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四国森林管理局

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    シラクチカズラの資源確保に向けたこれまでの取組について

    はじめに

      徳島森林管理署では、国有林に隣接する民有林との協調施業、協調販売等の一体的な取組の実現を目的として、平成28年度に徳島県、三好市、事業体、徳島森林管理署から構成される「ケーススタディ会議」を設置し、民有林・国有林が連携して地域の森林・林業の再生に向けた課題把握と解決に取り組んでいる。

      これまでに、林業後継者不足と林業技術者の育成、祖谷のかずら橋架け替え資材(シラクチカズラ)の安定的な確保、作業道開設技術の向上といった地域の森林・林業を再生していく上での課題を把握・共有した上で、市町村林業担当者等を対象に列状間伐、高密度路網、低コスト林業をテーマにした現地検討会を開催するなど様々な活動を行ってきた。

    ケーススタディ会議の様子ケーススタディ会議の様子

    木の文化を支える森づくり協定

    平成20年3月、架け替え資材確保実行委員会との間で「木の文化を支える森づくり協定」を締結し、これまで、実行委員会と協働で1,500本のシラクチカズラの苗木を国有林内に植栽してきたが、そのほとんど(90%)が活着しない結果となり、将来にわたって架け替え資材であるシラクチカズラを安定的に確保していくとが困難となった。

    試験的植栽の取組

     平成28年11月、三好市教育委員会と協働で、小島国有林内に新たな植栽地(試験地)を設け、5年生苗木12本を植栽。
     新たに植栽した苗木の活着状況を平成29年4月に確認(調査)したところ、前年11月に植栽した12本全部が活着したことを確認できた。
     小島国有林に植栽した12本が活着した原因について、香川大学農学部の指導の下、確認(調査)したところ、適度の陽光と水はけの良さが、シラクチカズラの生育に適していることが判明した。

    H27年11月 植栽したシラクチカズラ

    課題解決に向けた取組

     シラクチカズラの生育に適した林地(土壌)について確認できたものの、シラクカズラの育苗技術の係る課題が残った。
     そこで、平成29年8月三好市教育委員会とともに香川大学農学部を訪れ、シラクチカズラの育苗技術について学んだ。また、平成29年9月には、片岡香川大学農学部長から直接育苗・管理方法について学んだ。


    片岡農学部長(当時)の説明を聞く

    シラクチカズラの実生苗

    育苗・管理方法について学ぶ

     祖谷のかずら橋のシラクチカズラの資源確保

     平成28、29年度の取組を踏まえ、架け替え資材であるシラクチカズラを将来にわたって安定的に確保していくとともに、シラクチカズラ(学名:サルナシ)の実の活用を通じた地域振興に資することを目的として、平成30年2月、三好市、香川大学農学部と徳島森林管理署との間で連携協力に関する協定を締結した。この取組により、技術的な支援を含めた態勢整備が図られた。


    新たな協定締結で態勢整備

    新たな取組

     協定締結により、新たな取組を展開してきた。平成30年6月、シラクチカズラの挿し穂採取技術について、香川大学の指導を受けた。
     さし穂技術のほか、三好市でサルナシの実の栽培に取り組んでいる農家との意見交換も行い、実の活用についての取組をスタートさせた。
     また、平成30年8月には、旧県農業試験場池田分場に残存している実の繁殖用のサルナシについて、徳島県との意見交換を行った。


    さし穂技術について学んだ

    サルナシの農家との意見交換

    旧池田分場に残っているサルナシ

    母樹の選定とニホンジカ対策

     新たな植栽地として確定した小島国有林において、平成30年10月上木伐採(伐採率35%)を行い、更に、11月には今後植栽する苗木をニホンジカからの食害から守るためシカネットを整備した。
     また、安定的にさし穂を確保していくため、植栽地内とその周辺に母樹を選定・確保した。


    上木の伐採

    シカネットを整備

    シラクチカズラの母樹

    更なる発展に向けて

     「祖谷のかずら橋」の架け替え資材の確保については、これまでの林業分野にとどまらず、大学や農業、観光分野まで関係するまでに拡大してきた。徳島森林管理署では、今後も、これらの取組を通じて地域の森林・林業の振興と地域全体の活性化に積極的に貢献していく。

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