私の勤務する雫石森林事務所は、岩手県の西部、秋田県との県境にある雫石町のほぼ中央に位置し、雫石町の北部から西部の約2万1千haの国有林・官行造林地を管轄しています。
　管内は、十和田八幡平国立公園の南端に位置し、岩手山や、奥羽山脈の秋田駒ヶ岳・乳頭山・三ツ石山などに囲まれ、稜線には多様な湿原が散在しており、貴重な高山植物に恵まれ、裾野には国見温泉など多数の温泉が点在しています。葛根田川上流部には、葛根田川・玉川源流部森林生態系保護地域が設定され、ブナ林を主体とする原生的な天然林を保存することにより、森林生態系からなる貴重な自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、学術研究等に資することとしており、全域が同公園に含まれています。

左から雫石・網張・岩手高原の3スキー場	小岩井農場の一本桜と岩手山

  さらに、レクリエーションの森として、葛根田川・玉川源流部森林生態系保護地域の下流に隣接する山岳林では、千沼ケ原などの高層湿原が点在し、葛根田渓谷の新緑や紅葉と、葛根田川沿いには玄武洞や鳥越の滝などの名所や、滝ノ上温泉があり、登山・観光客に利用されている南八幡平自然休養林があります。また、高倉山「雫石スキー場」、網張「網張温泉スキー場」、岩手高原「岩手高原スノーパーク」と3箇所の野外スポーツ地域があり、スキーやスノーボードだけでなく、キャンプや隣接する温泉施設により、四季を通じて多くの人々に利用されています。
　雫石町には、小岩井農場や御所湖周辺の園地などの観光名所が数多くあり、町内のいたるところに温泉施設があります。道の駅「雫石あねっこ」は、温泉施設が併設されている珍しい道の駅で、町内外の人達が利用しています。
　コロナ禍の影響で、観光レクリエーション客は、登山や一部の温泉地以外は減少しております。雫石町を中心に毎年2月上旬に開催されている岩手県の冬の一大イベントである「いわて雪まつり」が、2年連続で中止となったことは残念でなりません。感染拡大が一刻も早く終息するよう願っております。

センサーカメラに写ったニホンジカ

　
  近年、町内では、イノシシによる農作物被害、クマによるスギの皮剥被害に加え、ニホンジカが目撃されるようになしました。まだニホンジカによる林業被害はないものの、このまま増加するようであれば被害が出て来ると考えられます。昨年から雫石町農林課や森林総合研究所東北支所と会議や現地調査等を実施しており、今後も連携しながら、対策を考えていく必要があります。