鳥獣被害対策(ニホンジカ)
ニホンジカをはじめとした野生鳥獣被害対策については、平成25年に環境省・農林水産省で定めた「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」のなかで、当面の捕獲目標を「シカ・イノシシの生息頭数を10年後までに半減」することとしています。 しかしながら、遠野市周辺ではシカの個体数が増加し続け、農作物等への被害が深刻な問題となっています。 |
国有林野における被害
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食害にあったスギ造林地 | 食害にあったスギ苗 | 広葉樹の皮剥被害 |
被害防除対策
被害防除対策とは、ニホンジカによる植栽木の食害を未然に防止するため、柵を設置する行うなどの対症療法です。早池峰山では高標高地においてもニホンジカが確認されており、高山植生への食害も発生しています。このことから、令和元年度に岩手県、三陸北部森林管理署及び当支署で「早池峰山国定公園内の国有林野における防鹿柵(植生保護柵)の設置」に関する協定を締結し、希少植物が群生している箇所を優先的に保護、管理をしています。
造林地において植栽木を食害から予防する対策としては、植栽した箇所の周囲に防鹿柵を設置、植栽した苗木の単木に保護管を設置、植栽した苗木にシカ食害対策剤を散布するなど被害防除対策を施しています。
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早池峰山の希少植物をニホンジカの食害から守るための植生保護柵設置 | 新植した植栽木(スギ)をニホンジカによる食害から守るため防鹿柵を設置 |
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植栽した苗木に保護管を設置 | 植栽した苗木にシカ食害対策剤を散布 |
個体数調整対策
個体数調整対策とは、狩猟等によりニホンジカの個体数を減らすための抜本的な対策のことです。遠野支署では、ニホンジカ被害防除事業による誘引捕獲(委託による捕獲)、ニホンジカ捕獲連携事業(誘引除雪)、ニホンジカ等被害対策協定によるわなの貸出等を行っています。
特に、ニホンジカの個体数を効率的に減らすには出産前の冬期にメスジカを捕獲するのが効率的であることから、遠野支署では、地元猟友会や各協議会と連携しながら、狩猟期(11月から3月)に猟場を提供するため国有林林道の除雪を行い餌で誘引することで、狩猟者が山奥に入り捕獲できるように支援しています。
〈林道除雪路線数と捕獲実績〉
平成28年度 2路線 113頭
平成30年度 7路線 348頭
令和2年度 12路線 802頭
令和3年度 13路線 1,002頭
なお、令和5年度においては12路線の除雪を行う予定です。
また、委託事業により使用するワナは、錯誤捕獲を防止し設置が容易なくくりワナ(直径12cm円形)を使用して行っており、協定により貸し出しするワナも、主にこのくくりワナを貸し出しています。
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林道除雪により猟場を提供(琴畑林道) | 林道除雪と同時に餌によりニホンジカを誘引(恩徳林道) |
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委託によるニホンジカ捕獲(早池峰山河原の防地区) | 協定によるわなの貸出 |
国有林における「ニホンジカ捕獲応援隊(国有林の見回り隊)」の活動
上記ほかに遠野支署では、国有林野内での捕獲を強化するため、令和4年度に国有林における「ニホンジカ捕獲応援隊(国有林の見回り隊)」を結成し、職員参加型のニホンジカ捕獲補助者として活動しています。「ニホンジカ捕獲応援隊(国有林の見回り隊)とは、狩猟免許を所有していない職員でも遠野市が主催する講習会を受講することで捕獲補助者として認定され、捕獲実施者(猟友会)の管理の下、請負事業の通勤途中にワナを設置し、見回り等の業務を行い捕獲のお手伝いをする活動です。
令和4年度は捕獲の成果はありませんでしたが、昨年の反省点を生かし今年こそはと職員全員が捕獲意欲を高めています。
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国有林の見回り隊:講習会の様子 | 国有林の見回り隊:ワナの設置 |
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ワナに近寄るニホンジカ | センサーカメラ |
ニホンジカ対策の勉強会を実施
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遠野支署では、職員一人ひとりが共通の認識を持ってニホンジカ被害対策に対応するため勉強会を開催しました。 ニホンジカが増加した原因や、増えすぎたニホンジカが及ぼす影響などを共有することで職員の捕獲意欲が高まり、「国有林の見回り隊」をはじめとしたニホンジカ被害防止対策に本気で取り組んでいます。 |
お問合せ先
岩手南部森林管理署遠野支署
ダイヤルイン:0198-62-2670