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センター学習室(展示室)について
藤里森林生態系保全センター学習室ではパネルを設置して写真展を開催しました。今のようにチェーンソーや重機を使わず、大きなノコギリで木を切り倒してソリなどで木を運んでいた時代の林業の様子や、白神山地周辺で見られる季節毎の草花、美味しい山菜やキノコ、逆に毒を持つ野草やキノコ、森に仕掛けたカメラに写った動物たちの様子など森林環境教育に役立つ様々な写真を展示しています。また、国有林で昔使われていた道具なども合わせて展示しています。ぜひ気軽におこしください。
■受付時間
9時00分~16時00分
■受付日
毎週月~金曜日(祝祭日は除く)
展示案内をご希望の教育関係機関(幼稚園・保育園、小中学生、高校、大学等)、その他公的機関、民間団体(NPO等)はこちらから申込みください。→森林環境教育の支援






展示案内プログラム
第1章 年輪について
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この写真は樹齢250年の天然秋田杉の丸太です。どのようにして樹齢がわかったのでしょうか。 丸太をよく見ると、中心から輪のような模様が広がっているのが見えます。これは年輪と呼ばれているものです。 年輪は木の生長速度の違いによって生まれます。夏に木はぐんぐんと生長して樹皮の下から細胞を盛んに作っていきます。しかし、寒い冬は生長が遅く、作られる細胞は少なく小さくなります。この夏と冬に作られた細胞の違いが輪のように見え、年輪になっていきます。 なので年輪を数えると樹齢が何回夏と冬を過ごしたか分かるのでそこから樹齢を知ることが出来ます。 ちなみに冬でも暖かい熱帯地方のなど樹木は年輪がわかりづらくなっています。 ちなみにバームクーヘンはドイツ語で木のお菓子という意味です。 |
第2章 秋田杉について


第1章で出てきた秋田杉は、秋田県を代表する木に指定されていて、全国でも木曽ヒノキ、青森ヒバにならび日本三大美林に指定されています。スギとの違いは写真で見たとおり年輪の幅が短い事です。また木材として軽く弾力性があり曲がりづらいことが知られています。
第3章 昔の林業風景
伐採、造材の様子



左の写真は木を枯らして軽くするため皮を剥いでいる作業です。中央の写真は木の伐採作業です。
のこぎりは江戸時代に秋田県で始めて使われたと言われており、チェーンソーは1940年頃に使い始めたとされていて、現在でもチェーンソーで伐採をしています。右の写真は伐採された木を分けて丸太にしている作業です。
運材の様子






こちらの6枚の写真は伐採された木を運搬しているところです。人や馬の力で川まで運び、そこから川で丸太を漕いで運んでいくのが見えます。
直径25cm長さ2mの丸太は約370kgあります。この写真の木はそれより重そうで、とても大変そうな様子がうかがえます。
河川を利用した運材は、水量や天候に左右され、増水で丸太が流出するといった問題や、時代が変わり川の途中に水力発電所などが建設され、上流から下流まで連続して使用できなくなった問題がありました。


そこで導入したのが森林鉄道です。
明治42年(1909)に日本初の津軽森林鉄道(青森県津軽半島)が完成しました。秋田県では、大正2年(1913)に仁鮒森林鉄道が完成し、その後各地に次々と建設されました。
こちらでは仁鮒森林博物館の紹介をしております。→仁鮒森林博物館(東北森林管理局HPにリンクします)
集材の様子



この写真は貯木場です。運ばれた木はここに集められ出荷されていました。大量の木が並ぶ光景は圧巻です。
昭和22年から25年に東洋一大きな貯木場と呼ばれた天神貯木場が秋田県二ツ井町にありました。天神貯木場には常時120人から200人の職員がいたそうです。



