平成29年11月6日(月曜日)
この時期、天生の森の木々は葉を落とし、生命活動は休止に入ったかのように思われますが、純粋に木の骨格だけに注目すると、 かえって生命力の力強さを感じるものです。 天生の森は、原生林なので巨木が多く、見所も随所にあります。 この写真は、ブナの大木です。 根元は、中心部が枯れて空洞になっていますが、長年の風雪に耐えてきた風格のようなものを感じます。
 
こちらは、本日のカツラ門です。 天生は泉鏡花の高野聖の舞台でもありますが、そこに出てくる幽玄の森のイメージにピッタリの風景ではありませんか?

こちらは、木平湿原です。 青い空、白い雲、立ち並ぶ大木、そして冬枯れの湿原…。 夏の湿原を彩る植物たちの可憐さとは真逆の魅力を感じます。
 
こちらは、ダケカンバの大木です。 木平湿原付近にはダケカンバの大木が林立しており、天生の自然の厳しさを感じます。 これまで『天生』の自然の豊かさを、四季折々に植物や動物を通じて紹介してきました。 本日で、今年最後のブログとなりますが、まだまだ紹介しきれない魅力が多いのも確かです。 是非、来年は皆さまご自身の五感で『天生』を感じに訪れてみてください。 それでは、皆さんごきげんよう。さようなら。

平成29年11月3日(金曜日)
今日は、最高の登山日和でした。 頂上からは、くっきりときれいな北アルプスが見えました。 頂上を訪れた大勢のお客さまも、絶景に感動され、山の名前を確認したり写真を撮ったり…、それぞれに楽しんでみえました。 その一部の山を北側から順番にご紹介します。
まずは、富山県の名峰、峻険さで知られる『剣岳』と『立山連峰』です。

こちらは、どっしりと構えて一際冠雪が目立つ『薬師岳』です。
 
こちらは、アルピニストの憧れの的『槍ヶ岳』と、飛騨の名峰『笠ヶ岳』です。
 
こちらは、難所の連続で知られ、多くのクライマーが挑戦する『穂高連峰』です。
 
こちらは、登山初心者、高山植物愛好者、誰からも愛される『乗鞍岳』です。

こちらは、『御岳』です。ご存じのように、現在も活発に活動している活火山です。
平成29年11月2日(木曜日)
オオウバユリの開花までの様子を、8月8日にご紹介しましたが、その後の変化を報告します。こちらが、10月上旬の様子です。 実をつけた茎の成長も止まりました。背丈は、2mを優に超えています。 7月上旬から3ヶ月かけてこの高さです。でもまだ実は未熟で緑のままです。 我が子の成長を見守るように、側を通るたびにここまで記録してきました。

秋も深まり、実も熟して茶色に変色しました。

こちらが、本日11月2日の様子です。 連続した台風の後、久々の晴れが続いて、実も乾燥し、ぎっしり詰まった種子も顔を出しました。

茎を持って軽く揺すってみると、無数の種子が風に舞って紙吹雪のようです。

散った種子を観察してみると、種子本体の周りに薄い皮膜が広がり、風に乗りやすい仕組みになっていますね。


平成29年10月31日(火曜日)
今年の植物のハイライトです。 天生には、ミズバショウをはじめ、沢山の植物がありますが、特に愛好家の多いラン科の植物を取り上げてみます。 まずこちらは、6月下旬頃から咲き始めるフガクスズムシソウです。 ブナの樹上に着生します。

こちらは、コケイラン。 7月上旬頃、登山道脇に爽やかな色合いで群生する事も多く、登山者の目を楽しませてくれました。
 
7月上旬頃、登山道脇に鮮やかなピンク色で一際目をひきました。 近年特に株の数を増やしているような気がします。

こちらは、ノビネチドリ。 7月上旬頃、数は少ないですが、カラ谷登山道で見る事ができました。

こちらは、トキソウ。 7月上旬頃、湿原内の水ゴケが多い場所に生育しています。 木道からは少し離れており、見づらいとは思いますが、双眼鏡などで観察してみてください。
 
こちらは、ショウキラン。 7月下旬頃、登山道脇などに生えますが、腐生ランの為、神出鬼没でどこに生えるか予想は難しいようです。
 
こちらは、コイチヨウラン。 8月中~下旬頃、登山道脇の直射日光の当たらない木陰にひっそりと咲いていました。

こちらは、アケボノシュスラン。 9月下旬~10月上旬頃、登山道脇に可憐に咲いて、長期間楽しませてくれました。 以上、ラン科の植物の主な物を振り返ってみましたが、天生には、まだまだ沢山の植物が皆さまをお待ちしています。

