保安林
森林には、水源のかん養、災害の防備をはじめ、生活環境の保全・形成、保健休養の場の提供など様々な働きがあります。これらの森林の働きは、私たちが安全で快適な生活をするためになくてはならない大事なものです。
このため、こうした機能を持つ森林については、その機能が損なわれないように森林法に基づき「保安林」として指定し、適切に保全されています。
保安林の種類は17種類ありますが、九州森林管理局管内には13種類が指定されています。
九州森林管理局管内の保安林面積
種別 | 面積( h a )※兼種面積含む | 比率( % ) | 目的 |
水源かん養 | 428,271 | 85.8 | 洪水の防止・水資源の確保等 |
土砂流出防備 | 23,536 | 4.7 | 山地災害の防止、自然災害の防止 |
土砂崩壊防備 | 1,538 | 0.3 | 〃 |
飛砂防備 | 1,261 | 0.3 | 〃 |
防風 | 1,461 | 0.3 | 〃 |
水害防備 | 4 | 0.0 | 〃 |
潮害防備 | 2,274 | 0.5 | 〃 |
干害防備 | 4,995 | 1.0 | 〃 |
落石防止 | 3 | 0.0 | 〃 |
魚つき | 1,990 | 0.4 | 魚類の生息環境の保護 |
航行目標 | 679 | 0.1 | 漁船の航行の目標 |
保健 | 32,866 | 6.6 | 生活環境の保全、保健休養の場 |
風致 | 248 | 0.0 | 名所・旧跡等の景色の保存 |
計 | 499,126 | 100.0 |
※上記の面積は、令和3年3月現在の面積(兼種面積含む)です。
※九州森林管理局管内の林地面積は約53万2千haで、そのうち約46万7千ha(実面積)が保安林に指定されています。
九州森林管理局管内の保安林の種類
水源かん養保安林
落葉、落枝、林地土壌等の作用によって、豪雨等の増水時に洪水ピークを下げる洪水調節機能と、渇水時の流量を平常の状態に近づける渇水緩和機能があり、主として河川の上流部の森林が指定されています。
(宮崎森林管理署都城支署管内)
土砂流出防備保安林
材木及び地表植生や地被物等は、地表水の流下による表土の浸食及び土砂の流出を防止する役割をしており、急傾斜地及び地質・土壌の脆弱な森林を対象に指定されています。
(大分西部森林管理署管内)
土砂崩壊防備保安林
林木の根系は物理的作用によって林地の崩壊を防止する機能があり、主として道路、鉄道その他の公共施設等の上方の急傾斜地で、地質・土壌等の関係から崩壊しやすい山腹が指定されています。
(佐賀森林管理署管内)
落石防止保安林
林木の根系には岩石を緊結固定して崩壊、転落を防止し、また、転落する石塊の落下を防止する機能があり、道路、その他の公共施設の直上部の急傾斜地の山腹が指定されています。
(屋久島森林管理署管内)
飛砂防備保安林
林木の樹冠をもって海岸の砂地を被覆することにより、飛砂の発生を防止する機能があり、主として沿岸部の海岸砂地が指定されています。
(福岡森林管理署管内)
防風保安林
樹木の樹幹および枝葉をもって障壁を形成して風に抵抗し、風速を緩和して風害を防止する機能があり、広い農地等の風上が指定されています。
(大隅森林管理署管内)
水害防備保安林
林木の樹幹による水制作用およびろ過作用、根系による土壌の浸食防止作用によって、水害を防止軽減する働きがあり、津波や高潮の被害を受けやすい場所や台風常襲地帯等の沿岸部が指定されています。
(福岡森林管理署管内)
潮害防備保安林
主として林木の樹幹によって波のエネルギーを減殺して、津波や高波の害を防ぎ、樹幹と枝葉により風速を緩和して、海水塩分の進入を防止する働きがあり、津波や高潮の被害を受けやすい場所や台風常襲地帯等の沿岸部が指定されています。
(宮崎南部森林管理署管内)
干害防備保安林
落葉、落枝、林地土壌等の作用によって降雨を地下に浸透させ、徐々に流れさせる渇水緩和機能があり、飲料水・農業用水等の水源地、ため池等の周辺等が指定されています。
(熊本南部森林管理署管内)
魚つき保安林
水面への森林の陰影の投影、魚類等への養分の提供、水質汚濁の防止等の作用により、魚類の棲息と繁殖を助ける機能があり、漁業権のある水域へ投影する沿岸部の山腹斜面森林や川岸の森林が指定されています。
(長崎森林管理署管内)
航行目標保安林
森林によって形成された地形等が主として漁船の航行の目標となり、漁場から見やすい場所の、独立的な山容の森林が指定されています。
(長崎森林管理署管内)
保健保安林
森林による気象条件の緩和、塵埃・煤煙等のろ過作用、市民のレクリエーション等の保健・休養の場として、生理的・心理的効果により公衆の保健・衛生に役立つ場所の森林が指定されています。
(宮崎南部森林管理署管内)
風致保安林
名所や旧跡の趣のある景色が森林によって価値づけられている場所に、これを保存するため指定されています。
(大分西部森林管理署管内)
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