平成30年度第2回国有林モニター現地見学会の開催結果
平成30年10月16日(火曜日)、盛岡森林管理署の管内において、平成30年度第2回国有林モニター現地見学会を開催しました。林野庁では、国有林野の管理経営に国民の皆様のご意見・ご提案を役立てるため、「国有林モニター制度」を設けています。
東北森林管理局では、平成30年4月から2年間を任期として管内5県にお住まいの48名の方に国有林モニターとしてご就任いただき、国有林野事業について理解を深めていただいた上でご意見・ご提案をいただいています。
国有林モニター現地見学会は、こうした取組の一環として、国有林野事業の現場をモニターの皆様にご見学いただくために開催しました。
現地見学会の内容
今回は、森林資源の循環利用に必要不可欠な再造林における東北森林管理局の取組についての現地見学会を開催しました。31名のモニターの皆様にご参加いただき、ニホンジカによる森林被害の防止対策、コンテナ苗を活用した一貫作業システムを見学しました。
1.シカ被害対策箇所見学
岩手県盛岡市内の国有林において、平成30年度に設置した防鹿柵(PEネット)を現地で見学していただきながら、シカによる森林被害とその対策についてご説明しました。
現地では、防鹿柵(PEネット)内部のスギ造林地で、盛岡森林管理署総括森林整備官より、平成28~29年度に設置した「さいネット」や金網柵との違い等について説明した後、シカの生態等について質疑応答が活発に行われました。
説明風景
*シカによる森林被害とその対策
近年、シカの分布域の拡大に伴い、東北森林管理局管内でもシカによる森林被害が増加しています。シカによる森林被害は、木の枝葉を食べることによる成長阻害、立木の樹皮を剥がすことによる枯損や木材価値の低下、下層植生を食べることによる下層植生の消失や踏みつけによる土壌の流出等があり、森林所有者の林業経営意欲の低下や、森林の持つ多面的機能への影響が懸念されています。
東北森林管理局では、シカによる森林被害の防止のため、苗木を守るツリーシェルターや造林地へのシカの侵入を防止するためのネット等の防鹿柵の設置など様々な対策を行っています。また、ニホンジカによる農林業被害対策を講じるための基礎資料として、平成26年度から生息域や自然植生への影響等についてのチェックシート調査に取り組むとともに、調査の主要項目である目撃情報等をグーグルアース(©Google Earth)上で閲覧できるデータも公開しています。
ニホンジカ影響調査・簡易チェックシート調査
2.一貫作業システムの見学・コンテナ苗の植付け作業
岩手県滝沢市内の国有林において、一貫作業システムの見学とコンテナ苗の植付け作業をしていただきました。
現地では、チェーンソーによる伐採を見学した後、ハーベスタとフェラーバンチャ・ザウルスロボを用いた一貫作業システムの流れをご覧いただきました。その後、モニターの皆様にディプル(コンテナ苗の植付器具)を用いてコンテナ苗の植付け作業をしていただきました。短い作業時間となりましたが、多くの苗木を植えることができました。
チェーンソーによる伐採 フェラーバンチャ・ザウルスロボによる枝条整理作業
コンテナ苗の植付け作業の様子
*一貫作業システムとコンテナ苗の利用
一貫作業システムとは、これまで別々に契約していた伐採作業と造林作業を、一つの契約として発注し、伐採から造林までを連続して行う作業システムです。これまでは、伐採後、一定の期間を置いた後に植栽をしていたため、地拵えや植栽現場への苗木運搬は人力で実施することが一般であり、多くの時間と労力を要することとなっていました。一貫作業システムでは、伐採や搬出に使用した林業機械を用いて、伐採してすぐに伐採跡地に残された末木枝条を除去し、これらの機械で苗木を運搬した上で植栽を行うため、造林作業を省力化することとなり、全体としての育林コストを大きく縮減することが可能となります。
コンテナ苗は、裸苗の植栽適期である春・秋以外でも高い活着率が見込めるため、伐採後に時間を置かずに植付けをする一貫作業システムでの使用に適しています。
お問合せ先
企画調整課
担当者:林政推進係
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