管内国有林の名所
焼石岳(やけいしだけ)
焼石岳は、岩手県奥州市や西和賀町などの境にそびえる標高約1,547mの山です。
東北地方でも有数の「花の名山」として知られており、
山頂周辺には焼けたような黒い岩が多く見られ、それが山名の由来とされています。
焼石岳の山麓はブナの原生林に覆われ、登山道を進むにつれて湿原や小さな湖沼が点在する静かな景観が広がります。
中沼・上沼周辺は特に湿性植物が豊富で、雪解けから夏にかけて多くの高山植物が咲き誇ることで知られています。
登山道の中盤から上部にかけて現れる姥石平(うばいしだいら)は、
焼石岳を象徴する広大な花畑が広がるエリアです。
ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、ヒオウギアヤメなど、多彩な高山植物が一面を彩り、
「東北屈指の花の山」と評されるゆえんとなっています。
山域には中沼・上沼・焼石沼などの湖沼が点在し、水面に空や雲が映り込む美しい景色が楽しめます。
周囲の湿原と高山植物がつくる自然庭園のような風景は、焼石岳ならではの魅力です。
秋になると山肌全体が赤や黄に染まり、湖沼と紅葉のコントラストが訪れる人々を魅了します。
特に中沼・姥石平周辺や泉水沼などの紅葉は見応えがあり、焼石岳のもう一つのハイライトです。

山頂に近づくと見晴らしが一気に開け、
栗駒山、岩手山、早池峰山、鳥海山、月山など東北の主要な山々を望む雄大な景観が広がり、展望は抜群です。

◎交通アクセス(今回紹介した中沼登山口)
東北自動車道・水沢ICから西へ約1時間(約30km)、林道を進んで登山口に到着
冬季は林道への車両アクセス不可
他につぶ沼登山口(岩手県側)、東成瀬三合目登山口(秋田県側)があります。
栗駒山(須川コース)
栗駒山(標高1,626m)は、岩手・宮城・秋田の三県にまたがる栗駒国定公園の主峰で、
岩手県側では須川岳(すがわだけ)とも呼ばれています。
須川コースは、岩手県側の須川高原温泉を起点とする代表的な登山ルートです。
須川コースの大きな特徴は、須川高原温泉のすぐ脇から登山が始まる点にあります。
登山口周辺では硫黄の香りが漂い、火山活動によって生み出された大地であることを感じながら歩き始めます。
登山道の中盤では、木道が整備された名残ヶ原(なごりがはら)と呼ばれる高層湿原を通ります。
初夏から夏にかけては、ワタスゲやイワイチョウなどの高山植物が咲き、穏やかな湿原景観が広がります。

さらに進むと、昭和19年(1944年)の噴火によって形成された昭和湖や、噴気が上がる地獄谷など、
栗駒山の火山活動の痕跡を間近に見ることができます。
天狗平付近からは視界が開け、なだらかな稜線歩きとなります。
山頂に近づくにつれて、周囲には広々とした景観が広がり、
晴れた日には鳥海山や月山、蔵王連峰などを望むことができます。
須川コース周辺は、秋になると山が赤や黄に染まる紅葉の名所としても知られています。
山肌を覆う紅葉は「神の絨毯」と称され、多くの登山者や利用者を魅了します。
須川コースは、岩場や鎖場が少なく、登山道も比較的整備されているため、
日帰り登山が可能な入門的コースとして親しまれています。
一方で、火山ガスや天候の急変など自然特有のリスクもあるため、
事前の情報確認と十分な準備が必要です。
◎交通アクセス(※冬季アクセス不可)
自動車利用
東北自動車道 一関ICから
国道342号を利用し、約60分
須川高原温泉に無料駐車場あり(普通車約200台)
公共交通機関
JR一ノ関駅から岩手県交通バス
「須川温泉」行きで約90分(季節運行)
終点「須川温泉」下車後、徒歩すぐで登山口
バスの運行時期・本数は季節により異なるため、事前確認が必要です。
仙人峠の姥杉
姥杉は、幹や枝の独特な形が特徴的な、地域を代表する巨木で、林野庁の「森の巨人たち百選」にも選定されています。
長い年月をかけて育った姿は、自然の厳しさと力強さを今に伝えており、訪れる人の目を引きつけます。
厳しい風雪や気候条件の中で成長してきたとされ、太くねじれた幹や枝の形から、長年生き続けてきたことがうかがえます。
その姿は、自然の中でたくましく生き抜いてきた森林の歴史を感じさせます。
「姥杉」という名前については、年老いた女性(姥)を思わせる姿に由来する、あるいは長寿や生命力の象徴として親しまれてきたなど、いくつかの由来が残されています。
このような呼び名からも、姥杉が人々の暮らしや信仰と深く関わってきた存在であることがうかがえます。
姥杉は、単なる大木ではなく、その土地の自然環境や、人と森林との関わりを伝える貴重な存在です。
森林の保全と自然の大切さを感じることができる見どころの一つとなっています。

