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平成16年9月8日、北海道に台風18号が直撃しました。
台風18号は、道東や道央で多くの風倒木を発生させた、いわゆる 「風台風」 の印象が強い台風ですが、利尻島の東側では212mmという降雨をもたらしました。
これは、年間降水量の少ない利尻島では、年間の雨量の1/4~1/5が一度に降ったことを意味します。
利尻島は、島の中央部に、成層火山である利尻山(1,721m)がそびえたち、海岸まで裾野を広げています。
利尻岳は利尻富士の別名のとおり、豊かな景観や自然環境を保ち、多くの観光客が訪れる山です。しかし一方では、脆弱な火山性の地質のため、山麓では土砂災害が多く発生する山でもあります。
このため、北海道森林管理局や北海道では、山麓の扇状地から山腹の渓流に、治山ダムを設置するなどの事業を実施してきました。
台風18号の集中豪雨は、利尻富士の東側山腹の渓流(ヤムナイ沢)で土石流を引き起こしました。
土石流は、短時間に集中的に降った雨などにより、岩塊や土石が濁流とともに一気に押し出され流れ下る現象です。
土石流は、山肌を削り成長するため、下流に達した場合には人命や財産に大きな打撃を与える大災害となります。
また、発生地点の山腹には崩壊地ができたり、流下跡は写真のような凹型の地形ができあがります。
このような地形は、次期降雨で流下する土砂の発生源となるほか、崩壊地やはげ山が大きく拡大する原因となり、長期的に地域の生活に脅威を与えることとなります。
流下する土石流の一部を、渓間工で捕捉しました。
土石流の末端部の様子です。巨大な岩塊(2m以上)が大量に流下してきたことが分かります。
土石流は恐ろしい災害ですが、いくつかの対処方法があります。例えば、渓流の傾斜が緩やかな場所では、水と土石が分離し自然に止まる性質に着目した対処方法です。
北海道森林管理局と北海道では、渓流に治山ダムを階段状に設置し、渓床の傾斜を緩和することにより、土石流の捕捉を図っています。
今回の土石流の本体は、上流の北海道森林管理局が施工した渓間工(写真上段)、及び北海道が施工していた渓間工(写真下段)にて、捕捉することができましたが、中小の砂礫などの細かい土砂分は海岸線にまで達し、海へ流れ込みました。
現在、北海道森林管理局は、北海道及び地元との調整を図りながら、次期降雨により再移動する恐れのある土砂を取り除く、応急工事を実施中です。
治山課(011-622-5246)、旭川事務所(0166-62-6738)