トピックス_令和5年度(2023年)
2023年07月24日(月曜日)~26日(水曜日)
西表森林生態系保全センター職員が来所

西部林道から植物の垂直分布を説明
お互いが管轄する世界自然遺産地域等の森林生態系保全に役立てようと、7月24日から26日にかけて、石垣市にある西表森林生態系保全センターの職員2名が来所しました。
初日は、外来植物アブラギリの駆除試験地の状況やレクリエーションの森で入林者の多い「白谷雲水峡」の管理状況等について視察・意見交換を行いました。
2日目は、屋久島のシンボルでもある縄文杉や大株歩道等の登山道等の管理保全状況を、3日目は西部林道からみる植生の垂直分布の確認をしながら意見交換等を行いました。
2023年07月13日(木曜日)~14日(金曜日)
令和5年度第1回屋久島世界遺産地域科学委員会・ヤクシカWG合同会議を開催
令和5年度第1回屋久島世界遺産地域科学委員会とヤクシカ・ワーキンググループ(以下ヤクシカWG)及び特定鳥獣保護管理検討委員会合同会議が、屋久島環境文化村センターにおいて2日間にわたり開催されました。
●ヤクシカWG及び特定鳥獣保護管理検討委員会合同会議の概要(7月13日)
会議では、(1)ヤクシカの生息状況等、(2)捕獲等の被害防止対策、(3)森林生態系の管理目標及びその他植生モニタリング等、(4)特定エリアの対策(西部地域)について議論が行われました。
ヤクシカの生息状況は、令和3年度と比較し一部の区域で増加しているが、島全体の個体数推定では昨年度より約2000頭減少しているとの報告があり、増加している白谷地区は気象等の影響で高標高地から降りていることも考えられ今後注視していくよう助言がありました。
また、植生のモニタリング調査においては、それぞれのプロットの光環境などを明らかにすること等の助言がありました。
●科学委員会の概要(7月14日)
科学委員会では、(1)前回会議の議論の整理、(2)屋久島世界遺産地域計画の実施状況、(3)世界遺産地域モニタリング令和4年度の調査等結果及び令和5年度の調査等計画、(4)ヤクシカWG及び特定鳥獣保護管理検討委員会合同会議の報告、(5)屋久島世界遺産地域管理計画に基づく管理状況の評価についての報告、(6)屋久島世界遺産地域管理計画の改定、屋久島高層湿原保全対策、(7)世界遺産登録30周年事業について議論が行われました。
屋久島世界遺産地域の管理状況の評価について、評価基準をもっとわかりやすく色分けをしてもらいたい、評価シートについて、管理の方向性に関する意見欄の記載についての意見も出ました。
高層湿原保全対策については、保全対策はもっと時間を取って議論するべき等、意見が多数出されました。
科学委員会およびヤクシカWG合同会議
2023年07月12日(水曜日)
令和5年度屋久島レクリエーションの森保護管理協議会総会の開催

