朝日庄内森林生態系保全センター
「所長が語る!」
平成30年1月
朝日庄内森林生態系保全センター
所長 椙澤 義継
はじめに
当センターは、朝日山地の保全業務を中心に、庄内海岸林の森林整備支援や森林環境教育を行っています。朝日山地森林生態系保護地域は山形県と新潟県に跨がる約7万haが指定され、その内、山形県の約4万8千haが保全対象となっています。この地域の主要部分は、人為の介入がほとんどなく、我が国最大規模のブナ林等原生的な自然状態が維持されていることに加え、低地から高山帯まで広範な植生帯が存在し、亜高山帯針葉樹林を欠き低木林が発達する豪雪地特有の植生が見られるなど、変化に富んだ種々の生態系が展開し、多様な動植物が生息・生育しています。
森林の適正な管理
朝日山地森林生態系保護地域(保存地区)内では、動植物の採取や樹木の損傷等は禁止されています。そのため、保護地域の看板設置(補修)、巡視員によるパトロールや関係機関と連携したスノーモービルの乗り入れ自粛要請・樹木の損傷確認等を行っています。
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スノーモービルパトロール | 入山マナーのお願い |
区域表示看板設置 |
人工林から天然林への誘導
朝日山地森林生態系保護地域(保全利用地区)内の人工林については、育成複層林施業等針広混交林化を図るために必要な施業を行い、将来は天然林へ導くこととしています。このため、保護林内の人工林(79箇所、271ha)の林況確認や天然林に誘導するための更新補助作業の方法等について、山形大学の協力を得ながらモニタリング調査を行っています。
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モニタリング調査 | 林況調査 |
保全作業(植生保護)の取組
朝日山地の保全を目的として、登山道のつづら折り箇所でのショートカット規制や登山道が不明瞭で植生の荒廃が懸念される箇所へロープを設置し、新たに人為的な影響で植生が荒廃しないよう植生保護を行っています。 ![]() |
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ショートカット規制 | ロープ設置による誘導 |
森林環境教育の取組
朝日山地森林生態系保護地域及びその周辺地域において、小中学生の親子を対象に貴重な自然や森林の恩恵を受けている人間社会の一員として、森林や自然の働きを体感し、自然とのつきあい方を学ぶ体験活動型森林環境教育を推進する「朝日自然塾」を朝日山地森林生態系保護地域管理委員会の構成団体等(10団体)と連携して行っていきます。また、庄内海岸林の国有林を森林環境教育の推進を目的とした森林教室、自然観察、体験林業等の活動(遊々の森)の場として、酒田市の西荒瀬保育園と森林環境教育を行っています。
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朝日自然塾:昆虫観察会 | みどりの保育園:森林観察 |
庄内海岸林の整備
庄内海岸の国有林は、北は山形県遊佐町から南は鶴岡市までの延長34km、最大幅800m、面積約835haです。そのほとんどが飛砂防備保安林や保健保安林など、私たちの安全で快適な暮らしを守るための保安林に指定されています。この庄内海岸林を守るため、広域NPO、ボランティア団体、教育機関、行政などからなる「庄内地方林業振興協議会」等により、様々な保全活動に取り組んでいます。各自治体や団体が行っている庄内海岸林の森林整備に職員を派遣し、作業の指導等を行っています。
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JTの森(森林整備) | 遊佐中学生(枝払い) |
森林病虫害被害、野生鳥獣確認
ウエツキブナハムシによるブナの食害やマツノクロホシハバチによるハイマツの食害等の虫害発生状況の確認。近年、県内で目撃されているニホンジカの情報収集(朝日山地に隣接した区域)や特定外来生物(オオハンゴンソウ)の調査を行っています。![]() |
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マツノクロホシハバチ(大朝日岳周辺) | オオハンゴンソウ(朝日鉱泉) |
保全活動等の普及
朝日山地の保全や庄内海岸林の整備等の取組について、各種会議や地域のイベント等を通して普及に努めています。 ![]() |
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朝日山地の取組 | あさひ産業文化祭り | 雪上で遊ぶ家族 |
お問合せ先
林野庁東北森林管理局朝日庄内森林生態系保全センター
〒997-0412 山形県鶴岡市下名川字落合3
TEL:0235-58-1730
FAX:0235-58-1731