第5回生物多様性検討委員会の概要
プレスリリース
平成19年12月28日
北海道森林管理局
北海道森林管理局では、新たな森林・林業基本計画に基づき、重点的に取り組むべき事項の一つとされた生物多様性の保全に対するニーズに応えて、優れた自然環境を有する北海道国有林の維持管理を進めるため、本年3月に外部の専門家からなる「生物多様性検討委員会」を設置しました。
第5回「生物多様性検討委員会」が開催され、これまでの議論結果を踏まえた「北海道国有林の生物多様性保全に関する取りまとめ」についての検討が行われました。その概要と意見等を踏まえて取りまとめた結果について、お知らせします。
(1)日時、場所
平成19年12月11日(火曜日)午後1時30分~午後3時35分
北海道森林管理局大会議室
(2)出席委員(五十音順、敬称略)
高橋 邦秀 (北海道大学名誉教授)
座長 辻井 達一 ((財)北海道環境財団理事長)
中村 太士 (北海道大学大学院教授)
藤巻 裕蔵 (帯広畜産大学名誉教授)
横山 隆一 ((財)日本自然保護協会常勤理事)
鷲谷 いづみ (東京大学大学院教授)
(3)議題
北海道国有林の生物多様性保全に関する取りまとめ
(4)委員からの主な意見
(取りまとめ全般について)
- 札幌市近郊である定山渓国有林において、普及啓発の取組が重要であると考えており、石狩地域森林環境保全ふれあいセンターが中心となって取組が検討されているが、フィールドを管理する石狩森林管理署との連携に十分配慮することが必要ではないか。
- エゾシカに関する調査等については、他の機関にエゾシカの専門家がいることから、そうした機関とも連携をとって取り組むのがよいのではないか。
- 生物多様性プロジェクトにおいては、様々な調査が検討されているが、指標生物を想定しその生活史や分散移動能力を考えてモデル化し、そのモデルの有効性を評価する方法があり、この成果は「緑の回廊」の評価にも活用できるのではないか。
- 希少野生生物の情報については、一部で共有化がされているが、さらに他省庁、自治体等との情報の共有化を図るのがよいのではないか。
(生物多様性に資するプロジェクトについて)
- 4つのプロジェクトの取りまとめについて、相互に比較できるように構成やタイトル、表等は統一するのがよいのではないか。
- プロジェクトエリアの類型化の手法について、各プロジェクトごとに異なる手法で計画されているが、動物を主に考えるか、植物を主に考える等によって相当変わる。どの手法が上手く説明できるか各プロジェクトで取り組んでみてはどうか。
- プロジェクトでは、植物、動物、昆虫等の情報について既往の文献を用いて収集することとしているが、森林の取扱いに関して、町史等の社会経済的な歴史的な背景も調べるのがよいのではないか。
- 植物相、動物相の情報収集が大事であり、そのバックデータとしての標本を整備するのがよいのではないか。また、写真データについては、後で撮影した場所が分からなくなってしまうことがあるので、GPSで撮った場所を記録する等、同じ場所を繰り返し確認できるようにするのがよいのではないか。
- 各プロジェクトにおいて、生物多様性評価マップや林相図等、様々な図面を作成する計画になっているが、図面相互の関連付けや体系付けをするのがよいのではないか。
- にしんの森再生プロジェクトにおいては、他のプロジェクトで計画されているエリアの類型化等が計画されていないが、行う必要があるのではないか。
- 北限のブナ復元プロジェクトでは、単にブナの植林地を増やすというように読めるため、目標にするのは植物群落の復元であり、将来的にそこに持っていく方法の開発が重要であるので、そのような内容に読めるように書き方を工夫するのがよいのではないか。
2.生物多様性検討委員会取りまとめ
生物多様性検討委員会において、北海道国有林の生物多様性の確保の観点から見た課題とその検討方向等について議論を行い、その結果を取りまとめました。
会議資料一覧(第5回「生物多様性検討委員会」)
1.北海道国有林の生物多様性保全目指して
生物多様性検討委員会取りまとめ(案)
2.「北海道国有林の生物多様性保全を目指して」のポイント(素案)
━生物多様性検討委員会取りまとめ━(PDF:247KB)
3.北海道森林管理局における生物多様性に関する取り組み状況(PDF:395KB)