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東北森林管理局

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    青森森林管理署(令和元年10月)

    森林官も海の恋人?

    平内担当区  森林官補
    山田 優志

     

      私の勤務する平内森林事務所は、青森県の津軽半島と下北半島の間から陸奥湾に突き出た夏泊半島に位置する東津軽郡平内町にあります。養殖ホタテの生産量日本一である平内町は「ホタテの町」として知られています。また夏泊半島一帯が浅虫夏泊県立自然公園に指定されており、特別天然記念物「小湊のハクチョウおよびその渡来地」で知られる浅所海岸や、「ツバキ自生北限地帯」として天然記念物指定を受けた椿山、その裾野に広がる椿山海岸など優れた海岸美を誇る景勝地となっています。

     
                    陸奥湾の海と山をつなぐ植樹祭


      このように平内町といえば、海のイメージが非常に強いですが、「森は海の恋人」と言われるように、豊かな海を陰で支えているのは平内町をはじめとする青森県の森林であると私は思っています。森林に降った雨は、川や雨に栄養分を含んだ水を供給します。その栄養分は植物プランクトンや海藻等に利用され、食物連鎖によって動物プランクトンやホタテ等の貝類、魚類等に繋がります。地元の漁業者はそうした「流域意識」を持っていて、昔から森林とうまく付き合ってきました。管内国有林においては社会貢献の森等の「国民参加の森林」が5箇所あり、その中の1つ「陸奥湾の海と山をつなぐ森」では、NPO法人白神山地を守る会や地元の漁業関係者の協力の下で毎年植樹祭が行われています。この活動は平成22年に発生した海水温の上昇で陸奥湾のホタテが大量斃死したことをきっかけに、環境問題へ意識が高まったことから始まりました。私は青森森林管理署内で森林ふれあいを担当していた頃から当活動に関わっていますので、令和元年6月に開催された植樹祭で3回目の植樹の指導となりました。青森市内の高校生や大学生、子供から大人まで参加し、国有林というフィールドで漁業者以外の都市住民等にも「流域意識」を波及させるきっかけづくりに貢献できたと感じています。

                       植樹祭会場に上がる大漁旗


      さて、「植樹指導3年やりました!」なんてことを前述していますが、私は入庁4年目、森林官業務の経験は約1年半のまだまだ新米で、逆に指導されることの方が多いです。先輩の森林官や青森森林管理署内の職員をはじめ様々な関係者の方々に助けてもらいながら日々の業務に取り組んでいます。また各事業の請負業者や地域住民の方の御協力があって、国有林野事業が成り立っているわけですが、その方々とのやり取りの中でも非常に多くの学びがあります。そういった方々への感謝の気持ちを忘れず、現場で学んだことを沢山吸収して活かしながら、今後とも業務に邁進してまいりたいです。そして国有林の保全管理等を通じて、美しい海や地域の生活なども同時に守っていきたいと思います。結びになりますが、平内町の山や海は非常に美しく風光明媚な景色がたくさんありますので、ぜひその自然に触れにおいでください。

                       陸奥湾と国有林