津軽森林管理署金木支署
「署長が語る!」
平成29年6月
津軽森林管理署金木支署
支署長 片 岡 操
〇管内の特徴
当支署は、青森県の北西部に位置し、五所川原市、つがる市、北津軽郡(中泊町、鶴田町、板柳町)の2市3町総面積約9.6万haのうち、約3.1万haの国有林を管理経営しています。
稲作が盛んな津軽平野の水源地として重要な森林や、日本海の強い西風から農作物を守ってくれる防風林があります。
日本海沿岸にある屏風山は、砂丘上に造成したクロマツ等の人工林であり、分水嶺に位置する丘陵地帯では、ヒバ、アカマツを主とする天然林及びスギ、カラマツの人工からなっています。
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支署庁舎 |
〇管内国有林の森林施業
人工林約1.2万haはスギが主体であり、天然林約1.7万haはヒバ、アカマツ及びミズナラ等です。
山地災害防止タイプ・水源かん養タイプにおいては、公益的機能の高度発揮のため、適切な間伐の実施や育成複層林施業又は長伐期施業を推進しています。
森林空間利用タイプにおいては、2箇所約424haのレクリエーションの森等の森林とのふれあい環境を整備、自然維持タイプにおいては、国定公園や保護林を設定しています。
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山地災害防止タイプ(大倉岳国有林77林班) | 水源かん養タイプ(尾別山国有林231林班) |
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自然維持タイプ(中小泊山国有林629林班ほか) | 森林空間利用タイプ(袴腰山国有林219林班ほか) |
〇管内の市町の概要
【五所川原市】
津軽平野の中央部に位置し、東の境界である中山山脈は南北に連なる丘陵地帯で、その山麓にはりんご園が続き、そこから西の平地に広大な水田が拓けます。古くから交通の要衝で、県西北地域の政治・経済・文化の中心地となっています。
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立佞武多 | 立佞武多 |
<五所川原市金木地区>
江戸時代の元禄年間に金木新田として本格的に開発が始まったところで、中心地の金木はヒバと米 の集散地として発展しました。
現在は、米、野菜、りんごを中心とする農業が基幹産業となっています。
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斜陽館(小説家太宰治の生家) |
<五所川原市市浦地区>
西側は日本海をのぞみ、南側には岩木川が流れ込む十三湖が占めます。湖口の十三は中世十三湊と呼ばれ、豪族安東氏の拠点として、また、日本海側の有数な港として栄え、近世は、津軽平野の米や山地からのヒバ材の積出港としてにぎわいました。
現在は、十三湖のシジミ漁が基幹産業となっています。
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十三湖と七里浜 |
【つがる市】
津軽平野の日本海(七里長浜)と岩木川の間に位置し、縄文時代後期から晩期の亀ヶ岡遺跡があるなど、古くからこの地域の文化、経済、行政の中心とし て栄えました。
現在は、水田のほか沿岸部の屏風山には砂丘地帯が多いことから、野菜やメロン、スイカなどの栽培が盛んで農業が基幹産業となっています。
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高山稲荷神社 |
【中泊町】
<中泊町中里地区>
平野部の大半は江戸時代に沼沢を開拓したところで、かっては「腰切田」などと呼ばれ、腰まで泥にぬかる湿田でありましたが、土地改良等により豊かな穀倉地帯となっています。約70%が森林で、ヒバ材やその加工品を産出しています。
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不動の滝 |
<中泊町小泊地区>
津軽半島の北端にあたり、竜飛岬まで続く美しい海岸部一帯は、津軽国定公園に指定されています。北部は海岸まで迫る山地と断崖のため、南部の小泊漁港周辺に集落が集中しています。水産業とそれに伴う加工業、製造業が産業の中心になっています。
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権現崎 | 七 ツ 滝 |
【鶴田町】
鶴田町は青森県北津軽郡にあり、「津軽のへそ」と呼ばれているように、津軽地域のちょうど中心に位置しています。
津軽富士見湖には樹齢150年以上の青森ヒバを使用した日本一長い木造のアーチ橋「鶴の舞橋」(全長300 m)があります。
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津軽富士見湖 |
【板柳町】
板柳町は青森県の西部津軽地区の中央に位置し、四季の変化に富む典型的な日本海型の気候を有しています。総面積のほとんどが平坦地で、西は岩木山、東は十川の間にあり、それら水系の分厚く発達した沖積世の堆積物は、りんご園・水田としての利用に適した生産性の高い豊かな平野を形
成しています。