平成29年10月26日(木曜日)
本日、天生湿原への登山道から見える北アルプスの峰々が雪に覆われているのを確認しました。
 
湿原周辺の木々もほとんど葉を落とし、冬枯れの状態です。 湿原内の植物も地上部分が枯れ落ち、今まで見る事のできなかった湿原の中の水の通り道を、はっきりと見る事ができます。
 
こちら、本日のカツラ門です。 1週間前までは、黄色に紅葉した葉が鮮やかで、カツラの落ち葉特有の甘~い香りが付近に漂っていましたが、今日は寒々とした姿です。 殺風景にも見えますが、こんな雰囲気も趣がありますね。
 
付近にあったクロモジの枝をふと見ると、もう冬芽が準備されており、季節が確実に冬へと向かっている事を感じます。

平成29年10月16日(月曜日)
アカネ科のツルアリドオシをご紹介します。 ツルアリドオシは、地面を這うようにツルを伸ばし、グランドカバー状に育ちます。 6月~7月頃に蕾をつけ花を咲かせます。 子房に2つずつ花をつけます。
 
こちらは、ツルアリドオシが開花した状態です。 直径は5mm程度小さな花で、純白もしくは薄いピンクがかった白色で可憐な花です。
 
2つの花が落ちて、1個の果実として育っている様子が良くわかりますね。
 
果実が熟して、真っ赤になりました。 2つの凹みが目のようにみえて、ET(宇宙人)を連想してしまいます。 この赤い実が、来年の春まで残り、花と一緒に私たちを楽しませてくれます。
 
こちらは、ショウジョウバカマの花芽です。 もう、来年の準備を着々と進めているんですね。
 
オオカメノキの花芽と葉芽です。 寒さに備え、自前の毛布をまとっているみたいですね。

このように、植物たちも来年の準備をして、みなさんのおいでをお待ちしています!
平成29年10月12日(木曜日)
日は、朝から生憎の雨模様でした。 雨に濡れた紅葉や、霧の中に浮かぶ湿原も又、独特の風情があってよいものです。

 こちらの真っ青な実はツバメオモトの実です。 青い実の下の水玉を良く見てください。背景がきれいに写り込んで不思議な世界です。 この季節の草木の実は赤い物が多いですが、ツバメオモトの青色はひときわ目をひきます。 宝石のトルコ石を連想する神秘的な色です。
 
こちらは、ツルリンドウの実です。 雨に濡れるといつもより、色も鮮やかで艶っぽいですね。

 こちらは、アクシバの実です。 たまたま2つ並んでいました。まるでサクランボのようですね。

こちらは、水滴が滴るユキザサの実です。 雨の日は、なかなか山へは足が向きませんが、本日の写真のような光景に出会えるのも雨の日ならではです。 雨の日には雨の日の魅力があるものです。
 
平成29年10月10日(火曜日)
こちらは、今が花盛りのツルリンドウです。 天生では、湿原の周辺はもちろんの事、登山道のあちらこちらで見る事ができます。 小さな花ですが、非常に端正な姿で、秋の凜とした空気によく似合います。
 
ツルリンドウはつる性です。 地面を這ったり、他の植物に巻き付いたりしながら、各節ごとに花を咲かせます。
 
こちらは、ホソバノツルリンドウです。 ツルリンドウに似た雰囲気ですが、少し弱々しい感じがします。 ツルリンドウが多年草なのに対し、ホソバノツルリンドウは一年草です。 その為、種子が残らないと、種の保存ができません。貴重な種類ですので、採取などは厳に慎みたいものです。

ツルリンドウの花弁は5弁でしたが、こちらホソバノツルリンドウは4弁です。 色は、ツルリンドウは紫色を帯びたピンク色であるのに対し、ホソバノツルリンドウは紫色を帯びない淡いピンク色です。
 
ホソバノツルリンドウ・・・弱々しくて清楚なたたずまい。 思わず包み込んで大切にしてあげたくなりますね。
平成29年10月8日(日曜日)
紅葉真っ盛りの天生湿原です。 本日は、天気も良くたくさんの登山客の方で賑わいました。 駐車場もほぼ満車状態でした。
 
