第6回生物多様性検討委員会の概要

プレスリリース

平成20年4月25日
北海道森林管理局

第6回「生物多様性検討委員会」が開催されましたので、その概要についてお知らせします。今回は、平成19年度に行った保護林モニタリング調査等の結果とその対応、平成20年度に予定している保護林等に関する調査、生物多様性に資するプロジェクトの取組等、知床永久の森林づくりの取組について検討を行いました。

1.日時、場所

平成20年4月11日（金曜日）午後2時～午後5時
北海道森林管理局大会議室

2.出席委員（五十音順、敬称略）

          高橋 邦秀 （北海道大学名誉教授）
座長 辻井 達一 （（財）北海道環境財団理事長）
          中村 太士 （北海道大学大学院教授）
          藤巻 裕蔵 （帯広畜産大学名誉教授）
          横山 隆一 （（財）日本自然保護協会常勤理事）
          鷲谷 いづみ（東京大学大学院教授）委員は欠席

3.議題

(1)平成19年度に行った保護林モニタリング調査等の結果とその対応
(2)平成20年度に予定している保護林等に関する調査、生物多様性に資するプロジェクトの取組等
(3)知床永久の森林づくりの取組

4.委員からの主な意見

「平成19年度に行った保護林モニタリング調査等の結果とその対応」（議題(1)）

（生物多様性の保全にかかる保護林等の拡充について）

• 奥尻保護林とチリチリ川保護林について、ブナの遺伝子レベルの調査の結果を踏まえて、拡充する方向で検討がされるが、ブナ種子の開花・結実を考慮して4月～5月の主風向を踏まえるがよいのではないか。
  
• 奥尻保護林の拡充については、地域の単位又は要素となる生態系を可能な限り含めた例えばある集水域をまるごと取り込むのがよいのではないか。

（希少野生生物種捕捉調査について）

• 希少野生生物種捕捉調査については、4kmを1ラインとしたラインセンサス法により行うとしているが、どういった環境の中で生息しているかが重要であり、4kmの中で環境が異なることもあるから、環境の記載を合わせて行うのがよいのではないか。
  

「平成20年度に予定している保護林等に関する調査、生物多様性に資するプロジェクトの取組等」（議題(2)）

（平成20年度森林生態系保護地域等の設定等のための調査について）

• 平成20年度森林生態系保護地域等の設定等のための調査について、調査内容等については、事前に研究機関等と検討を行い、どのポイントを押さえるか十分に検討を行ってほしい。
  
• 保護地域のネットワークとして、どのような効果や機能があるか大きなスケールで見ていく必要があり、衛星写真を活用して調査ができないか。また、野生生物に関して地元情報を把握するのがよいのではないか。
  
• 北海道の保護林面積は狭いと考えており、森林生態系保護地域等の設定等の検討に当たっては、そのものの範囲を見直すのがよいのではないか。また、その中で例えば、背骨に対して肋骨のような部分を「緑の回廊」に考えるのがよいのではないか。
  
• 高標高地と低標高地を結ぶコリドー（回廊）を河畔林を含めて検討するのがよいのではないか。
  

「知床永久の森林づくりの取組について」（議題(3)）

• 森林づくり活動を行う場合に、アカエゾマツではなくエゾマツ（クロエゾマツ）を使うのがよいのではないか。エゾマツは、発芽率がよく、協力をお願いする団体や市民が容易にポットで養苗が可能である。
  
• 生物多様性を高める取組が進められているが、ただ取り組んでいることだけでなく、どのような理由で多様性が高まるかについて、情報発信を行うのがよいのではないか。
  

「その他」

• 施業指標林を活用し、施業のPRを行うこととしているが、指標林での野生生物の生息情報等のデータも把握するのがよいのではないか。
  

会議資料一覧(第6回「生物多様性検討委員会」)

資料1 ※渡島半島の国有林内ブナの遺伝的変異と今後の方向について（案）
資料2 ※生物多様性の保全に係る保護林等の拡充について（案）
資料3 ※北海道日高南部地域におけるアオダモの遺伝子分析について（案）
資料4 ※平成20年度保護林モニタリング調査において指摘された問題点
と対応案について
資料5 ※希少野生生物種捕捉調査について
資料6平成20年度森林生態系保護地域等の設定等のための調査について（案）（PDF：1,186KB）
資料7平成20年度生物多様性の保全に資するプロジェクトの取組（案）（PDF：11KB）
資料8『知床永久の森林づくり』の概要について（PDF：1,347KB）
資料9森林認証の取得と森林認証審査における指摘について（PDF：2,053KB）
資料10  ※天然林施業検討チームの検討状況（更新方法の考え方（案））
資料11  ※エゾシカ被害対策プロジェクトチームの検討状況
（森林資源モニタリング調査を活用した動物の生息状況等の把握）
資料12 平成19年度における森林計画の樹立等について（PDF：3,331KB）
別添1 平成19年度地域管理経営計画等の策定及び変更（案）の概要
別添2 施業指標林の活用状況について
別添3 水土保全モデル林の活用状況について
資料13 生物多様性保全に関する検討委員会等のスケジュール（案）（PDF：7KB）

 ※印の資料は、希少野生生物の具体的な生息・生育箇所が含まれること等から、非公表にしています。