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板柳町ふるさとセンター |
〇後世に伝えるべき治山事業地
林野庁では、平成25年度に治山事業を実施して100年を経過したことを機に、緑がよみがえり国土の保全に寄与した治山事業地を「後世に伝えるべき治山~よみがえる緑~」として、全国から60箇所を選定しました。当支署管内から、五所川原市の「先人の知恵とヒバの耐久性を伝える木製えん堤」と、つがる市の「人々の暮らしを風や飛砂から守る屏風山海岸防災林造成事業」の2箇所が選ばれました。
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坪毛沢のヒバ木製えん堤 | 屏風山海岸防災林 |
〇多様な森林への誘導(ヒバ林の復元に向けた取組)
かつてヒバ林が成立していた地域に「ヒバ林復元推進エリア」を設定し、平成29年度からエリア内において、主に天然力を活用して、スギ・カラマツ等の人工林からヒバ林への誘導に向けた取組を進めていくこととしています。
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ヒバ林復元推進エリア | ヒバ林(飯詰山) |
〇国民参加の森林づくり(森林整備の体験活動)
中泊町立中里中学校との「遊々の森」の協定に基づく5年間の活動として、1年生、2年生を対象に森林教室や青森ヒバの伏条更新に着目した空中取り木苗の作製・植樹・下刈などの森林整備の体験活動を、森林技術・支援センターの協力を得ながら、6月・7月及び9月頃に実施しています。
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2年生の下刈体験(7月) | 1年生の植樹体験(9月) |
〇森林環境教育の取組(森林教室、現地学習会)
小田川土地改良区等の協力要請に基づき、地域の小学校を対象とした「森林の役割」等の森林教室や現地学習会を実施しています。
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森林教室 | 現地学習会 |
〇林業低コスト化に向けた取組(コンテナ苗を活用した一貫作業システム)
林業の低コスト化に向けて、植栽から下刈までの初期投資の縮減、植栽におけるコンテナ苗の活用の推進や、伐採とコンテナ苗を用いた植栽を連続的に実施する「一貫作業システム」に取り組んでいます。
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造材 | 運材 |
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コンテナ苗の植栽 | 現地検討会の様子 |
〇国有林野の保全・管理
【自治体・ボランティアなどと連携した清掃活動】
海岸防災林へのゴミの不法投棄を防ぐため、五所川原市や当支署の「森林巡視員の会などと連携を図り、十三湖周辺の五月女萢国有林での清掃活動に取り組んでいます。
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清掃活動の様子 | ゴミの収集運搬の様子 |
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集合写真 |
【海岸防災林の保全管理啓発活動】
松くい虫被害が「屏風山海岸防災林」まで迫ってきていることから、被害木の早期発見のため、巡視活動に努めています。また、山火事、ナラ枯れや松くい虫など様々な森林の脅威から保護していくためには、地元住民の理解と協力が不可欠であることから、地域の方々に「屏風山海岸防災林」の役割や価値の認識を高めるための啓発活動として、現地研修会を開催しています。
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座学の様子 | 看板設置の様子 |
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集合写真 |
〇民有林関係者との連携強化
【管内の県及び市町等打合せ会議】
当支署管内の県、市町、森林組合の関係者との会議を開催し、当該年度の計画事業、取組事項などの情報・意見交換や要望の聞き取りを行い、民国連携推進のための関係強化に努めています。
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【五所川原農林高等学校インターンシップ】
当支署では、10年以上前から五所川原農林高等学校からの依頼によりインターンシップを実施しており、森林科学科2年生を対象として10月上旬に3日間実施しています。
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ポケットコンパス測量の演習 | 土木実習 |
【森林整備推進協定の締結による森林共同施業団地】
民有林と連携することで事業の効率化が図れる五所川原市前田野目地区ほかに、森林整備推進協定の締結による森林共同施業団地を設定し、民有林と連結した路網、中間土場の整備や計画的な間伐、民有林材との協調集荷に取り組むこととしています。
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森林共同施業団地のエリア |