屋久島レクリエーションの森保護管理協議会総会
屋久島町役場において、令和5年度の屋久島レクリエーションの森保護管理協議会総会が開催されました。
本協議会は屋久島の「レクリエーションの森」の保護・管理及び活用を円滑に推進することを目的に、平成22年に設立されたものです。
総会では、規約や賃金単価表の一部改正、令和4年度の活動実績や決算報告、令和5年度の活動計画及び予算の提案等がなされ承認されました。
また、近年新型コロナウイルスの影響で白谷雲水峡・ヤクスギランドの利用者は減少していたものの、回復傾向にあるとの報告がありました。
白谷雲水峡・ヤクスギランドの年間利用者数は平成30年度が160,309人で、令和2年度には60,126人と半分以下まで減少したものの、令和4年度は103,245人となっている状況です。
協議会の主な事業は白谷雲水峡・ヤクスギランドの保全管理であり、利用者からの協力金で運営しています。利用者は増加傾向にあるものの財政状況は厳しいものであるとの説明がありました。
最後に、昨年度に引き続き、携帯トイレの試験運用を白谷避難小屋で実施するとの報告がありました。昨年度は、2日間実施され合計304名の利用者がありました。これにより、携帯トイレ利用普及の推進が期待されます。
2023年07月12日(水曜日)
鹿児島県・九州森林管理局・県下森林管理署意見交換会開催
7月12日(水曜日)マリンパレスかごしまにて、令和5年度鹿児島県・九州森林管理局・県下森林管理署意見交換会が行われました。
意見交換会の主な内容は、(1)鹿児島県令和5年度森林・林業施策の概要について、(2)九州森林管理局令和5年度重点取組事項等について、(3)鹿児島県内森林管理署令和5年度重点取組事項等について等、各機関から説明がありました。
また、令和5年度における九州林政連絡協議会のテーマ案として、鹿児島県からは、(1)確実な再造林の実施、(2)ドローンや地上レーザ等の新たな技術の活用についての2点がふさわしいのではとの意見がありました。
北薩森林管理署からは、九州森林管理局の先駆けの取組として、コンテナ苗木やシカネット資材をドローンで運搬することにより、造林作業の省力化・軽労化が図られるのではないかとの説明があり、鹿児島県からも民国連携として是非参考にしたいので現場を見たいとの意見がありました。
2023年06月20日(火曜日)
屋久島高校に学校登山の事前指導を実施
6月20日(火曜日)屋久島高校において、例年7月に予定されている学校登山に向けて、1年生71名を対象に当保全センター職員による登山マナー等の事前指導を行いました。
学校登山の目的は、登山に対する心構えやマナーを再確認するとともに、郷土の優れた自然環境や自然と人間との結びつきを考え、環境保護に対する意識の高揚を図るものです。
今回の事前指導では、登山に関する基本的なマナーや注意点の指導、携帯トイレの利点や使用方法の解説を行ったのち、生徒を交えて携帯トイレの実物を用いた実演も行ったほか、最後に学校登山の経験を通して屋久島の貴重な自然環境や、そこから学べる多くのことについての講話を行うことができました。
今回の事前指導を通じて、生徒たちの登山マナーの向上と自然環境保全への意識を高めることができました。
事前指導の様子(左)、生徒による携帯トイレの実演(右)
2023年06月06日(火曜日)
屋久島世界遺産地域連絡会議第1回幹事会・検討の場を開催

第1回幹事会・検討の場
令和5年度屋久島世界遺産地域連絡会議第1回幹事会及び検討の場が、6月6日(火曜日)に鹿児島森林管理署会議室において開催されました。
地域連絡会幹事会の主な議題として、(1)令和4年度の第2回科学委員会の議論の整理について、(2)世界遺産地域管理計画に基づく事業実績及び令和5年度事業予定について、(3)令和5年度第1回科学委員会の開催について、(4)屋久島高層湿原保全対策について等、各機関から説明がありました。
九州森林管理局からは、屋久島高層湿原保全対策の概要説明があり、令和5年度に実施する保全対策(素案)の説明がありました。委員からは、パブリックコメントの対応について、地域に向けた説明や発信は行った方が良いとの意見があり、屋久島町の広報へ折り込みチラシを入れる、町のホームページに掲載は可能との意見が出されました。
また、課題解決のための場の設置について、し尿処理対策、管理者不在の登山道等の問題について、部会を設置する形でなく、まずは関係機関と検討する場を設けたいとの意見が出されました。
検討の場では、7月中旬に開催予定のヤクシカWGに報告等する令和4年度の各機関の取組状況や令和5年度の取組概要について説明があり、意見交換等が行われ特にシカ捕獲等連携すべきところを適切に実施していくことなどを確認しました。
2023年05月29日(月曜日)~06月03日(土曜日)
令和5年度シャクナゲ開花時期における登山指導
屋久島森林管理署と当保全センターでは、例年登山者が多くなる5月下旬から6月上旬のシャクナゲ開花時期に合わせ、高山植物の盗掘防止と登山者のマナー向上を目的に森林パトロールを実施しています。
1.永田岳コース天候が不安定だったためか登山者には一人も出会いませんでしたが、ヤクシマシャクナゲをはじめサクラツツジなどの開花も見られました。頂上付近の登山道については大きく荒れている箇所があり、登山者の安全のみならず植生への影響も心配されます。
2.黒味岳コース天候に恵まれたこともあり、25名(内宿泊者9名)の方が登山を楽しんでいました。登山者は多く見られたものの、マナー等に関して問題なく登山をしていました。ヤクシマシャクナゲはピークを過ぎていましたが満開に近い状態で咲いていました。
3.太忠岳コース梅雨時期だったため登山者は3名と普段よりは少ない状況でした。登山道に関しては一部整備が必要な箇所が見受けられましたが、当面は問題なく登山を行うことができます。ヤクシマシャクナゲは、頂上付近で開花が見られました。
【登山者の皆様へ】
植物や環境保全のため、樹皮を剥ぐ・採取をするといった植物を傷つける行為、歩道から外れることに注意を、ごみは必ず持ち帰ること、トイレは決まった場所でする、携帯トイレの利用にご協力をお願い致します。なお、植物等に異変を発見した場合は当保全センターへご連絡をお願い致します。
ヤクシマシャクナゲ(左)、職員によるパトロール(中)、黒味岳頂上の様子(右)
2023年05月23日(火曜日)~25日(木曜日)
地元中学生が職場を体験学習

