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東北森林管理局

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    岩手南部森林管理署

    地域の自慢の国有林であるために

    森林官(千厩担当区)

    齋藤  千明


     


     

      私の勤務する千厩(せんまや)森林事務所は、岩手県南にある一関市千厩町にあり、宮城県と秋田県に接する東西に細長い一関市の東側を管轄しています。管内の地域は、太平洋側の気候の影響を受けるため、県内では比較的温暖で、農林業や畜産業が盛んです。管内に点在する国有林は、農地や住宅地に近い里山地域にあり、スギ・アカマツ人工林が中心の林況となっています。管内の国有林には、農業や畜産用の水源になっている沢も多く、昔から国有林は「営林署の山」として親しまれてきました。

    パラグライダー体験ができる室根山    

     

      その中でも、一関市大東町にある「東山松(とうざんまつ)」は地域の自慢のアカマツです。
      岩手県産アカマツは長大で材質が良いことで知られ、江戸時代から「南部アカマツ」と呼ばれるようになりました。東山松はその南部アカマツの地域名の一つで、約150年前に成立した天然林です。学術上価値が高く貴重な樹木群であることから、「一関東山松植物群落保護林」として保護・管理されています。直径60cm以上・樹高25mを超える大径木ばかりの林内は、周囲の林から見ても、頭ひとつ抜きんでています。巡視中に地元の方から「東山松はもう見た?立派な山だよ。」、「子供の頃の遊び場だった。」、「薪用の枝集めしたな。」と、たくさんの思い出を伺い、これまでの長い間、地元の方々の協力の下に大切に受け継いできた歴史を感じました。

    胸高直径80cmの東山松と


       2015年の農林業センサスによると、一関市は岩手県内一の林業経営体数となっており、積雪も少ないことから冬期間の伐採作業も盛んで、年間を通じ林業に従事することができます。一方で、後継者がいない方や遠方に住む方から森林の管理方法について相談を受けることがありますが、業務対応上できないので、相談先の紹介に留まってしまいます。 

    東山松

     

      このような地域の課題に対して、国有林の立場からどのような支援・協力ができるのか、日々の情報収集はもちろん、地元自治体や林業事業体等と相互に連携できる関係づくりが重要ではないかと思います。
      これからも地域の自慢の国有林であるために、森林の魅力を伝えるとともに、身近な森林・林業の課題解決の一助となれるよう努力していきたいと思います。