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更新日:25年1月9日 23.佐田山林木遺伝資源保存林
この保護林は樹齢140年を越えるシイ(スダジイ、ツブラジイ)やアカガシの巨木が生え、貴重な生態系を作っています。 シイは照葉樹を代表し、四国では主に太平洋を望む斜面に分布しており、瀬戸内海には稀にしか見られません。 10月下旬から12月上旬ごろ、林床にはシイの根に寄生する不思議な植物ヤッコソウが顔を見せます。 ヤッコソウは高知県で牧野富太郎により発見され、希少なため高知県のレッドデータブックで絶滅危惧ⅠB類に記載されています。 ▲顔を出したヤッコソウ(踏み荒らし防止のためロープ柵内は立ち入り禁止です) ▲シイの根から直接出ている様子 ▲ヤッコソウの断面 中には無数の小さな種が入っており、アリが種を運びます。 保護林マップ登山口(A)は保護林の看板や神社の鳥居が目印です。 登山口(B)からのコースもありますが、歩道の一部が不明瞭なため、一般的ではありません。 歩道沿いの民有林では炭焼窯跡を多数見ることができ、炭焼きが盛んに行われていたことが伺えます。 また、白皇山からは天候が良ければ、土佐湾や室戸岬まで見渡すことができます。 イラストマップ上空から見た保護林足摺岬にある白皇山の山頂付近から足摺スカイラインの近くまでが保護林です。(2012年3月27日撮影) その他の写真はフォトアルバムをご覧下さい。 保護林内の植物当保護林はシイ(スダジイ、ツブラジイ)やアカガシが優先する森です。 そのほかに、イスノキやカゴノキ、バリバリノキ、ホソバタブ、サンゴジュ等が生育し、林床にはヤッコソウやアリドウシ、ツワブキ、センリョウ、オモト、キジョラン等60種類以上が確認されています。 シイの1つであるスダジイは暖地の山地に生え、高さ30mほどの高木になる常緑広葉樹です。 樹冠は円形で、5月~6月に淡黄色の花を一斉に咲かせる様子は巨大なカリフラワーが生えているように見えます。 よく似たツブラジイ(コジイ)は樹皮が滑らかで葉はスダジイよりやや小さいです。 ▲スダジイの幹 スダジイはツブラジイに比べて長寿と言われています。 ▲ツブラジイの実(どんぐり)(三原村にて撮影) どんぐりは、スダジイに比べて、やや小さくて球形に近いです。そのまま食べることができます。 ▲アカガシの優先する箇所(保護林上部) アカガシの特徴は滑床山保護林をご覧下さい。 ▲保護林内にはキジョランという蔓性植物があり、渡りをする蝶として有名なアサギマダラが産卵する植物の1つとして知られています。 ▲キジョランの葉を食べるアサギマダラの幼虫 円形に食べ跡を残すのが特徴です。有毒のキジョランを食べて体に毒を蓄積し、鳥などから捕食されるのを防ぐと言われています。 また、成虫になると、ヤマヒヨドリやフジバカマの花からピロリジンアルカロイドという毒を取り込み、その臭いで鳥やクモなどから身を守っています。 ▲ヒメアリドウシ(2012年12月撮影) ▲ツワブキ 葉がフキに似ており、ヤッコソウが出る頃に黄色の花を咲かせます。
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