本日は、天生湿原にある匠屋敷の例祭が現地にて執り行われました。 地元の河合町・元田地区の方々や、天生湿原に関わりのある方々が参列されました。
 
今日は、珍しい動植物を2つ見つけたのでご紹介します。 まずは、白花のフジアザミです。 9月19日に、フジアザミをご紹介しましたが、本来は赤紫色です。
 
こちらは、全体を撮影した写真です。 茎や葉の根元の赤い色素もほとんど無い為、アルビノ(遺伝子欠陥による色素異常)であると思われます。
 
もう一つの珍種は、ヒメオオクワガタです。 全国的に分布はしていますが、標高1,000m以上の高山にあるブナ林などに生息する事が多いようです。 ヤナギ類の樹液などを好みます。
 
平成29年10月7日(土曜日)
こちら、本日のアキノギンリョウソウ(別名:ギンリョウソウモドキ)の様子です。 この花は、咲き終わりに近づくと、上を向きます。 この後、蒴果(さくか=乾燥した果実)を上向きにつけます。

アキノギンリョウソウの成長の様子をこれまで観察してきましたので、ご紹介します。 こちら、9月4日の様子です。 落ち葉の間から顔を出しました。
 
こちら、9月14日の様子です。 10cm近くまで背が伸びました。 鱗片葉が茎に多数互生しているのがわかります。(鱗片葉=葉が葉緑体を失い退化したものです。)

こちら、9月23日の様子です。 全体の色はアイボリーがかっています。

こちらは、7月上旬に咲いていたギンリョウソウです。 ギンリョウソウモドキとは、親戚のような存在ですが、色を比べてみるとギンリョウソウは少し青みがかっている事がよくわかります。 こちらのギンリョウソウは別名ユウレイタケとも言われます。この色が不気味に感じられたのでしょう。 それに比べると、ギンリョウソウモドキは、温かみが感じられ、幽霊とは結びつかなかったのでしょうね。

こちらは、ギンリョウソウが「一つ目小僧」のようになった時です。 このギンリョウソウの果実は、液果と呼ばれ、熟しても水分を多く含んだ果肉に種子が包まれていますが、これに対し、ギンリョウソウモドキの果実は、熟すと水分をほとんど含まない蒴果を作り、種子を周りへ撒き散らすようです。 この2つの植物は、同じイチヤクソウ科の植物ですが、ギンリョウソウモドキはシャクジョウソウ属、ギンリョウソウはギンリョウソウ属で、見た目はよく似ていますが、別々の植物である事にちがいありません。
 
平成29年10月5日(木曜日)
天生も秋本番です。 本日の湿原の様子です。 さまざまな草木が、赤や黄色に染まり、華やかな雰囲気になりました。
 
まず、真っ先に赤く色づいたのは、ツタウルシです。 ウルシの中でも、ツタウルシは特にかぶれやすいと言われています。

こちらもツタウルシ。つる性なので高木に巻き付いて葉を広げていきます。

こちらは、ナナカマドです。 紅葉する木の代表のように言われますが、今年の天生では紅葉の前に霜にあたり、茶色に変色したものも多いようです。
 
こちらは、オオカメノキです。 別名ムシカリと言われ、この季節になるとムシに食われたものが多くなりますが、今年は綺麗な状態で紅葉しました。
 
こちらは、ウルシの木です。 ツタウルシよりは、かぶれにくいと言われますが、皮膚の弱い人は触れないように気をつけましょう。
 
平成29年9月28日(木曜日)
「あ、こんなところに・・・が!!」 アキアカネ♀が、サラシナショウマの蕾に止まっているのを撮影しました。 後でよく見ると、アキアカネの尾の下付近に、小さな小さなクモが写っているではありませんか!
 
こちらは、カニコウモリの花を撮影しました。 後でよく見ると、花と花の間に、小さな小さな甲虫が・・・!

こちらは、アケボノシュスランに見惚れてカメラを向けましたが、こんな所にもやっぱりいました!

こちらは、カラ谷湿原のサラシナショウマですが、これにも付録がついていました!