森林の仕組、役割を学ぶ
屋久島森林管理署では5月23日から25日までの3日間、屋久島町立安房中学校の授業の一環として行われる職場体験学習を受け入れました。
安房中学校では、(1)実際に働く体験を通して勤労の尊さを肌で感じその意義を理解し、望ましい職業観や勤労観を持たせる、(2)社会人として自立するための態度や能力を養い、職業や進路選択について考える機会とし、(3)地域と社会との繋がりを深め、郷土を愛しその発展に努め、地域社会に貢献する態度を養う目的で職場体験学習を実施しています。
今回、当署には3年生の2名が応募し、職場体験をすることになりました。1日目は、お互いの自己紹介の後、当署の概要、森林の果たす役割などについて説明しました。特に、森林と水との関わりについては屋久島の水の美味しさに触れ、美味しい水がもたらすお酒との関わりについてもユーモアを交えて説明するなど、楽しい雰囲気の中で森林について学んでもらいました。
2日目は、治山工事の現場を見学し、立山総括治山技術官から治山工事の目的や種類などの説明を受け、災害から人の生活を守るための治山工事の重要性について学びました。その後、当署の敷地内でトランシットを使った閉合測量に挑戦し、難しい操作に苦戦しながら境界の管理や測量のことを学びました。
3日目は、間伐実行中の現地において、間伐の必要性について理解を深めた後、実際に伐倒作業の様子を見学し、私達の生活の中でどのように木材が利用されているのかについて学び、3日間の職場体験学習を終了しました。
職場体験学習を受けた2名の生徒からは、後日「測量は難しく頭を使う仕事だったが、できた時は自分の中で達成感がありました。」、「森林管理署は森林管理だけでなく、災害の防止や、伐木、道作り、木材の搬出など私達の日常生活に深く関わっていることが分かった。」といったお礼の手紙が届きました。
当署では、今後も職場体験等を受け入れることにより、森林・林業への理解の醸成等に取り組んでいきたいと考えています。
治山工事の目的等の説明を受ける生徒(左)、伐倒現場を見学する生徒(中)、測量の体験(右)
2023年05月18日(木曜日)
令和5年度屋久島世界遺産地域連絡会議開催

