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東北森林管理局

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    仙台森林管理署(平成31年4月)

    一年を振り返って

    仙台担当区  首席森林官
    木戸口  景子

     

      私の勤務する仙台森林事務所は、仙台市内から山形方面に向かった国道沿いにあり、西は山形県境の奥羽山脈から東は太平洋に臨む海岸林までの、仙台市、名取市、岩沼市、亘理町、山元町、七ヶ浜町、及び川崎町の一部を含む約一万三千HAの国有林を管轄しています。
      四月に赴任してから、まるで「いだてん」の勢いで駆け抜けた一年でしたが、その中で感じたのは、都会でありつつ日常の一部に森林、国有林を抱く特徴的な街、「杜の都」仙台ということでした。
      仙台市内には、いくつかの国有林が住宅地の中のオアシスのように点在しています。
      これは、戦後の宅地開発が進み、郊外の丘陵地帯の緑が失われる中で、森林景観が優れていた国有林を市民の憩いの場として利用できるよう、昭和四六年に、権現森、鈎取、台原、三共、海浜の五地区を自然休養林として指定したものです。

       
                       仙台自然休養林入口(台原地区)               園路とアスレチック広場(台原地区)

     

      中でも、台原地区の台原森林公園については、うっそうとしたヒノキやアカマツ林内の散策路で、ジョギングやウォーキングをして楽しむ多くの市民の姿が見られます。
      また、スマートフォンゲームアプリのアイテムが入手できるスポットに指定されているとのことで、立ち止まってスマホを操作している老若男女や、通勤通学の歩行者など、様々な利用の仕方をしている姿が見られます。 

                園路をウォーキングする市民(台原地)      

     

      三共地区の水の森公園についても、キャンプ場と隣接する三共堤沿いのアカマツや広葉樹林の中にある散策路を、ゆっくりと登り降りしながら歩く方たちの姿が朝晩見られます。中には「こんな自然が、この街中にあるなんて!」と感慨深く感想を語る歩行者もいました。
      都市部にある国有林に対して倒木の処理要望や、「落ち葉や虫が入ってくるから伐ってほしい」などの話を頂くことがあります。
      その対応に追われ、悩むことも多いのですが、東北一の都市であるにもかかわらず、日常のその傍らに国有林があり、当たり前に森林に日々接している人たちが多い仙台が、とても面白く愛おしく思えます。
      ふと見上げると、事務所の窓から見える山の神の小さな祠に、学校帰りの子供たちが、その小さな手を合わせています。
      森林を未来につなぐため、国有林に関わるあらゆる人たちがサポーターになってもらいたいという気持ちの一方で、森林の働きや大切さをより多くの方々に理解して頂くよう努めていきたいと思います。


                         水の森公園(三共地区)