第4回生物多様性検討委員会の概要
プレスリリース
平成19年11月9日
北海道森林管理局
第4回「生物多様性検討委員会」が開催されましたので、その概要についてお知らせします。今回は、北海道国有林の生物多様性保全に関する調査方針の検討、生物多様性に資するプロジェクトの進捗状況の報告が行われました。
1.日時、場所
平成19年10月16日(火曜日)午後3時~午後5時33分
北海道森林管理局 大会議室
2.出席委員(五十音順敬称略)
高橋 邦秀 (北海道大学名誉教授)
座長 辻井 達一 ((財)北海道環境財団理事長)
中村 太士 (北海道大学大学院教授)
藤巻 裕蔵 (帯広畜産大学名誉教授)
横山 隆一 ((財)日本自然保護協会常勤理事)
鷲谷 いづみ(東京大学大学院教授)
3.議題
(1)北海道国有林の生物多様性保全に関する調査方針の検討
(2)生物多様性に資するプロジェクトの進捗状況の報告
4.委員からの主な意見
「北海道国有林の生物多様性保全に関する調査方針」(議題(1))について
- 森林生態系保護地域については、その地域の流域や山塊等を含む生態系のひとかたまりを囲んだものとし、その森林生態系保護地域を中核にして緑の回廊とセットでネットワーク化を図るのがよいのではないか。
また、生物多様性の視点から健全な生態系が連結されていることが重要であり、森林生態系保護地域や緑の回廊がそれに寄与できるよう、尾根筋だけでなく谷筋も含んだもので連結していることが重要ではないか。
- 北海道の場合は、生態系レベルでの多様性を図るためには天然林をどう扱っていくかということが重要ではないか。
「生物多様性に資するプロジェクトの進捗状況の報告」(議題(2))について
(樹海更生プロジェクト)
- 生物多様性を評価する地図を作成する場合、それを説明するパラメータが重要であり、標高等非常に限られたパラメータだけで生物の多様性を判断することは危険ではないか。もともとの生態系がどのようなものであったか類型化して、それとの乖離の程度で評価する方法もあるのではないか。
- 現地調査については、地元で調査を行っているグループ等、幅広く情報を集め、その上で調査方法を決めていくのがよいのではないか。
- 生物多様性を評価する地図について、地質と植物群落を重ね合わせどのような生態系があるかをタイプ分けし、保護すべき対象を見分けていくやり方があり、ここでも試してみてはどうか。
(にしんの森再生プロジェクト)
- モニタリング調査が重要であるが、このプロジェクトを他の森林管理署でも実行していく場合、同じレベルの調査は森林管理署の職員だけでは難しいのではないか。
- 河川状況調査として水生昆虫を指標にその生息環境を調査する計画となっているが、相関が現れにくいことから、水質そのものを測るのがよいのではないか。
- このプロジェクト及び他のプロジェクトにおいても、世の中に示す時には、地区名やサイト名のネーミングを工夫する必要があるのではないか。
(十勝川源流部更生プロジェクト)
- モニタリング調査が計画されているが、漫然とモニタリングするのではなく、生物多様性の評価を行い、問題点等について見つけ出し、それに優先順位を付けてモニタリングを行うのがよいのではないか。
- 林相図の作成が計画されているが、生物多様性の保全の観点から問題と考えられるエリアを摘出するのがよいのではないか。
(北限のブナ復元プロジェクト)
- ブナ林の種子を取り撒きする計画があるが、ネズミの食害予防や種子散布の役割評価の観点から、ネズミの密度の調査を行う必要があるのではないか。
- 北限のブナ復元プロジェクトを進めるに当たっては、植生遷移のプロセスや森林が修復される過程を重視していくことが重要ではないか。
- 風倒被害地については、ある植生が生まれるチャンスであり、十勝川源流部更生プロジェクトでも検討されるが、生態学的に見た評価をこのプロジェクトの中におり込み、知見を集めるのがよいのではないか。
次回の生物多様性検討委員会は、平成19年12月11日(火曜日)に開催予定です。
関連資料一覧
1.北海道国有林の生物多様性保全に関する調査方針(案)(PDF:27KB)
2.生物多様性プロジェクトの森林計画への位置づけ及びそれに係る工程表について(案)(PDF:22KB)
3.生物多様性に資するプロジェクトの進捗状況の報告(PDF:9,141KB)
4.生物多様性検討委員会スケジュール(案)(PDF:15KB)
付属資料(PDF:624KB)