会議の様子
5月18日(木曜日)屋久島町議場にて、令和5年度屋久島世界遺産地域連絡会議が行われました。
地域連絡会議の主な議題は、(1)令和4年度の事業実績及び令和5年度の主な事業計画について、(2)関連する協議会・検討会等の情報共有について、(3)屋久島世界遺産地域連絡会議の部会について、(4)世界遺産地域管理計画に基づく管理状況の評価について、(5)世界遺産地域管理計画の改定について、(6)屋久島高層湿原保全対策について、(7)世界遺産登録30周年事業について等、各機関から説明がありました。
九州森林管理局からは、令和4年度の事業実績及び令和5年度の主な事業計画について及び屋久島高層湿原保全対策について説明がありました。
委員からは、花之江河には、宮之浦集落の「ほこら」が祀ってあり、かなり土台が浸食されているが、今後の対策はどうするのか意見が出されました。
九州森林管理局としては、「ほこら」の下流に堰(木柵等)を設置して浸食防止対策を実施する予定との回答がありました。
2023年05月17日(水曜日)
中央中学校で森林教室を実施
5月17日(水曜日)に中央中学校体育館及び宮之浦嶽国有林217へ林小班(令和4年度8月頃間伐実施箇所)にて中央中学校の1年生58名に対し、屋久島森林管理署及び当保全センターで森林教室を実施しました。この森林教室は、屋久島の苗木不足問題を解決するための一環として行いました。
当日は2組に分かれて、それぞれの組ごとに担当職員が体育館での屋久島森林管理署・当保全センターの仕事の説明と、間伐箇所での現地見学の説明を行いました。
その後、生徒達が現地見学を通して気づいた事をまとめ、それらを交えながら間伐の必要性や森林の役割・公益的機能について全員で学習しました。
最後に今回の重要イベントであるスギの種まきを行いました。代表者14名が苗床への土入れ・水まき・種まきの順で作業を行いました。最初は土を触るのを嫌がる生徒もいましたが、段々と積極的に作業をしてくれました。
初めて種まきを森林教室に取り入れ、今後の苗の管理等について課題は残りましたが、生徒・屋久島森林管理署・当保全センター職員にとっても貴重な経験をすることができました。
現地見学(左)、種まきをする生徒たち(右)
2023年05月01日(月曜日)
令和5年度縄文杉周辺マナー指導を実施

縄文杉展望デッキの登山客
5月1日に屋久島山岳部保全利用協議会(※)の一員として、当保全センター職員2名が縄文杉周辺にて登山客のマナー指導を実施しました。
このマナー指導はGW期間に混雑が予想される縄文杉デッキ上で、登山客のマナー遵守や順路逆走等による混雑を緩和するために実施しているもので、デッキを訪れる登山客へ順路案内や、デッキ上での食事禁止等の呼びかけを行いました。
当日は、マナー指導にあたった10時30分~13時00分の間に約270名の登山客が訪れ、団体客や家族連れ等で賑わっており少しずつではありますが新型コロナウイルスによる影響の回復の兆しを実感しました。
今後、さらに登山客が増加することが考えられますので安全で快適な登山ができるよう関係機関との連携や定期的なパトロールを実施していこうと思います。
※ 環境省・林野庁・鹿児島県・屋久島町・屋久島観光協会・屋久島環境文化財団等で構成されている協議会
2023年04月14日(金曜日)
縄文杉周辺の低木剪定を実施

剪定作業後の縄文杉周辺(展望デッキより)
令和5年4月14日に屋久島山岳部保全利用協議会(環境省・屋久島町・樹木医及び当保全センター他団体含)計19名にて縄文杉周辺の低木剪定作業を実施しました。
縄文杉は、屋久島町の屋久杉巨木群の象徴とも言え、その存在だけでなくその場所に至るまでの長い登山プロセスを通して、地域住民や登山者が自然と人との関係性を考えることができるシンボルでもあります。
今回の作業内容は、縄文杉周辺の景観保全バランスをとりつつ展望デッキから望める縄文杉の視認性向上を目的に支障となる低木の剪定作業で、樹木医の意見を聞きつつ縄文杉周辺の植生環境に悪影響を及ぼすことがないよう細心の注意を払いながら作業に取り組みました。
剪定後は、登山者から縄文杉の姿がよく見えるようになり迫力が増したとの声があり、今後も景観の保全や利用を図るため関係機関と連携し作業等に取り組んでいきます。
お問合せ先
屋久島森林生態系保全センター
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