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東北森林管理局

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    米代西部森林管理署(平成31年1月)

    先人から受け継いだ財産を継承する

    森林官補(能代担当区)
    野村 祐紀


      秋田の冬も寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
      あっという間に能代森林事務所に赴任してから一年半が経ちました。能代森林事務所は秋田県北西部の能代市と八峰町の国有林野約5千
    haを管理していて、ブナ林に覆われている「白神山地」、海岸防災林である「風の松原」、秋田杉等の資源が豊富な人工林など多様な林相が存在しています。それに伴って様々な業務がありますが、その一部を紹介します。
      当署では秋田杉の丸太の生産を行っていますが、今年は6年ぶりに天然秋田杉を生産しました。天然秋田杉は昭和40年代まで安定して生産され、「木都能代」の発展を支えてきましたが、資源量の減少により平成24年に供給を停止しました。今年は事業の支障木等で生産することになり、能代市の銘木センターで競りにかけられました。その結果、最高値は1m3あたり14万円でした(普通の杉では1m3あたり1万円ほど)。


     
                 伐倒された天然秋田杉                                競りにかけられる様子

      その天然秋田杉の森を見たい方にオススメなのが「仁鮒水沢スギ希少個体群保護林」です。最近、北鷹高校森林環境コースの生徒を案内しました。「伐採されてない天然秋田杉の森があるんだぁ!」と生徒達が驚いていたのが新鮮でした。これからの林業を担う若者に森の魅力を伝えられて嬉しかったです。余談ですが、先生から「署長さんですか」と聞かれ、私は28歳でまだまだ署長になる年齢ではないのですが、貫禄があったのか老けて見えたのかは掘り下げませんでした…


     
                             仁鮒水沢スギ希少個体群保護林

      また、能代森林事務所で一番重要な仕事は風の松原の松くい虫の防除です。風の松原は能代の市街地を飛砂や潮風から守るため江戸時代からクロマツを植栽して造り上げられた海岸防災林で、今では市民の憩いの場となっています。しかし、平成11年に松くい虫被害が発見されてから被害が発生し続けています。毎年、秋に一ヶ月をかけて職員で調査し、冬に被害拡大防止のために被害木を伐倒駆除します。試験的にドローンによる調査も取り組んでいますが、まだまだ人海戦術での調査が欠かせません。

     
                         人海戦術で被害木調査


      天然秋田杉林や海岸防災林、どこにでもある人工林だとしても、先人が残してくださった貴重な財産なので、次世代に継承していけるよう適切に管理して参りたいです。