ヤンバルテナガコガネ
分類 |
コウチュウ目 コガネムシ科 |
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カテゴリー |
絶滅危惧種 |
環境省版カテゴリー |
絶滅危惧種 |
特記事項 |
国指定天然記念物国内希少野生動植物種 |
分布概要 |
沖縄県沖縄島北部の原生的な自然林が残る極限られた地域のみに生息する沖縄島固有種。国内には近縁種は分布しておらず、近い種は中国南部に分布するキベリテナガコガネである。また、台湾には最も近い種としてタイワンテナガコガネが分布している。 |
形態的特徴 |
オスは体長51~65mm、メスは体長48~60mm。頭部と胸部は暗青銅緑色をなし、上翅は緑ないし青銅色や光沢のある黒色で不規則な黄渇色の小紋を散在するものの個体による変化が著しい。脚と腹面は黒色をなし、側縁部は淡黄色の長い毛で密に覆われている。 |
生態的特性 |
1世代に3~4年を要する。秋に羽化した成虫はそのままサナギ室内で過ごし、翌年の8月~9月にかけて出現し交尾し産卵する。オスは夜灯火に飛来することもあるが、メスは樹洞木内からほとんどでないようである。一方、幼虫はイタジイなどの老木の樹洞内に堆積した腐食物(フレーク)を食べて生育する。 |
生息条件 |
イタジイやオキナワウラジロカシの大木を中心とする常緑広葉樹林の原生的自然林で、幼虫の餌となる腐食物が十分に堆積した樹洞を持つ老木が多く点在している林内が条件となる。 |
学術的評価 |
ヤンバルテナガコガネは、台湾の種よりも中国大陸からマレイ半島、インドにかけて分布する種類に近縁であることから、沖縄島が中国大陸と陸続きであった頃に渡って来た種類の祖先が、気候、その他の環境の変化に耐えて生き残った種類であると考えられる。このため、テナガコガネ属の系統進化や琉球列島全体の歴史を考えるうえで極めて貴重な種である。 |
その他 |
ヤンバルテナガコガネの繁殖に必要な樹洞のある大木が、森林伐採や密猟者の採集により次々と消滅しており、このため、個体数は急速に減少していると思われる。一方、ダム建設やゴルフ場建設による森林の破壊、林道建設や下草刈りによる森林内の乾燥も大きな影響を与えているものと考えられる。 |
お問合せ先
沖縄森林管理署
住所:沖縄県那覇市壺川3丁目2-6壺川ビル3階
TEL:098-918-0210
FAX:098-918-0211