ニホンジカ対策
1.これまでの状況
白神山地世界遺産地域では、近年、遺産地域内で従来生息していなかったニホンジカが確認されているとともに、周辺部での目撃事例が増加しています。【遺産地域内での確認状況】
・核心地域:平成29年8月(青森県側)にオス1頭、令和元年7月(青森県側)にオス1頭
・緩衝地域:平成27年10月(青森県側)にオス1頭、平成30年11月(秋田県側)にオス1頭
※いずれも自動撮影カメラにより撮影

撮影されたニホンジカ(H29.8.6青森県側核心地域)
現状ではニホンジカの侵入初期段階とされており、遺産地域内での被害は確認されていませんが、将来、遺産地域及び周辺部でのニホンジカの生息が増え、被害が生じることも想定して、白神山地世界遺産地域連絡会議では「白神山地世界遺産地域ニホンジカ対策方針(骨子)(PDF : 161KB)」を策定し、白神山地世界遺産地域科学委員会の助言も受けながら、以下の対策に取り組んでいます。
(1)ニホンジカ生息状況の把握
(2)植生モニタリングの実施
(3)捕獲体制の構築
2.東北森林管理局の主な取組
(1)自動撮影カメラによる生息状況調査(平成26年度~)
4月から11月まで78台(青森県側45台、秋田県側33台(令和2年度現在))を設置し、ニホンジカの生息状況を把握しています。なお、令和元年度からは、低密度時のニホンジカの効率的な捕獲につなげることを目的として、白神山地周辺の越冬場所と考えられる海岸方面の低標高地域に冬期間もカメラを設置することとしました。
令和2年度は、メスが初めて確認され(秋田県側)、今後動向を注視していく必要があると考えています。

自動撮影カメラ
(2)痕跡調査(平成28年度~)
ニホンジカが確認された箇所等において、科学委員会委員や専門家、職員により痕跡(食痕や糞、角こすり痕の体毛等)調査を実施しています。採取した食痕等については、森林総合研究所東北支所の協力を得て、ニホンジカorカモシカかどうかを判定するDNA識別検査を実施しています。令和元年度の夏期までは痕跡確認の実績はありませんでした。
令和元年度の冬期からは、上記(1)の自動撮影カメラによる生息状況調査と合わせて実施したところ、87地点で採取した痕跡のうち6地点の食痕等(チマキザサ、ヒメアオキ、糞)からニホンジカの陽性反応が得られました。
令和2年度の冬期は、50地点で採取した痕跡のうち17地点の食痕等(ササ、ヒメアオキ、ハイイヌツゲ、糞、毛、樹皮剥ぎ)からニホンジカの陽性反応が得られました。
現状においては、依然としてニホンジカの個体数は少ないものの、メスが確認されていることや冬期でのニホンジカの痕跡の濃い箇所が見られ始めていることから、今後も春から秋までの期間は自動撮影カメラによる監視、冬期はカメラ設置と痕跡調査に取り組んでいく考えです。

ニホンジカの陽性反応が出た痕跡(ヌタ場:毛)
(3)「ニホンジカ影響調査・簡易チェックシート」による調査(平成26年度~)
東北森林管理局の同ページにリンクします → 「ニホンジカ影響調査・簡易チェックシート」(4)試行的捕獲の実施(平成28年度~令和元年度)
青森県側、秋田県側の2箇所で小型囲いわなによる試行的捕獲を実施しました。4年間で捕獲実績は無く、囲いわなによる捕獲に至るほどの生息密度には未だ至っていないと考えられ、試行は終了しています。
小型囲いわな
(5)周辺地域(岩手県)での取組(平成24年度~)
ニホンジカの捕獲や狩猟への支援(林道除雪やわなの貸出等)等を実施しています。東北森林管理局のページにリンクします → 「東北森林管理局のニホンジカ被害防止対策について」
お問合せ先
計画保全部
担当者:自然遺産保全調整官
ダイヤルイン:018-836-2489