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東北森林管理局

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    三陸北部森林管理署(令和3年6月)

    海のアルプスから

    森林官 岡本 英朗

     

      私の勤務する田野畑森林事務所は、岩手県の沿岸北部に位置する田野畑村にあります。
     田野畑村は酪農などの第一次産業が盛んな地域で、ウニ、アワビ、マツタケなどのほか、牛乳、ヨーグルトなどの特産品があります。
     
    断崖絶壁が続く海岸線
    ナラ枯れ被害木調査

     
     海岸線はリアス式海岸ではなく、高さ200mの断崖絶壁に、奇岩怪石、大小さまざまな海蝕洞窟と、ダイナミックな海岸線が約8kmにもわたり続く隆起海岸で、三陸復興国立公園に指定されています。
     かつて「陸の孤島」ともいわれ、それほどに北三陸に位置するこの村への道のりは遠く、険しいものでした。
     昔、田野畑へ赴任してきた役人や教師たちが、あまりの道の険しさに、このまま行こうか、それとも引き返そうかと思案したという槙木沢の「思案坂」。
     そして何とかそこを通過した者も、その先に待ちまかえるさらに深く大きい松前沢に、ついには職も投げ出して帰ったという「辞職坂」があり、今でも田野畑の人々の間で語り継がれています。
     現在は、三陸沿岸道路(北は普代村、南は仙台市)が開通し交通の便は大変良くなりました。
     当森林事務所は、田野畑村と岩泉町・宮古市の一部を管轄し、沿岸部から内陸部の北上高地までの国有林4,160haを管理しています。
     海岸部は、海のアルプスとも呼ばれる北山崎や鵜巣断崖など景勝地が多く、地元の漁師さんが船頭になり、奇岩岩穴をくぐり向けるサッパ船(小型漁船)アドベンチャーズなど体験型観光に取り組んでおり、多くの観光客が訪れています。
     森林官として2年目となりますが、平成29年に管内でナラ枯れ被害が発生し、日々、ナラ枯れの動向に注視し巡視を行っています。
     特に入込者の多い「みちのく潮風トレイル」については、今年から環境省と合同でトレイルコースの点検とナラ枯れ被害状況の確認など連携した取組を実施しています。
     また、田野畑村と協定した遊々の森「未来に繋ぐ~田野畑・希望の森~」においては、毎年、体験学習が行われ、当事務所も森林教室を開くなど積極的に支援を行っています。
     最後になりますが、森林官としての業務は多岐にわたり、日々勉強の毎日ですが、森林の状況、地元の方々の声や地域の情報に対して意識を高く持ち、微力ながら貢献できるよう頑張りたいと思います。
    環境省との合同調査 遊々の森での体験学習