三八上北森林管理署(平成30年12月)
八幡岳の麓七戸より
森林官補(七戸森林事務所) |
私は今、青森県の七戸町に位置する七戸森林事務所に勤務しています。七戸町はにんにくや長芋の栽培と畜産業が盛んなのどかなところで、夏場は毎日、それらの匂いを感じ馬や牛を眺めながら、山に行っていました。
山での仕事は、境界の調査や造林等の事業の監督、林道等施設の点検など多岐にわたります。私は今年度が初めての森林事務所勤務で、最初のころは「こんなに山の奥まで行くの?」と不安になることもありましたが、最近は次期森林計画の案の作成に取り組んでおり、山を見て「今後この山にどう手を入れて、どう成長させていこうか?」と考えるのが難しいと同時に楽しいです。管内の森林は、先輩方が大切に育ててきた人工林や自然の力によって成立した美しい天然林などバラエティに富んでおり、私の山を見る目と山づくりを考える頭を養ってくれます。
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【八幡岳山頂からの眺望】天気が良ければむつ湾まで見えます。 |
さて、今年度いろいろな仕事をしてきた中でも印象的だった仕事の一つとして、七戸町にある八幡岳での植生調査についてご紹介したいと思います。八幡岳は元々ブナ林が広がる山だったそうですが、昭和中期から平成初頭にかけて、一部が放牧場として使用されていました。近年、そこで地元住民を中心としたボランティアによる植樹祭が開催されるなど、豊かな森に戻そうという動きがあります。私は今年4月に七戸町に引っ越して以来多くの住民と知り合いましたが、多くの方から八幡岳のお話を聞き、八幡岳は地元住民が昔から愛してきた大切な山だということを強く実感しました。今夏、これまでの植樹活動等の成果を整理するため植生調査を行ったので、これから調査結果をまとめ、森林に戻すための効果的な作業方法の検討をしていく予定です。
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【植樹祭の様子】 | 【植樹されたブナ】ウサギ等の食害も見られますが、じっと生きている様子が愛おしく思えるようになりました。 |
よく「我々の仕事は森林を管理することだ」と言いますが、それは偉大な自然の力に向き合うと同時に、山の恵みを受ける人の生活にも触れる、とてもスケールが大きく難しい仕事だということを肌で感じている毎日です。引き続き、山に対しても人に対しても謙虚に頑張ります。
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【成長する木々】 |