付録の正体はガガンボの仲間でした! よく観察してみると、思いがけない所に小さな生命が息づいているものですね。

平成29年9月26日(火曜日)
本日は、昆虫と花との関わりを見てみましょう。 まずこちらは、オトコエシの花に蜜を吸いにやってきたミツバチの仲間です。 沢山の虫たちが、蜜を吸いやすいように、小さな花が無数に準備されています。
 
こちらは、ヨツバヒヨドリの花に花粉などを食べにきているハナアブの仲間です。
 
こちらは、ホツツジの蜜を吸いにきている、ミツバチの仲間です。 花の奥にある蜜を吸う為に、長い吻(フン)を持っています。

タマガワホトトギスは、独特の色彩と形で昆虫を集めます。
 
ツリフネソウは、昆虫の体型にピッタリ合わせた花を用意しています。
 
こちらは、ツルニンジン(別名:ジイソブ)です。 中心奥にある、五角形の特徴的な模様が、昆虫に蜜がある事を教えていると言われます。 ここまで見てきたように、花も昆虫もそれぞれが生きていく為に工夫をしています。 そういう視点でみると、興味深いものですね。
 
平成29年9月23日(土曜日)
天生湿原では、動物の食害から湿原の貴重な植物を守る為に、周囲に電柵を設置しています。 本日は、その点検作業を行いました。 普段、立ち入る事のない場所ですが、気をつけて観察すると、意外な所に小動物がいるものです。 その一端をご紹介します。 まずは、イワナの稚魚です。 湿原の周辺を流れる清流で、よく見る事ができます。
 
こちらは、サンショウオです。 天生には4種類のサンショウウオが生息しているようですが、この個体は幼生の為判別できません。 可愛らしくて、思わず手のひらにのせてしまいました。 本当は、いけない事ですよね・・・。その後はちゃんと、水溜まりに戻してあげましたm(_ _)m
 
こちらは、キアゲハの幼虫です。 湿原内に多い、シラネセンキュウ(セリ科)の花芽を食べているようです。 サナギ間近の終齢幼虫です。

こちらは、何にみえますか? 雨後のせいか、身体がゼリーに包まれたようにみえますが、前の写真と同様にキアゲハの幼虫で、2齢~3齢のものと思われます。 これが、前の写真のように変体するとは、信じられませんね。 ちなみに、1齢~3齢までの幼虫の色は、鳥の糞に見せる為の擬態だと言われています。
 
平成29年9月21日(木曜日)
本日は、只今の時期、天生で一押しの花を二種類ご紹介します。 まずこちらは、アケボノシュスランです。 こちらは、完全に開花した姿です。 ほのかな曙色が、なんとも言えない雰囲気を醸し出しています。
 
こちらは、まだ蕾の状態(8月26日)の姿です。 完全に開花するまでに、一ヶ月近くかかっています。 ラン科の植物は、蕾の状態から完全に開花するまでに、非常に長い日数を要するようです。 それだけ、長い期間楽しめるという事ですね。
 
こちらは、9月中旬に撮影したものです。 完全に開花するまでは、純白に近く、清楚な雰囲気です。 開花した写真の妖艶さと比べると、雰囲気が随分違います。

こちらは、クサボタンです。 キンポウゲ科センニンソウ属の花です。 クリンと巻いた花弁がなんとも言えず、可愛らしいですね。

こちらは、クサボタンの蕾の初期の状態です。 細長い花弁が、クルクルと巻き取られながら開花していきます。
 
こちらは、何だと思いますか・・・? これが、クサボタンの種子です。 花からは、想像できない姿になります。 近縁種のクレマチスも、同様の種子をつけます。
 
平成29年9月19日(火曜日)
只今、天生へ続く国道360号線沿いで存在感たっぷりのフジアザミをご紹介します。 こちらが、全体像です。 ギザギザの大きな葉に、提灯のような大きな花をつけます。 富士山周辺に多い事からこの名がつきましたが、中部地方の山岳地帯にも広く分布しています。 砂礫地や道路脇の崖、人工的に改修された法面にも多くみられます。
 
こちらは、花をアップで撮ってみました。 肉眼でみても迫力があります。 こちら、種子になると大きな綿毛になります。 70年代にケセランパサランという、未知の生物が話題になった事がありましたが、その正体はフジアザミの種子の綿毛でないかという説もありました。 ご記憶の方もあるのではないでしょうか??
 
