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東北森林管理局

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    遠野支署(令和3年5月)

    地域の象徴である山の国有林管理

    地域技術官 大和田 洸希

     

    六角牛山頂上から撮影した遠野盆地の風景

    土淵児童クラブの子どもたちと行った
    森林学習の様子

    私が勤務する土淵森林事務所の管轄区域は遠野市の土淵担当区(土淵町)と上郷担当区(遠野町、綾織町、上郷町、青笹町)であり、約11haの国有林を管理しております。
    遠野市には遠野三山と呼ばれる、早池峰山(はやちねさん)、六角牛山(ろっこうしさん)、石上山があり、昔から信仰の山として崇められています。柳田國男の遠野物語では、女神が3人の娘にそれぞれの山を与えたとされます。三山の中では、岩手県で2番目に高い山として早池峰山(1917m)が有名ですが、当管内には、六角牛山(1293m)と石上山(1037m)があります。六角牛山は頂上を含め国有林として管理している面積が大きく、石上山は頂上に国有林が接しています。登山であればどちらの山も、朝の明るい時間から登り始め、夕方の明るいうちに戻ってくることができます。といっても所々にきつい傾斜や岩場があり簡単な道のりではありませんが、石上山であれば、降雨後の水量が増加したときにだけ、落差20mの滝になる「石上不動岩幻の滝」等、注目スポットもあります。山頂までいくと、遠野盆地を見渡せるほか、天候に恵まれれば岩手山、鳥海山等も見ることができ、雄大な景色を堪能できます。
    遠野支署では、昨年の夏に六角牛山の登山道を利用し、土淵児童クラブの子どもたちと森林学習を行いました。13合目までの登山道を歩きながら、(ア)樹木や虫に関するビンゴゲーム、(イ)樹木当てクイズを行いながら、要所で森林の役割等の説明をし、学習してもらいました。子どもたちは皆、意欲的に取り組み、普段の生活では見ることのないような木の葉や虫を見つけ、満足してくれた様子でした。
    また、六角牛山においては、国有林と民有林の境界が登山ルートの一部となっているため、標示をしっかりとするなど、境界管理にはより一層の注意を払っています。遠野盆地の多くの地点から眺めることができる地域の象徴であり、国有林の管理を適切に行っていくことが大切だと思います。

    当支署の祠と鳥居


    山仕事に携わる者にとって1212日は、山の神の祭日といい、山の神が木の数を数えるとされることから、入山を慎む日になっています。当支署でも昭和13年に山の神を勧請して以来、毎年この山の神の日には、鳥居のしめ縄を締め替えて、安全祈願を行っています。さて、このしめ縄は、当事務所の職員が製作を行っているものです。材料は、湿地によく生える「スゲ」を使用します。製作は、古参の現場作業職員の指導の下に行っています。3本のしめ縄を三つ編みのように編み込み1つの大きなしめ縄にするのですが、編み込む際は34人での共同作業で行います。そうしなければ、力を入れて硬く締めることができないためです。1年間飾るので、雨風に耐えうる強度に仕上げるためにはコツが必要で作業は大変でしたが、技術を身につける貴重な体験でした。官用車に乗る際に、昨年の再塗装できれいになった祠や鳥居を眺めては、1日の安全を強く意識させられます。
    遠野市は、自然の豊かさが昔から変わらずに残っており、心地よい空気に包まれた場所です。国有林は遠野を育む自然の大きな要素の1つであり、地域との密接な関係は不変なものとして続いていくと思います。今後も地域の方々とのつながりを大切にして、業務に励んでいきたいと思います。