イケメン発見!?
第4章 白神山地でみられるキノコと山菜
食用のキノコ




これらの写真は職員が巡視をしている時に撮ったものです。白神山地周辺では昔から人々と関わりがあり生活と結びついていました。
キノコは日本に約1,500種類自生しており、約300種が食用で、約30種が有毒といわれており、残りの約1,200種は食用なのか不明です。
食用か有毒か見分けることが難しい種もあり、分からない物は絶対に食べないようにしましょう。
採った食用のキノコは基本的に30分くらい水につけゴミをとり、1時間くらい塩水に入れ、虫を出す処理をします。冷蔵庫に入れれば3日くらいはもちます。
有毒なキノコ




ツキヨタケは食用のムキタケ等によく似ており、日本で一番中毒被害の原因となったこともあるキノコです。ドクツルタケは日本で最も毒性が強いキノコと言われています。
アシドーシスとは血液が酸性、アルカリ性に傾き、眠気、めまい、しびれ、呼吸困難を引き起こす症状です。
ちなみにいわゆるキノコは植物で言うところの花に該当し、胞子を飛ばすための器官です。本体は土の中や、倒木の中に糸状の菌糸として広がっており、アメリカにあるとあるキノコは1個体が東京ドーム684個分の広さに広がっていると推定されています。
山菜
山菜の多くはアクが強いためアク抜きが必要です。基本的には沸騰したお湯に重曹と一緒に入れて一晩放置します。ちなみに植物性のアクはシュウ酸やポリフェノールなどの体を守る成分で、動物性のアクは血液などのタンパク質だそうです。
ミズ(ウワバミソウ)


湿った谷筋に群生し、春から秋まで採れる。秋には茎の部分にムカゴ状の玉ができ美味しく食べられる。
茎を皮むきした後に茹でて、おひたしや和え物、味噌汁の具にする。根元の赤い部分は生のままきざみ、山椒と味噌を加えてたたきにする。
ゼンマイ


湿った岩場や渓流沿いなど少し危険な所に生えている。アクが強いので沸騰したお湯に重曹と一緒に入れ、一晩放置し、水を二回ほど一日かけて入れ替えるとアクが抜けて食べられるようになる。旬は3~6月。
煮物や炒めものにする。
ウド

斜面の下側の腐葉土が溜まっているところなどでよく採れる。落ち葉を取り除いて根元深くからナイフなどで採る。
茎は生のまま味噌を付けて食べる。若芽は天ぷらにする。
ミヤマイラクサ(アイコ)


モミジガサ(シドケ)に並んでブナ林を代表する山菜。茎にトゲがあり触れれば痛がゆくなる。
ちなみにイラクサは「イライラする」の語源になったという説がある。
茹でてからおひたしや和え物にする。
ブナの実


10月頃にブナから落ちてくる。
生のままでも食べられて、塩と一緒にいると香ばしくなる。
ニリンソウ


谷沿いの湿り気のある所で採れる。しかし猛毒のトリカブトも同じような場所に生息していて見た目も似ているので注意が必要。
茹でてからおひたしや煮物にする。
有毒な植物
トリカブト


ドクゼリ、ドクウツギに並ぶ日本三大毒草の一つとされていて、口にすると数十秒以内に死に至るほど強い毒草です。
食用のニリンソウに似ており、中毒がおきる危険性があります。
ドクゼリ


セリに似ていますが、やや大きいのが特徴です。
口にするとけいれんや呼吸困難になり、5gで致死量になります。
コバイケイソウ

食用のギボウシやギョウシャニンニクによく似ています。
口にすると嘔吐とけいれんを起こします。ニホンジカはなぜか食べられます。
第5章 白神山地でみられるお花
早春(3月から4月)に見られる花
この時期に咲く花はスプリングエフェメラル(春のはかない命)と呼ばれていて、雪解けの頃に花を咲かせて夏まで葉を広げて、後は地中で過ごす生活をしています。オオバクロモジは枝の皮を剥くといい匂いがするので和菓子のクシなどに使われています。
カタクリはあの片栗粉の原料ですが、種から開花するまで生長するのに9年かかるほど生長が遅いので絶滅の危機に面しています。現在スーパーなどで見かける片栗粉はジャガイモから出来ています。