こちら、フジアザミに止まっていたセスジツユムシです。 ボリューム感たっぷりのフジアザミと、スマートでキャシャなセスジツユムシの取り合わせが面白く見え、思わずシャッターを切りました。
 
平成29年9月14日(木曜日)
本日はオタカラコウの特集です。 木平分岐のトイレブースの谷沿いにあります。 直径30cmほどの大きな葉と、人間の背丈ほどの立ち姿、堂々たるものです。

こちら、まだ蕾が鞘状の葉に包まれた状態です。

こちら、蕾が顔を出しました。
 
こちらは、雌しべをアップで写してみました。 タンポポの雌しべによく似ています。 同じキク科の植物である事がわかりますね。

こちら、オタカラコウの大きな葉の一部を拡大してみました。 表面の葉脈が、魚のウロコを連想させて、おもしろいです。
 
平成29年9月11日(月曜日)
本日のミズバショウ湿原の様子です。 只今、シラヒゲソウが一面に咲き誇っています。 白い絨毯のようです。
 
シラヒゲソウのなかには、子房が膨らんで実になっているものもあります。 坊主頭が並んだようで、愛嬌がありますね。
 
同じくシラヒゲソウの実が弾けて、中の種子が見えています。 四つの部屋にキチンと分かれている様子が、器に盛った料理のようですね。
 
こちらは、アカバナです。 同じく湿原にあります。 アカバナ科の特徴で、花の咲いた後子房が棒状に長く伸び、そのサヤの中に沢山の種子を作ります。 花の周りにある棒のようなものが、そのサヤです。

平成29年9月7日(木曜日)
只今花盛りのシラネセンキュウの開花までの過程を特集します。 苞の中に蕾の塊が顔を出しています。 苞のてっぺんにある、葉のような物が愛嬌がありますね。 エイリアンの子どもが産まれてくる前の様子を連想してしまう画像ですね。
 
蕾の塊が、頭を持ち上げ始めました。
 
苞の皮から蕾の塊が完全に顔を出しました。 いよいよ開花の始まりです。
 
一つ一つの花を見るととても小さいですが、無数の花が開き直径20cm程度になります。

平成29年9月4日(月曜日)
日頃、登山者の皆さんに歩いて頂く登山道。 長年多くの皆さんに使って頂く事により、横木が腐ったり、杭がはずれたり、雨によって土砂が流されたり…する事により、補修が必要となります。 天生の登山道の補修は、天生協議会のパトロールの方々が、大変熱心に心を込めて管理してくださっています。 登山者の皆さんからも、「歩きやすい道ですね」と褒めて頂く事がよくあります。 私たちGSSにとっても、登山道の補修は大切な仕事の一つです。 本日は補修の作業の一端をご紹介します。 まずは、横木を置いて、杭を打ち込む位置を決めます。(杭の位置は登山靴にかからないよう気を配ります)
 
このように杭を、深く打ち込み横木を固定します。
 
杭を打ち込みました。 こちらの杭は、クリの木を使用します。クリの木は堅くて腐りにくいのです。 杭は、長短二種類を麓で作り、人力で荷揚げしています。 長い方は、高い段差用に、短い方は低い段差用に使い分けています。
 
周囲にある、腐った木片を細かく砕いてチップにしたものや腐葉土などで高さを調整しながら、足に優しい道に仕上げていきます。 これで、完成です。 皆さんが安全に登山して頂けるよう祈りながら作業しています。
 
平成29年8月31日(木曜日)
こちらの葉っぱは、何の形にみえますか? 一見、ちぎれかけた葉っぱのようにもみえますが、どの葉をみても同じ切れ込みが入っています。 ハクサンカメバヒキオコシという名称です。 葉は大きく三つに分かれますが、一番大きな裂片を亀の甲羅に、二番目三番目の裂片を亀のしっぽに見立てたものだそうです。
 
こちらの葉っぱも、なにかの動物の形から連想された名称をもっています。 さて、皆さんどんな動物かわかりますか? バットマンの胸のマークにも少し似ていませんか(笑) 実はこの植物、コウモリが羽を広げた形を連想して、コウモリソウと名付けられています。
 
コウモリソウの葉に少し似ていますが、こちらは更にカニの甲羅も連想するようです。 そこで、カニコウモリと名付けられました。

こちらは、オオカニコウモリです。 カニコウモリとの見分けはなかなかつきませんが、こちらは全体的に黒っぽく、葉も厚く、花は上を向いて咲きます。
 
平成29年8月29日(火曜日)
本日は、自然界で起こっている小さなドラマを見て頂きたいと思います。 こちらは、ハナグモの仲間がハナアブの仲間を捕らえた所です。
 
こちらは、ハバヒロトンボがヤマトシリアゲを食べている所です。
 
こちらは、イトトンボの仲間が数ミリにも満たないユスリカを捕まえています。 弱々しいトンボに見えますが、飛んでいる小さな羽虫にとっては、恐ろしい捕食者です。
 
こちらは、路上で死んでいるカケスの死骸ですが、コムラサキが体液を吸っています。 残酷な場面にも見えますが、コムラサキにとってはミネラルなどの大切な栄養源です。 このような写真を見ていると、目に見えないような小さな動物から大きな動物まで食物連鎖の網の中につながれていることを実感します。
 
