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東北森林管理局

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    三陸中部森林管理署(令和4年2月)

    五葉山と鉄の町

    森林官 藤原 祐哉

     私の勤務する釜石森林事務所は、岩手県沿岸南部に位置する釜石市の約5千haの国有林を管轄しています。森林の状況は、人工林がスギ、アカマツ、カラマツ、天然林はブナ、ナラ類等の広葉樹が中心です。
     三陸らしく急傾斜な地形で石灰岩が多く見られ、五葉山(1,351m)愛染山(1,228m)を擁しています。五葉山は、三陸沿岸では最高峰であり、天候が良ければ北は山田湾から南は金華山まで展望することができます。
     五葉山周辺は、県立自然公園や保健保安林などに指定され、固有種であるゴヨウザンヨウラクやハイマツなどの高山植物が生育しており、自然観察や登山、レクリエーションの場として広く利用されています。また、コメツガとヒバを主とする天然林など貴重な植物群落があることから、「五葉山植物群落保護林」を設定しています。

    五葉山山頂 ゴヨウザンヨウラク


     鉄の町として知られる釜石市には、現存する日本最古の洋式高炉跡「橋野鉄鉱山・高炉跡」が、2015年世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船・石炭産業」に登録されました。
     また、橋野高炉跡周辺の国有林は、釜石市と東北森林管理局が「橋野鉄鉱山郷土の森保護協定」を結び、橋野鉄鉱山が稼働していた当時の広葉樹林の再生を目指し、間伐などの森林整備を行うとともに、自然教育や歴史教育の場を提供することを目的に、釜石市と共催で毎年育樹祭を開催しています。
     今年度は、新型コロナウイルスの影響で様々なイベントが中止になる中、感染対策を講じ参加者を限定し育樹祭を開催することができました。
     今後も新型コロナウイルスが収束し、以前のような状況に戻る日まで育樹祭開催を途絶えさせないよう継続することが大切です。
     地域とのつながりを維持し連携協力に努めながら、「鉄の町」を支えてきた豊かな森林資源を未来の人たちに引き継げるよう、微力ながら職務に取り組んでいきたいと考えています。

    橋野鉄鉱山稼働時代の森づくり育樹祭