◎交通アクセス
JR北上線和賀仙人駅から車で国道107号を秋田方面へ1km進み、
仙人橋手前から500m地点の駐車場から徒歩約45分
たろし滝
岩手県花巻市石鳥谷町葛丸川渓流にあるたろし滝は、毎年冬だけ美しい自然現象をみせます。
山から流れ落ちる水が厳しい寒さによって少しずつ凍りつき、巨大なつらら状の氷瀑(ひょうばく)になります。

たろし滝は、冬の冷え込みが強い年ほど大きく成長します。
条件がそろうと、高さ十数メートルにもなる一本の太い氷の柱となり、周囲の雪景色と相まって、美しい光景を作り出します。
たろし滝は、見た目の美しさだけでなく、地域の信仰や文化とも深く結びついています。
氷の太さによって、その年の米の豊作や天候を占う言い伝えがあり、地元では古くから大切にされてきました。
毎年1月下旬から2月上旬にかけては、滝の状態を見守りながら、地域の人々や多くの見学者が訪れます。
たろし滝は、気温や降水量などの条件によって、毎年必ず見られるとは限りません。
だからこそ、成長した姿を目にできたときの感動はひとしおで、「自然の美しさ」と「冬の厳しさ」を実感できる貴重な存在です。
◎交通アクセス
石鳥谷駅より車で約15分
現地入口手前約500mに駐車場
大空滝(おおぞらのたき)
大空滝は岩手県花巻市豊沢地区、奥羽山脈の中腹に位置する、県内有数の名瀑です。
落差は約83メートル、幅は約6メートルあり、岩手県内でも最大級の落差を誇る滝として知られています。
大空滝は、滝つぼ付近から滝の最上部が見えにくく、
白い水の流れがまるで空から降ってくるように見えることから、この名が付いたといわれています。
滝は岩壁を七段に分かれて流れ落ちる段瀑(だんばく)で、
その雄大な姿は遠くからでもひときわ目を引きます。
滝の周辺には、ブナの原生林が広がっており、
四季折々に表情を変える自然景観を楽しむことができます。
特に秋には、紅葉と白い滝の流れが美しい対比を見せ、多くの人を魅了します。
大空滝は、宮沢賢治の童話『なめとこ山の熊』 にも登場する滝として知られています。
物語の中では、山奥の象徴的な風景として描かれ、
花巻の自然と文学を結びつける存在となっています。
大空滝は、豊かな森林に育まれた水が長い年月をかけて形づくった、
自然と森林環境の大切さを感じられる景観資源です。
森林が水を育み、滝となって現れるその姿は、
人と自然との関わりを考えるきっかけを与えてくれます。
◎交通アクセス
花巻南ICから駐車場まで車で西へ約40分、駐車場から徒歩で約80分
お問合せ先
岩手南部森林管理署
ダイヤルイン:0197-24-2131




