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四国森林管理局

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    石原山国有林での取り組み(令和3年度)

       点状複層林の今後の施業方法について検討を進めるため、四国森林管理局は、令和3年度に嶺北森林管理署管内の石原山国有林において、上木を伐採・搬出した際の下木の損傷具合や光環境の変化等を把握する試験を行いました。

    令和3年11月16日の意見交換会の内容はこちら

    方法

    試験地・調査プロット

    • 試験地:石原山国有林90林班は1小班(高知県土佐郡土佐町)
      林齢:上木(スギ・ヒノキ)71年生、下木(ヒノキ)27年生
    • 調査プロット:緩傾斜プロット、急傾斜プロット
      各プロット内に12m幅、6m幅の上木伐採区を設定。

    緩傾斜プロットの設定状況。長さ40メートルで、幅6メートルの上木を伐採、18メートル残存し、幅12メートルの上木を伐採するプロット。
    急傾斜のプロットの設定状況。長さ27メートルで、幅6メートルの上木を伐採、18メートル残存し、長さ25メートル、幅12メートルの上木を伐採するプロット

    1.下木の損傷

    • 調査対象:緩傾斜・急傾斜プロット伐採区の下木

       文献を参考に、各下木で確認された損傷の種類を記録。そして、将来の成長に影響すると考えられる損傷がみられた下木を「損傷木」とし、区域ごとに「損傷率(損傷木÷全下木)」を算出。

    上木伐採により、倒木、幹折れ等が発生した下木の様子

    その他、「枝折れ(小)」「損傷なし」を記録

    2.光環境(相対照度・開空度)

    • 調査対象:緩傾斜プロット(測定点は図のとおり)

    上木伐採前後の相対照度と開空度(ある地点の上空が枝葉に覆われずどの程度開いているか)を調査。

    緩傾斜プロットの上木伐採前後の相対照度と開空度の測定地点を示した図。プロットの長さ40メートルのうち、上木伐採個所は、相対照度と開空度を12メートル間隔で測定。残存箇所では、照度のみ12メートル間隔で測定。

    <相対照度>林外と林内で同時に照度を測定し、相対照度を計算
    <開空度>全天写真を撮影し、画像解析により、開空度を算出
    プロット内の全天写真(カメラを中心として上下左右の全方位の空間を収めた写真)全天写真

    3.下木の樹冠長率

    • 調査対象:緩傾斜プロット伐採区の下木

       30年生以上で樹冠長率30%以下の木は、間伐時に残しても肥大成長はあまり期待できないとの報告(単層林)があったため、参考として上木伐採前の下木の樹冠長率を調査。今後、「上木伐採前の下木の樹冠長率」と「伐採後の下木の成長量」の関係を検証。

    30年生以上で樹冠長率30パーセント以下の木は、間伐時に残しても肥大成長はあまり期待できないとの報告があったため、今後、上木伐採前の下木の樹冠長率と伐採後の下木の成長量について検証。

    (緩傾斜地)上木伐採後の上空写真

    緩傾斜地の上木伐採後(6メートル、12メートル伐採区)を上空から撮影した様子

    (緩傾斜地)上木伐採前後の林況

    緩傾斜地の6メートル伐採区と12メートル伐採区の伐採前後の林内の様子

    (急傾斜地)上木伐採後の上空写真

    急傾斜地の上木伐採後(6メートル、12メートル伐採区)を上空から撮影した様子。

    (急傾斜地)上木伐採前後の林況

    急傾斜地の6メートル伐採区と12メートル伐採区の伐採前後の林内の様子

    結果

    1.下木の損傷

    下木の損傷率については、緩傾斜地6m伐採区のみ低かったものの、おおよそ50-60%。

    上木伐採による下木の損傷率は、緩傾斜6メートル伐採幅で25.0パーセント、12メートル伐採幅で55.6パーセント。急傾斜地6メートル伐採幅で47.4パーセント、12メートル伐採幅で62.9パーセントの結果。

    2.光環境

    上木伐採により、伐採区・残存区ともに光環境が改善。伐採区では、伐採後の相対照度が30%を超え、下木の成長に必要な照度が確保されたと推察。

    光環境をグラフ化したもの。伐採前後の区域内平均相対照度は、6メートル伐採区で4.5パーセントから32.1パーセント、12メートル伐採区で4.6パーセントから40.3パーセント、残存区においては6.1パーセントから14.1パーセントの結果。平均開空度では、6メートル伐採区が12.9パーセントから22.2パーセント、12メートル伐採区では、15.3パーセントから32.1パーセントの結果。調査結果から、伐採区、残存区ともに光環境が改善され、伐採区では相対照度が30パーセントを超えていることから下木の成長に必要な照度が確保されたと推察される。

    3.下木の樹冠長率

    調査対象下木のほぼ全てが樹冠長率30%以上。光環境の改善により、下木の成長促進の可能性。

    緩傾斜12メートルの伐採区、6メートル伐採区ともに、樹冠長率30パーセント以上の結果。

    まとめ

    点状複層林の今後の施業

       今回の試験結果を踏まえ、今後の施業の方向性として「人為による複層林の維持」、「天然力を活用した針広混交林への誘導」を検討。

    点状複層林の上木伐採、搬出において、一定数の下木が残存したことから、皆伐せず更新可能な複層林のメリットを活用した施業を検討する必要。

       立地等の条件が良い林分は、木材生産の対象地として植栽による更新を行い、人為により複層林を維持することが適切ではないかと考察。

    人為による複層林の維持。立地等の条件が良い林分では、木材生産の対象地として位置づけ、植栽による更新を行い、資源を循環利用。

       一方、立地等の条件が悪く、林業収益が期待できない林分は、将来の管理コスト低減を図るためにも、天然力を活用した針広混交林への誘導が適切ではないかと考察。

    立地等の条件が悪く、林業収益が期待できない林分は、天然力を活用した針広混交林を検討。

    今後の調査・検討事項

    今後の課題として、伐採後の下木の成長量や他の箇所での点状複層林の上木伐採における下木の損傷率等の調査を行うことが必要

    点状複層林の今後の施業方法に係る意見交換会

       四国森林管理局では、点状複層林の今後の施業方法を検討するため、11月16日に嶺北森林管理署石原山91林班において、森林管理局、森林管理署(所)、森林総合研究所四国支所、高知大学、高知県、越知町、いの町、林業事業体から総勢66名が参加した意見交換会を開催しました。

    現地で概要を説明している様子

    現地確認において

       列状間伐を実施した林業事業体から、伐採・集材時の作業効率等について話がありました。具体的には、集材前の枝打ちや玉切り、ワイヤーの固定等の作業を複数で行うことが必要であることや、枝払い等の下木が傷まない配慮をしないで伐倒・集材すると下木の損傷率が高くなるのではないか等の報告がありました。(実施した列状間伐の詳細はこちら

    伐採した列を確認している参加者の様子

    意見交換

    意見交換会での主な意見

    • 奥地の条件が悪いところは混交林にするという選択肢があるが、路網等の条件が整備された場所では人工林(複層林)を維持すべき
    • 植栽によらない森林づくりが可能な複層林の利点を活かした施業方法を検討すべき
    • 長年被圧下にあった下木の成長具合を調査した事例が少なく、下木が今後成長できるかどうかは今後調査をしないと分からない

    意見交換会の様子

    その他

    当日配布資料(PDF : 6,243KB)

    お問合せ先

    計画保全部 計画課

    ダイヤルイン:088-821-2100