平成29年8月27日(日曜日)
只今、第二湿原で見られる花をご紹介します。 こちらは、イワショウブです。 間近では見る事ができませんが、湿原の中に咲いているのを遠目で確認する事ができます。 双眼鏡などでよく観察すると、雄しべの赤色と花弁の白色がなんともオシャレな感じですね。

こちらは、ウメバチソウです。 ユキノシタ科の植物で、バラ科のウメとは縁が遠いですが、花の形がウメの花に似ているので、この名がついたようです。
 
同じくユキノシタ科のシラヒゲソウです。 先日もご紹介しましたが、繊細な花弁の切れ込みが人気の的です。
 
ワレモコウは、今年は例年より沢山花をつけているように思います。 このように、第二湿原は秋の花々で大賑わいです。
 
平成29年8月26日(土曜日)
本日は、カラ谷の小湿原の様子をご紹介します。 現在、色とりどりの花がたくさん咲いています。 先日もご紹介した、マルバダケブキです。 黄色が映えて存在感がありますね。
 
こちらは、青紫色が目をひくヤマトリカブトです。 舞楽で被る帽子の鳥冠に似ていることから、この名がついたそうです。 ご存じの通り、根には猛毒があります。 花や葉にも手を触れないで、鑑賞にとどめるのが無難ですね。

淡い紫色のこちらは、ノリクラアザミです。 葉には、深い切れ込みが無く、アザミらしくないのが特徴です。 花を見ると、アザミの仲間であると納得します。
 大きな白色の穂が際立っているのは、サラシナショウマです。 穂は、大きなもので30cm程度にまでなります。

緑の湿原と周りの巨木の森の中で、ヤブデマリの赤い実が彩りを添えています。
 
平成29年8月22日(火曜日)
こちら、コイチヨウランの蕾です。 8月10日撮影のものです。まだまだ堅い蕾です。
 
こちら、本日、長い蕾の期間を経て、待ちに待ったコイチヨウランが開花しました。 一つの花茎に4輪の花が咲いています。

花の径は、わずか7mm程度ですが、ラン科の植物の特徴が良く現れています。 こんなに小さいのに…けなげさがたまりませんね。


分かりにくい写真ですが、中央下の一枚ある葉がコイチヨウランの葉です。 葉のある場所から、ヒョロヒョロと10cm近くの、か細い花茎を伸ばし、先端に数輪の花を咲かせます。

平成29年8月10日(木曜日)
本日は、天生で出会ったチョウをご紹介します。 こちらは、サカハチョウです。 表面の模様がカタカナの『ハ』の字を逆さにしたように見える所から付けられた名前です。
 
同じくサカハチョウです。 裏面は、現代アートかと思わせるような複雑な模様になっています。
 
こちらは、ミドリヒョウモンです。 夏の高原を象徴するヒョウモンチョウ類の一種です。 よく見ると、羽の裏面が緑色がかっていますね。
 
こちらは、ヒメキマダラヒカゲです。 山地性のヒカゲチョウの仲間です。 天生周辺には、よく似たヤマキマダラヒカゲも沢山生息しています。 一見4本足のように見えますが、前側の2本は小さく折り畳まれていて見えません。
 
こちらは、夏の初めにみかけました。 ミヤマシジミ(?)です。 類似種にヒメシジミやアサマシジミがいますが、同定はなかなか難しいです。
 
平成29年8月8日(火曜日)
今が見頃のオオウバユリの生育の過程を追ってみました。 こちらは7月上旬、まだ「ツボミのかたまり」が堅い頃です。

こちらは7月下旬、1ヶ月ほどでグンと背が伸びました。 ちなみに、写っている人物の背丈は174cmです。 7月下旬、「ツボミのかたまり」が開きかけ、ツボミの一つ一つが分かれてきました。

8月に入りました。 ツボミの色も付いてきて、開花の準備が整ったようです。 花の向きは、ツボミの出始めの頃とは違い、地面とほぼ水平になります。

こちらは本日、8月8日。 半開きのようにみえますが、オオウバユリ、見事に開花しました。

原始的なユリであり、一般的なユリの開花の様子とは少し違いますね。

平成29年8月6日(日曜日)
本日、開花を確認した花たちをご紹介します。 いずれも、天生湿原の夏を象徴する花です。 こちらは、シラヒゲソウです。 これから、湿原一面に咲きますが、今はまだチラホラの状態です。

