森を育てる
木を植え、手入れをし、育った木を切り、跡地にまた木を植えるという林業のサイクルは、森林を健全な状態に保ちながら、持続的に木材を利用するために重要です。 ここでは、森林が育つ各段階で必要な手入れを紹介するとともに、効率的で安全に作業を行い、木材を安価で提供するために現在行われている省力化の試みを紹介します。 |
林業のサイクル
人工林は、木材を収穫するほかにも、水源が枯れないようにしたり、自然災害を防いだりする役割もあります。そのような、森林の持つさまざまな機能を最大限に生かし、50年先や100年先のわたしたちの子どもや孫の代まで森林の働きを維持していくためには、どのような作業が必要なのか、見てみましょう。
重要な間伐
間伐とは?
日本の森林の約4割が、スギやヒノキを植林してつくった人工林です。人工林は、昭和30~40年代に植えられたものが多く、間伐(木の間引き)という手入れが必要な年齢に達しています。 |
間伐の重要性
間伐をすると森林の中に光が差し込んで草や低木が生え、森林はいきいきと健全になります。そして、森林が本来持っている、水源かん養や土砂崩れの防止などのさまざまな機能が十分発揮されるようになります。
人工林では、将来1haに500本から1,000本の立ち木を収穫することを想定していますが、生育途中で病虫害等にあうこと、まっすぐで上の方まで太い木を作ることなどを考えて収穫時の密度より何倍か多くの本数(3,000本程度)を植栽します。
植えてから20年程たつと、木が成長して仲間同士の競争が激しくなって、そのまま放置すると幹がモヤシ状になり、大雪や強風などによる気象害に対する抵抗力が低下してきます。そこで、この時期から概ね10年毎に20%か30%程度づつ間伐を繰り返すことで、最終的な姿に誘導していくことにしています。
省力化の試み
木を伐採した後、森林の中でチェーンソーや高性能林業機械を使って、枝を落とし、短く切って丸太にします。その丸太をトラクタで林道まで運び出して、トラックで製材工場や木材加工工場まで運びます。 この課程を省力化し、効率的で安全かつ安価に木を伐り出し、木材の利用を促進することは適切な森林の保全や整備につながるため、現在、壊れにくい道づくりや新しい機械の開発・導入が行われています。 |
高性能林業機械
最近では、高性能林業機械と呼ばれる作業機械の普及が進んでおり、これらの機械と路網の整備を組み合わせることにより、安全で効率的な作業が行われるようになってきております。 |
高性能林業機械を使った作業システムの一例
木を伐倒し、1箇所に集めた後、枝を落として必要な長さに造材し、トラックに乗せて搬出します。 なお、近年では従来の間伐に比べ搬出の効率が良い列状間伐も取り入れています。列状間伐は、伐列との残列を決め、伐列の分を伐倒していく方法です。 |