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東北森林管理局

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    山形森林管理署(平成30年8月)

    蔵王と千歳山と山寺と

    首席森林官(山形担当区)
    布宮 孝


      当森林事務所は玄関に「山形森林事務所」「山寺森林事務所」の看板を掲げております。
      場所は、山形県庁より少し東側で、旧山形営林署跡地の松林が残る土地に設置され、管理面積は8,300ha(山形・山寺担当区)を管理しております。
      主な業務は、造林請負事業、森林病害虫(松くい虫、ナラ枯れ)の調査・駆除、境界巡視や森林ガイドなどと本年度は森林計画の予備編成のための調査関係となっております。
      管内には、松尾芭蕉の俳句「閑かさや岩にしみいる蝉の声」で有名な山寺立石寺(やまでらりっしゃくじ)、蔵王連峰や蔵王温泉と蔵王スキー場があり、蔵王スキー場には樹氷があり多くの観光客で賑わっています。

                               蔵王スキー場の樹氷


     
    山寺立石寺は正しくは宝珠山立石寺といい、860年清和天皇の勅願によって慈覚大師が開いた、天台宗の山です。皆様が観光ポスターなどで目にする正面の大きな建物は、国指定重要文化財の根本中堂です。入母屋造・5間4面の建物で、ブナ材の建築物では日本最古といわれ、天台宗仏教道場の形式となっております。
      なお、ご注意ください。立石寺へは階段のみで入り口から1,000段以上あります。

      蔵王連峰は古くは、刈田嶺(かったみね)や不忘山(わすれずのやま)といわれ、蔵王の名称は、679年に大和国・吉野山から役小角が蔵王権現を現在の不忘山(宮城県側)に奉還し、周辺の奥羽山脈を修験道の修行の場としての「蔵王山」と称したことに由来し、1950年に戦後新日本観光地百選で総合一位になったことを機に、山形県側では主峰の熊野岳以外は、神社名・温泉地名など、あらゆるものが蔵王に改称されたとのことです。
      また、山形県庁の向かい側には千歳山があり標高が471mと低いことから山形市民の散策コースとして利用されております。この千歳山は飛鳥時代からの阿古耶姫伝説の地として市民に大切にされております。しかし松くい虫被害が1982年から発生し2017年度までの累計被害本数が8,000本を越える処理となっており、昨年度は808本の被害木を処理しております。

     

                           松くい虫被害木の処理                          


      署でも2008年から「千歳山松林再生プロジェクト」をスタートさせ、地元ボランティアの協力の元、抵抗性松の植栽による緑化を進めているところであります。
      外にもナラ枯れ被害も多く、管内だけで無く、隣接の上山森林事務所部内でも多く発生しております。
      昨年度は318本(山形署全体)の被害木を処理しております。今後も被害が広まるのではと心配なところです。

                                  抵抗性松の植栽                         ナラ枯れ被害木の処理


      森林ガイド関係では、森林環境教育のためのサポート団体として、成沢グリーンフィールド協力隊、蔵王緑の騎士団による「遊々の森」や山形グリーンライフ女性の会があり、森林クリーン活動や林業体験などが計画され、各団体への指導・説明を行っております。

                                 緑の騎士団の活動


      当事務所では、森林病害虫被害対策から森林環境教育まで幅広く業務を行っております。今後とも、地域に国有林の仕事や林業についての取り組みをPRして行くこととします。