第7回生物多様性検討委員会の概要

プレスリリース

平成20年11月 7日
北海道森林管理局

 

第7回「生物多様性検討委員会」が開催されましたので、その概要についてお知らせします。今回は今年度、北海道森林管理局において進めている生物多様性保全に資するプロジェクト、森林生態系保護地域等の設定等のための調査及び知床永久の森林づくり活動予定地の施業に関する現地調査について検討を行いました。

 

1.日時、場所

平成20年10月17日（金曜日）午後1時30分～午後4時30分
北海道森林管理局大会議室

2.出席委員（五十音順、敬称略）

          高橋 邦秀 （北海道大学名誉教授）
座長 辻井 達一 （（財）北海道環境財団理事長）
          中村 太士 （北海道大学大学院教授）
          藤巻 裕蔵 （帯広畜産大学名誉教授）
          横山 隆一 （（財）日本自然保護協会常勤理事）
          鷲谷 いづみ （東京大学大学院教授）

3.議題

(1)生物多様性保全に資するプロジェクトの進捗状況
(2)森林生態系保護地域等の設定等のための調査の進捗状況
(3)知床永久の森林づくり活動予定地の施業に関する現地調査の進捗状況

4.委員からの主な意見

「生物多様性保全に資するプロジェクトの進捗状況」（議題(1)）

• 光環境や被度などの調査を行っているが、それら要因の相関関係を見ることは、生物多様性を評価する指標の抽出に役立つのではないか。
  
• このプロジェクトの目的は地域本来の森林の再生だが、伐採される前、あるいは再生すべき森林の姿を見つけ出すことが重要である。そのためにはこれまで得られた調査データを活用して目標とする森林のイメージ作りが必要ではないか。
  
• 様々な調査が実施されているが、この調査データを生物多様性の修復や生物多様性の把握のための情報になるように取りまとめることが重要である。このため、調査が森林の再生等の取組にどのように関わるのか明らかにしながら進めることが必要ではないか。
  
• 動植物の調査を行っているが、リストだけではなく標本として整備しておくことが必要ではないか。
  

「森林生態系保護地域等の設定等のための調査の進捗状況」（議題(2)）

• 地形・地質からそれに対応した動植物に関する生態系タイプ（ecotope）が把握できる場合がある。また、地形・地質の変化は緩やかなことから、地形・地質のデータから長期的に見た環境の多様性をとらえることができるのではないか。
  
• 植生については、既存調査のデータを使用しているが古いものもあることから、現状を把握するためには衛星データが活用できるのではないか。
  
• 猛禽類の生息環境の分析については、本州の生息環境等の条件は北海道のものとは異なるので、本州のものは使わない方がよいのではないか。
  
• 現在の森林生態系保護地域等の区域全体で見ると針葉樹林帯の占める割合が少ないが、大きな生態系タイプとして考える場合には、野生生物の生息環境の連続性を考えて、尾根部から針葉樹林帯、沢部のように上流と下流をつなぐことも必要ではないか。
  
• 調査地域において外来種の問題が起きていないか、確認してほしい。
  

「知床永久の森林づくり活動予定地の施業に関する現地調査の進捗状況」（議題(3)）

• いずれのフィールド候補地においてもエゾシカの被害が確認されている。国民参加の森林づくりを行う場合には、エゾシカ対策を含めて検討していく必要があるのではないか。
  
• 今回の調査結果を整理し、傾向の分析やその要因などを検討していく必要があるのではないか。
  
• 知床の森林づくり活動の目標となるような林分を設定するとよいのではないか。

 

会議資料一覧(第7回「生物多様性検討委員会」)

資料1にしんの森再生プロジェクト（PDF：4,674KB）
資料2北限のブナ復元プロジェクト（PDF：5,683KB）
資料3平成20年度大雪日高地域の森林生態系保護地域等の（PDF：3,330KB）
           設定等のための調査中間報告（PDF：3,330KB）
資料4「知床永久の森林づくり活動候補地」調査地一覧（PDF：6,349KB）
資料5ブナ保護林（植物群落保護林）の拡充検討について（案）（PDF：5KB）
資料6平成20年度の希少野生生物種捕捉調査について（PDF：6KB）
資料7国際ブナフォーラム2008 ＜北限のブナ復元セッション＞ 実施結果（PDF：415KB）
資料8知床の森を守り育てるエコロジカル体験ツアーの実施結果について（PDF：225KB）
資料9生物多様性保全に関する検討委員会等のスケジュール(案）（PDF：51KB）