第8回「生物多様性検討委員会」の概要について
プレスリリース
平成21年3月10日
北海道森林管理局
第8回「生物多様性検討委員会」の概要について
第8回「生物多様性検討委員会」が開催されましたので、その概要についてお知らせします。今回は、北海道森林管理局において進めている生物多様性保全に資するプロジェクト、森林生態系保護地域等の設定等のための調査及び知床永久の森林づくり活動予定地の施業に関する調査等について検討を行いました。
1.日時、場所
平成21年2月20日(金曜日)午後1時~午後4時45分
北海道森林管理局大会議室
2.出席委員(五十音順、敬称略)
- 高橋邦秀(北海道大学名誉教授)
- 座長 辻井達一((財)北海道環境財団理事長)
- 中村太士(北海道大学大学院教授)
- 藤巻裕蔵(帯広畜産大学名誉教授)
- 横山隆一((財)日本自然保護協会常勤理事)
- 鷲谷いづみ(東京大学大学院教授)委員は欠席
3.議題
(ア)生物多様性保全に資するプロジェクトの調査報告
(イ)森林生態系保護地域等の設定等のための調査報告
(ウ)平成20年度保護林管理強化対策事業の調査報告
(エ)知床永久の森林づくり活動予定地の施業に関する調査報告
4.委員からの主な意見
「生物多様性保全に資するプロジェクトの調査報告」(議題(ア))
- プロジェクトで目標としている森林の姿については、植物社会学的に妥当なものかなど、説明できることが必要ではないか。また、現在進めている植生の復元作業が目標とする森林に向かっているのか等を分析し、次年度以降の取組に活かしていくのがよいのではないか。
- このプロジェクトの目的の一つは、地域本来の森林に再生する手法・技術の構築であるが、調査地における森林の構造(樹種、直径分布等)を調査することにより、どのような人為を加えるべきか検討できるのではないか。
- 基本的な調査データや標本については、保存しておくことが必要ではないか。
- プロジェクトの取組が森林の再生等にどのように関わるのか、その説明を国民に発信していくのが重要ではないか。
「森林生態系保護地域等の設定等のための調査報告」(議題(イ))
- 大雪・日高地域の森林生態系保護地域等は既に設定されてからかなりの時間が経過しているが、拡充案では希少種が生息・生育している箇所のみならず、将来的に生息・生育が可能な箇所も加えて検討を行うとともに、様々な動植物に関する生態系タイプ(ecotope)をできるだけ取り込む方向で検討がされている。
- 森林生態系保護地域は保存地区(コアエリア)と保全利用地区(バッファーゾーン)に区分されるが、将来的には保存地区・保全利用地区の概念ではなく、様々な生態系を覆うという考え方が必要ではないか。
- 希少種の生息・生育地の連続性を確保する観点から、国有林では対応できない低標高地の箇所の保全など、将来的には民有林とも連携して取り組むことが必要ではないか。
「平成20年度保護林管理強化対策事業の調査報告」(議題(ウ))
- 植物群落保護林のガルトネルブナ保護林は、稚樹が多く発生し少し込みすぎであるから、稚樹を他の箇所に植え付けてはどうか。また、外来種であるニセアカシアの侵入に対しては実生のものを抜き取るとともに、民有地からの侵入が多いことから民有地と国有地の間に溝を掘る方法がよいのではないか。
- 林木遺伝資源保存林の北海道シウリザクラ22は、エゾシカの食害が見られることから、ネット巻き等の対策を検討しているが、シウリザクラと合わせ周辺の植生を一緒に保全することが重要であり、柵囲いを検討するのがよいのではないか。
- 林木遺伝資源保存林の函館ウダイカンバ5は、うっ閉した林内ではウダイカンバの更新は難しいことから、隣接する場所で適地があれば、その箇所で地かきを行うのがよいのではないか。
「知床永久の森林づくり活動予定地の施業に関する調査報告」(議題(エ))
- 当該箇所について森林づくりを検討する場合、エゾシカの影響が大きいことから、エゾシカの問題を含めて検討していくのがよいのではないか。
- エゾシカの問題については、国民一般の方に十分知られていないことから、エゾシカの森林に対する影響や対策についても理解していただく場所にするのがよいのではないか。
- 法面工事で緑化した箇所がエゾシカの餌場となる場合が多いので、そのような箇所で牧草を播くことは注意すべきである。
会議資料一覧(第8回「生物多様性検討委員会」)
お知らせ:配付資料の資料3及び資料7につきましては、希少種の生息情報が含まれておりますので、掲載はしておりません。
資料1 にしんの森再生プロジェクトの調査報告
資料2 北限のブナ復元プロジェクトの調査報書
資料4 平成20年度保護林モニタリング調査結果における問題点と対応案
資料5 永久の森林づくり活動候補地の施業に関する調査報告
資料6 平成21年度ブナ保護林(植物群落保護林)の拡充調査について(案)