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東北森林管理局

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    盛岡森林管理署(平成29年11月)

    アカマツ樹種転換で松くい虫被害の北上を阻止

    森林官(岩手担当区)

    川村 晃路


     
    ここは、岩手県岩手郡岩手町にある岩手森林事務所です。
      約5,300haの国有林を管轄する当森林事務所は、岩手県北部に位置し、なだらかな丘陵林が多いため、体力的にも比較的歩きやすい管内ではないかといえます。
      また、国有林が小面積で点在しており、周辺は農耕地や民有林と入り組んだ配置となっているため境界は複雑になり、境界管理は重要な業務の一つです。
     
    さて、平成28年4月からスタートした第五次国有林野施業実施計画では、地球温暖化防止に向けた森林吸収源対策の一つとして、森林資源の若返り「主伐」があります。中でも、主伐期に達しているアカマツ林については、松くい虫被害拡大防止のため、必要に応じ「アカマツ林の樹種転換」を実施することとされております。

                     アカマツ樹種転換エリアの皆伐作業


      松くい虫被害の先端地域になっている当森林計画区は、被害の拡大(北上)阻止はもとより、県北部の「南部アカマツ」資源を保全すべく関係機関と協力し、民国連携による樹種転換等の森林整備を行うため、平成28年7月27日協定が締結されました。
      未被害地域である岩手町南部に、防除帯として東西14キロ、南北2キロにわたるアカマツの空白地帯を設け、マツノマダラカミキリの移動(北上)を防ぎ、「南部アカマツ」資源を保全していく県内初の試みです。そのエリア内の国有林・民有林面積は約1,873ha。そのうち、アカマツ約600haでは皆伐や間伐を実施していきます。
      当該箇所の国有林物件は、立木システム販売により3者と契約し、伐採時期を10~3月とする条件のもとにスタートしました。
      アカマツ林の更新方法は、萌芽更新による広葉樹林とカラマツ低密度植栽(1,500本/ha)による新植を併せて行い、森林総合研究所とプロット調査を行いながら「多様な森林づくり」に取り組んでいます。
     
                                    多様な森づくりの概要

      この更新方法が可能となれば、森林施業の低コスト化、多様な森林への誘導による多面的機能の発揮など公益的機能が充実され、今後の林業に与える影響は大きいのではないかと考えております。
      このほか岩手町には、癒しの効果・病気の予防効果が科学的に認められた「森林セラピーロード」があります。今年の6月24日には、医師であり登山家の今井通子さんを講師に散策会を開催しました。子抱国有林にある「ゆうゆうの森」協定エリア内の2コースを使い、気軽に森林浴を楽しむことができる子抱コース、植物が豊富に自生し、森林浴を十分に堪能できる嵐山コースがあります。
      森の中で深呼吸をしたり、立ち止まって風の音・鳥や虫の鳴き声に耳を傾けたり、五感を使い、木の香りや風の感触、太陽の光を感じることが大切で、散策会の講師の私も体験しました。 
                    森林セラピーロード散策会でリフレッシュ

      森に何かをしに行くのではなく、森に何かをされに行くという意識を持つことがポイントで、
    ストレスの解消と気分のリフレッシュ、病気の予防に一度訪れてみてはいかがでしょうか。


     

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