こちらはワレモコウです。 見かけに寄らずバラ科の植物です。 バラ科の植物ですが、ワレモコウには花弁がありません。 花の上側から順番に開花します。
 
こちらは、ヒダキセルアザミです。 開花したばかりのこの状態が、キセルのいう名にふさわしい気がしますね。

平成29年8月3日(木曜日)
マルバダケブキがツボミから開花に至る経過を写真で追ってみました。 マルバダケブキは天生の夏を象徴する花の一つです。 こちらは、まだ袋(?)の中にツボミが隠れています。 カンガルーの子どもが成長するように、この中で花の赤ん坊が育ちます。
 
ツボミが顔を出しました。
 
頭を持ち上げてきました。

アキアカネも花の開花を待ちわびているのでしょうか?
 
黄色の花が咲きました。 マルバダケブキは、キク科の大形の多年草です。 花の直径は10cm近くになり、背丈は2m近くの堂々とした花姿です。 このように天生の森は、今の時期が盛りの花も多くあり、私たちの目を楽しませてくれます。

平成29年7月31日(月曜日)
本日7月31日の木平湿原の様子です。 赤く島のようにみえる部分は、ミズゴケの上に生育しているコモウセンゴケの群落です。 その周辺にある、青田のようにみえる場所には、ヤマホタルイの群落です。
 
こちら、赤い島コモウセンゴケの群落をズームしてみました。 白い小さな花は、コモウセンゴケの花です。本日は花盛りでした。
 
コモウセンゴケは食虫植物です。 右側の虫は、今まさに粘液に絡め取られ、消化されようとしています。 コモウセンゴケの生育する環境は、極端な貧栄養状態の為、植物の生育に必要な養分(窒素化合物)を昆虫等から得ています。
 
こちらは、コモウセンゴケの花の咲く前、まだツボミの状態です。 とても小さな世界で起こっている事ですが、クルンと丸まった造形美を感じます。
 
こちらは、青田のようにみえたヤマホタルイの花です。 ホタルイの名は、イグサにホタルが止まっている事に由来しているそうです。
 
平成29年7月29日(火曜日)
只今、天生の花たちは、端境期です。 しかし、よく目を凝らしてみると、小さい素敵な花を見つける事ができます。 こちらは、アクシバ(ツツジ科)です。
 
とても小さい花です。 花弁がクリンと反り返り、色といい形といい上品さが漂っています。
 
こちらは、タマガワホトトギスです。 黄色が際立ち目をひきます。
 
こちらは、ミヤマカラマツです。 白い花が一般的が、天生ではピンク色のミヤマカラマツもみられます。
 
湿原をよーくのぞいてみると、こんなツボミをみつけました。 こちらは、シラヒゲソウのツボミです。 後2週間ほどで満開を迎えると思います。 その頃には、又湿原も賑やかになります。 ぜひ、夏場の天生の花たちにも会いにお越し下さい。
 
平成29年7月27日(木曜日)
本日は、天生湿原の脇役達をご紹介します。 爽やかな風にのってアサギマダラがやってきました。 天生の夏の風物詩です。
 
こちらはアキアカネです。 低地の水田で産まれ、夏の暑さを避けて、標高1300mの天生湿原までやってきました。
 
こちらは、カオジロトンボです。 正面から撮った写真ではないので、確認しづらいですが、顔前面が白色です。 ちなみに、写真の個体は背中の赤色が特徴的なオスです。
 
ミズバショウの葉の上に止まったカオジロトンボです。 このカオジロトンボは北海道・東北地方・本州中部高山帯の湿原に局地的に生息しています。 高山帯でしかみられないトンボとして知られています。 このトンボを見る為に、天生を訪れるお客様もいらっしゃるようです。 なお、カオジロトンボはアキアカネとは異なり、ほとんど移動せず高山帯の池塘などに留まって生活しているようです。
 
平成29年7月24日(月曜日)
本日天生は、朝から霧が深く、途中しっとりと雨模様でした。 晴れた日とは違い、露に濡れた天生の森も趣があります。 こちら、湿原が濃い霧に包まれています。
 
霧の中に浮かぶニッコウキスゲです。 露のせいか、晴れた日に見る色よりも、落ち着いた雰囲気に感じますね。

そして、雨の後のカツラ門は、いつもより色味が増して重厚さを感じます。
 
葉っぱの上の水滴…こんな世界に視点を向けてみるのも良いかもしれません。
 
平成29年7月22日(土曜日)
本日は、天生で見られる腐生植物をご紹介します。 腐生植物は、葉緑体をもたず、腐った動植物から有機物を得て生活している植物の事です。 こちらは、ショウキランです。 ラン科の植物で、中国の神様「鍾馗様」の帽子の形から名付けられたそうです。
 
群生して咲いていると、「ろくろ首」みたいで少し不気味に見えませんか?
 
