山地災害対策の実施
近年、局地的な集中豪雨の頻発や地震の発生により、地域によってはこれまでに例のない規模の山地災害が発生しやすい状況となっています。このような状況を踏まえ、当署では、集中豪雨や地震を要因とする山腹の崩壊や、崩壊に伴う土砂流出等の山地災害に対応するため、山腹工や治山ダム工などの治山施設を整備し、崩壊地の復旧や土砂流出の防止を目的とした治山事業を実施しています。
磐井川地区の治山事業の取組
◎大型台風後の対応
- 磐井川地区は一関市西部の磐井川上流部に位置し、昭和22年のカスリン台風、昭和23年のアイオン台風では地すべりによる土砂が磐井川に流入し、下流の一関市一帯で大災害が発生しました(死傷者4,859人)。
このために民有林直轄治山事業を実施し、渓間工を整備して山地の安定を図りました。
一関市大町通りの被災状況(昭和23年9月)
◎地すべり防止事業
- 民有林直轄治山事業により安定化が図られていましたが、昭和38年頃から地すべり活動が活発化したことから、昭和44年度から地すべり防止事業に着手しました。

集水井工 トンネル排水工
<岩手・宮城内陸地震における事業効果>
- 平成20年6月に発生した岩手・宮城内陸地震により、大規模な山地災害が発生しましたが、この事業地内ではほとんど被害がなく、これまでの治山事業の事業効果が実証されました。

「後世に伝える治山事業~よみがえる緑~」について
磐井川地区の治山事業について、林野庁で「後世に伝える治山事業~よみがえる緑~」として選定されました。
その詳細はこちらをご覧ください。
◎岩手・宮城内陸地震後の対応
- 市野々原地区
岩手・宮城内陸地震により、磐井川では土砂が堆積して上流部に土砂ダムが形成されました。本地区は人家や国道341号に近接しており、二次災害の恐れがあったことから、アンカー工などの対策工事を実施し、斜面の安定化を図りました。これにより、地域の安心・安全を確保しました。

被害発生時 復旧工事完了時 令和6年6月
- 産女川地区
岩手・宮城内陸地震により大量の崩壊土砂が流出したため、治山ダム工を階段状に整備して土砂流出防止と浸食を防止して産女川の安定を図っています。平成20年度から事業に着手し、治山ダムを整備していますが、崩壊地の復旧には長期間を要すことから令和7年に全体計画の変更を行い、治山ダムの配置や規模を見直すなど、より効果的かつ効率的な治山事業を行っていきます。

大規模な崩壊(平成20年撮影) ⇒ 治山ダム工完成 ⇒ 復旧後
治山事業の効果事例
◎胆沢郡金ヶ崎町 永徳山地区
永徳山地区では、過去に山腹崩壊が発生しており、山地災害の未然防止を図るため、令和5年に土砂崩壊防護柵を設置しました。令和6年9月の豪雨により、山腹崩壊が発生しましたが、この防護柵が土砂や流木を捕捉し、下流の民家や農地の被害は発生しませんでした。

防護柵 山腹崩壊地と防護柵の位置関係 土砂や立木と防護柵
◎一関市厳美町 産女川地区
産女川地区では、大規模な崩壊が発生したことにより土石や倒木が不安定な状態で堆積しているため、平成29年に鋼製スリットダムを施工しました。豪雨時に下流部へ流出する多量の土石や流木をスリットダムが捕捉することにより、下流に位置する農業用取水施設、市道への被害を防止しています。

山腹崩壊地と鋼製スリットダムの位置関係 土石と流木を捕捉した鋼製スリットダム
治山工事におけるICT技術の活用事例
◎マシンガイダンスによる施工
マシンガイダンス(MG)とは、位置計測装置を用いて建設機械の位置情報を操縦者へ提供するシステムです。MG機能を搭載したICT建設機械を用いて床掘作業を行った際には、掘削位置と床掘の設計データがタブレット上に表示されるため、操縦者は運転席で画面を確認しながら作業を進めることができ、施工の効率化が図られました。

MGバックホウによる床掘作業の様子
◎遠隔臨場
受発注者の業務効率化を図るため、ウェアラブルカメラ等による映像と音声の双方向通信を使用して監督職員が工事現場で行う段階確認、材料検査、立会等を執務室内にて行いました。これにより、監督職員の現場への移動時間がなくなるとともに、請負事業者の現場での待機時間を大幅に短縮できました。

執務室内において出来形計測の立会 監督職員による工事現場の確認
お問合せ先
岩手南部森林管理署
ダイヤルイン:0197-24-2131




