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中部森林管理局

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    木曽谷の林業遺産めぐり

    日本各地の林業は、地域の森林をめぐる人間の営みの中で編み出され、明治期以降は海外の思想・技術も取り入れつつ、大戦期の混乱を経て今日に至るまで、多様な発展を遂げてきました。こうした日本各地の林業発展の歴史を、将来にわたって記憶・記録していくための試みとして、「林業遺産」選定事業を日本森林学会が2013年度から開始しました。各年度ごとに、林業発展の歴史を示す景観、施設、跡地等、土地に結びついたものを中心に、体系的な技術、特徴的な道具類、古文書等の資料群を、林業遺産として認定していきます。木曽谷では、この林業遺産に4つ選定されています。


    1.旧木曾山林学校にかかわる林業教育資料ならびに演習林(2013年)

    旧・木曽山林学校(現:木曽青峰高等学校)は、現在の専門高校につながる実業学校として創設された中では最も古い学校の一つであり、演習林管理棟にある「木曽山林資料館」には林業教育にかかわる歴史的資料(標本類約3,000 点、図書類約2,000 点)が所蔵・展示されています。また、隣接する演習林は、実業学校としては最も早い1902 年(明治35 年)に設置(面積58.04 ha)され、現在も木曽青峰高等学校森林環境科に引き継がれて森林管理実習に活用されています。


    隣接する演習林


    木曽谷の林業の歴史を読み解く資料




    山林資料館入り口


    2.木曽森林鉄道(2013年)

    木曽森林鉄道は、大正初期から昭和50年まで、木曽地方で運用されていた森林鉄道の総称です。木曾ヒノキをはじめとする木材の搬出に用いられ、歴史と規模の大きさ等から、国内の森林鉄道の代表的存在でした。日本の森林鉄道としては、最後まで運用されていたことから、木曽地方では多くの鉄道施設跡を見ることができます。また、山村における生活の足としても運用され、地域の人々の記憶に強く残っています。

    赤沢森林鉄道

    上松町、赤沢自然休養林にある森林鉄道には、大正5年から昭和35年まで運行していたアメリカ製の蒸気機関車「ボールドウィン」があります。ボールドウィンが展示されている森林鉄道記念館には、当時の資料や写真、実際に使われていた森林鉄道等も展示され、隣接している森林鉄道乗場では、森林鉄道に乗車して赤沢自然休養林内を周遊できます。


    ボールドウィン



      

    鬼淵橋

    木曽郡上松町にある「鬼淵橋」は、全長が93.8mあり、大正2年に小川森林鉄道が着工されたときに作られてから昭和50年まで、森林鉄道の鉄橋として使われました。木曽森林鉄道は、日本で最後まで運行された路線で、最終列車では鬼淵鉄橋の上でフィナーレが行われました。また、鬼淵橋は、現存する日本最古のトラス橋と言われています。


    鬼淵橋



     

    3.木曽式伐木運材図会(2016年)

    「木曽式伐木運材図会」は、江戸時代後期頃の木曽地方や飛騨地方で行われていた伐木・運材の技術についての絵巻物2巻(上巻10m×40cm、下巻13m×40cm)です。奥山で大木を伐採するところから、造材、搬出・集材、木曽川でのいかだによる流送、熱田白鳥木場(愛知県名古屋市)での集積、大型船による海上輸送までの様子が、作業工程順に絵図と詞書(ことばがき)で説明されています。
    「図会」の作者、製作時期、製作目的、中部森林管理局に保管されている経緯等については、それらを明らかにする文献等が見つかっておらず明確ではありません。しかし、岐阜県高山市で江戸時代後期に製作された絵図をオリジナルとし、林業・木材産業に関する博覧会への出展や皇族・政府高官などへの説明用として、明治時代に製作されたであろうと推測されています。類似の絵図や版画が複数存在しますが、本「図会」は、これらの中で最も丁寧に描き込まれ、豪華につくられた最上級の美品です。



    木曽式伐木運材図会


    所在:中部森林管理局

     


    元伐之図 


    4.旧帝室林野局木曽支局庁舎及び収蔵資料群(2017年)

    明治22年(1889年)に、木曽の森林が皇室所有の森林「御料林」となり、木曽谷の御料林を包括して管理経営するため、明治36年(1903年)に帝室林野局木曾支局の庁舎として建てられました。木曽谷初めてのモダン洋風庁舎でしたが、昭和2年(1927年)に発生した「福島大火」により焼失しました。半年後、当時の設計図面を参考に庁舎は再建されました。
    昭和22年(1947年)に国有林に変わると、長野営林局の庁舎として使用され、その後、福島営林署、長野営林局森林技術センター、中部森林管理局の森林技術第一センターとして使用され、平成16年(2004年)に庁舎としての歴史に幕を閉じました。 
    現在は、木曽町が所有し、「御料館」という愛称で復元改修され、2階にある当時の林野行政の資料や道具、写真等も林業遺産に登録されています。


    当時の写真


    支局長室



    お問合せ先

    木曽森林管理署

    担当者:総括事務管理官
    ダイヤルイン:0264-52-2083
    FAX番号:0264-52-2582