こちらは、同じ腐生植物のギンリョウソウです。 別名ユウレイタケとも言います。 その名の通り、暗がりに現れた幽霊を連想しますね。

こちらはギンリョウソウを下から覗いてみました。 「目玉おやじ」みたいですね。 天生の森は、少し不気味な植物も皆さまをお待ちしています。
 
こちらは、腐生植物の仲間ですが緑葉を持ち光合成も行う、半腐生植物のベニバナイチヤクソウです。 地面の近くに小さいですが葉が確認できます。

平成29年7月10日(月曜日)
本日は、只今天生の山の中で最盛期迎えているラン科の植物をご紹介します。 こちらはカラ谷分岐付近で見られるサイハイランです。 今年は、全体的に色も鮮やかで、皆さんの目を楽しませてくれています。

こちらはコケイランです。 登山道入口から100mほど入った箇所とカラ谷登山道で見る事ができます。

こちらもカラ谷登山道でみる事ができるノビネチドリです。

湿原周りではキソチドリも開花しました。

キソチドリの花は緑色で、見過ごしてしまう事も多いかもしれません。 繊細で、よくできた作りをしていますよ。
 
平成29年7月8日(土曜日)
本日の湿原の様子です。 只今、ワタスゲが白い絨毯のように咲き誇っています。
 
ワタスゲの白色の中に黄色のニッコウキスゲも咲き始めました。

よくよく見ていると、紅紫色のアサヒラン(別名サワラン)も顔を覗かせていますよ。 ミズバショウが終わったこの時期は、湿原が色とりどりで賑やかです。
 
こちらは、ワタスゲと良く似ていますが、ザギスゲです。 鳥類のシラサギを連想しているのか、少し細長い綿毛です。
 
ちなみに・・・こちらはワタスゲです。 サギスゲとの違いが分かるでしょうか?
 
平成29年7月6日(木曜日)
只今、フガクスズムシソウが満開です。 ブナの大木の樹上に着生して花をつけます。 ブナの上に付着する豊富なコケ類と、天生特有の谷間に発生する朝霧の存在がフガクスズムシソウの生育する環境に適しているのでしょう。 他の場所では、あまり見る事のできない希少植物です。
 
花弁はスズムシが鳴く時に広げる羽、細長く伸びた花弁はスズムシの触角を連想させますね。
 
こちらは、昨年までフガクスズムシソウが咲いていた場所です。 実は今年は姿が見えなくなってしまいました・・・。 おそらく、盗掘されたものと思われます。 沢山の方に楽しんで頂きたかったのに、とても残念です。 今後は、自分の目でじっくり鑑賞するか、写真に収めて楽しんでもらいたいものです。
 
平成29年7月4日(火曜日)
こちらは、初夏を代表する花、アジサイ科のバイカウツギです。 白い花に鮮やかな緑色の葉が美しく、庭木にもよく使われています。
 
梅の花に良く似ていることからバイカウツギと名付けられています。
 
「ウツギ」と名の付く樹木は何種類もあります。 茎を切った際、中が空洞のものを○○ウツギと名付ける事が多いです。
 
こちらは、スイカズラ科のタニウツギです。 やはり、茎が空洞になっています。
 
ところによっては「ダニバナ」とも言われます。 この花には、小さな虫が多く寄ってきます。 でも、本当のダニが寄ってくる訳ではなく、小さい虫からダニを連想したのでしょう。
 
平成29年6月29日(木曜日)
キヌガサソウが只今満開です。
一見ユリと同じ仲間には思えませんが、原始的な特徴を備えたユリ科の植物です。

 同じくユリ科ツクバネソウ属のクルマバツクバネソウです。よく見ると、特徴が似ている事に気がつきますね。

こちらは、ツクバネソウです。少し小型ですが、こちらも同じ仲間です。「浮島の池塘」の周りをたくさんのワタスゲが彩っています。
 
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