(*48)ガイドラインについては、「平成29年度森林及び林業の動向」第4章第1節(4)138ページを参照。



(「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」による合法伐採木材等の更なる活用)

また我が国では、政府調達のみならず民間需要においても、我が国又は原産国の法令に適合して伐採された木材及びその製品の流通及び利用の促進を図るため、平成28(2016)年5月に、議員立法により「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(*49)」(クリーンウッド法)が成立・公布され、平成29(2017)年5月に施行された。

この法律の施行により、全ての事業者に合法伐採木材等を利用するよう努めることが求められ(*50)、特に「木材関連事業者(*51)」は、取り扱う木材等について「合法性の確認」等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなった。

この措置を適切かつ確実に行う木材関連事業者は、国に登録された第三者機関である「登録実施機関」に対して申請を行い、登録を受けることができ、「登録木材関連事業者」の名称を使用できることとなっている。登録実施機関については、令和3(2021)年3月末時点で6機関を登録している。平成29(2017)年10月から順次、登録実施機関が登録業務を開始し、令和3(2021)年3月末時点で、木材関連事業者の登録件数は536件となっている。登録実施機関が第一種登録木材関連事業者(*52)から徴収した令和元(2019)年度の木材の取扱実績(m3単位で報告があったもの。)によれば、取扱総量のうち合法性の確認ができたものの割合は、日本で伐採されたものについては95%、それ以外の国又は地域で伐採されたものについては95%となっている。

林野庁では、木材関連事業者が木材の合法性を適切に確認できるよう林野庁ホームページで合法伐採木材等に関する情報提供サイト「クリーンウッド・ナビ」を公開し、本サイトを通じて情報を提供しているほか、専門家の派遣、セミナー等の開催による木材関連事業者の登録促進等に取り組んでいる。

なお、グリーン購入法基本方針においても、木材関連事業者については、クリーンウッド法に則し、合法性の確認や分別管理等をすることとなっている。


(*49)「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(平成28年法律第48号)

(*50)クリーンウッド法第5条

(*51)木材等の製造、加工、販売等を行う者。

(*52)樹木の所有者から丸太を受け取り、加工、輸出等の事業を行う木材関連事業者のうち、登録を行った者。



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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