7月から8月に見られる花
ツクバネソウは名前の通り、花が羽根つきの花によく似ています。ニッコウキスゲは正式名称ゼンテイカで、栃木県の日光地方に多く自生していたことからニッコウキスゲと呼ばれました。
モウセンゴケは虫を捕らえて食べる食虫植物です。べとべとした粘液が出ており、舐めようとした虫がくっつくと葉が丸まり虫を包むことができます。

9月から10月に見られる花
オオハンゴンソウは特定外来生物に指定されていますが、ハンゴンソウは日本の在来種です。
こちらでは白神ミニ植物図鑑を掲載しております。→白神ミニ植物図鑑
こちらでは白神山地の写真集を掲載しております。→写真集:白神山地の森林生態系
第6章 昔の林業の道具

写真右のトランシットは土地の広がり方と高低差を測るときに使用し、現在でも使われています。
写真中央のオーバックLとキルビンメーターはタイヤが付いており、地図上の道に沿ってなぞると実際の道の距離を求めることが出来ます。

こちらは立体鏡です。レンズをのぞいてみると地図が飛び出て見えます!
立体鏡を使うことにより山の傾斜がよくわかり、どのルートで道を作れば良いかを調べます。
第7章 センサーカメラに写った動物たち
藤里森林生態系保全センターでは、白神山地森林生態系保護地域及び周辺地域の保全管理の一環として哺乳類のモニタリング調査のため、藤里町や八峰町の国有林にセンサーカメラを30カ所取り付けて自動撮影をしています。モニタリング調査の報告はこちら→モニタリング調査
こちらでもセンサーカメラに写った動物たちを紹介しています。→センサーカメラに写った動物たち
こちらには巡視中に出会った生き物たちを紹介しています。→巡視中に出会った生き物たち
ホンドタヌキ
・体長50~70cm、体重3~9kg、寿命5~8年。・タヌキの中間は東アジアに分布していて、日本には北海道に生息するエゾタヌキと青森以南に生息するホンドタヌキの2種がいる。
・夏毛の時はやせて見えるが、冬毛の時は漫画などで見るように太って見える。
・主に夜行性で行動しており、雑食性で果実、木の実、昆虫、カエルなどを食べる。
・襲われると死んだふり(たぬき寝入り)をする。
・別名はむじなと呼ばれ、自力で穴を掘れないためアナグマの巣を使うことから、「同じ穴のむじな」とことわざができた。


ホンドキツネ
・体長40~75kg、体重3~7kg。・北半球に生息するアカギツネの亜種だが、違うという説もある。
・肉食性が強い雑食性でネズミ、鳥、昆虫を食べる。
・警戒心が強く、ニンゲンの開発により数を減らしている。
・農事が始まる春頃に山から降りてきて、害獣であるネズミを食べ、収穫が終わる秋頃に山に帰ることから五穀豊穣の神「稲荷さん」の遣いとされ、ネズミの唐揚げをお供えしていたことが転じて(豆腐の)油揚げが好きなイメージがついた。
・北海道に生息するキタキツネには強い寄生虫がいるので注意。


ニホンツキノワグマ
・体長100~150cm、体重40~120kg。・アジアに生息するツキノワグマの亜種。
・植物を中心とした雑食性で、木の葉、タケノコ、ハチ、アリを食べる。動物の死骸も食べるので死んだふりはしてはいけない。
・臆病な性格で通常はニンゲンを察知すると逃げる。ばったりと合わないように鈴をぶら下げておこう。
・西日本では絶滅が危惧されていて、九州では絶滅したと考えられている。



ニホンジカ
・体長90~180cm、体重20~120kg。・草食性でほぼすべての植物が食べられ、最終的には落ち葉でも食べる。
・メスは年に一度大体一頭出産する。また、生まれた子供も1年後の秋には出産出来るようになる。
・農作物被害額は2位のイノシシより7千万円多い5億3千万になる。
・オスの角は毎年生え替わる。


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