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東北森林管理局

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    岩手南部森林管理署遠野支署

      岩手南部森林管理署遠野支署は、遠野市と花巻市の東部地域(旧東和町及び旧大迫町の区域)を管轄しています。管内には早池峰山などの名峰ほか、遠野物語や宮沢賢治ゆかりの地が数多く、これまでの広報でも紹介されていますので、今回は少し視点を変えてみたいと思います。

    その1  山々と信仰

      当支署管内には信仰の対象となり山麓に里宮が鎮座し、山頂には奥宮が営まれている山々が数多くあります。山岳信仰は修験道との関わりが深いため明治初期に神仏分離が行われるより前には寺院(別当寺)であった神社もあります。

      遠野市附馬牛町大出と花巻市大迫町岳に鎮座する早池峯神社は、ともに「瀬織津姫」を祭神とし早池峰山山頂に奥宮が営まれています。両社とも神仏分離より前は妙泉寺という寺院でした。遠野早池峯神社は妙泉寺時代の建造物が使用されており、寺院建築と伽藍をよく留めています。また、遠野と岳それぞれが特徴のある神楽を伝えており、夏に行われる例祭の宵宮には県内外からの夜神楽見物の客で賑わいます。

      遠野物語では「神の始(はじめ)」として遠野三山(早池峰山、石上(神)山、六角牛山(ろっこうしさん))の姉妹の女神の伝承が紹介されています。この三姉妹の女神というモチーフは北上山地の他地域にも見ることができますが、遠野市附馬牛町の神遣(かみわかれ)峠は三姉妹がそれぞれの山へと別れた地とされ神遣神社が祀られています。

      石上山と六角牛山を信仰の対象とする神社としては同市綾織町に石上神社、同市青笹町中沢に六神石神社、同糠前に六角牛神社が鎮座し、人々の信仰を集めています。

      遠野市宮守町と花巻市東和町の境にある砥森山(ともりさん)も信仰の山で、どちらからも一時間程度で登れる山頂(南峰)には宝剣が祀られ、宮守町下宮守と東和町田瀬には砥森神社が鎮座し、宮を祀ったことが宮守の地名の由縁と伝えられています。

      さて、管内には神社が非常に多く、法人格があるものだけで88社(遠野市43社、旧東和町40社、大迫町5社)が鎮座し、山の神など民間信仰の小社()は無数にあります。年間を通じて、どこかの社では例祭や神事などが行われており、訪ねて歩けば地域の民俗文化の豊かさを感じることができると思います。

     
                    岳早池峯神社の夜神楽                遠野早池峯神社の神楽殿
       
         神遣神社の三姉妹の女神像  

     

    その2  琴畑渓流とループ線

      遠野市土淵町の琴畑渓流は新緑や紅葉の美しさで知られ、3月から9月にはイワナやヤマメを追って多くの釣り客が訪れます。琴畑川は市の上水道の水源でもあり、国道340号線から分かれて市道を進んで琴畑集落を過ぎると琴畑取水場があります。これを過ぎて国有林に入ると、遠野遺産「琴畑渓流と白滝不動」があります。遠野市では有形・無形の文化や自然を守り伝えるため「遠野遺産」の認定をしており、国有林内でも複数の遺産が認定されていますが、こちらもその一つで、琴畑渓流でも特に美しい「白滝」とほとりに祀られる不動尊が認定されたものです。

      林道を進むとNPO法人が当支署と協定を結んで放牧跡地の森林再生に取り組んでいる「琴畑水源遊々の森」があり、近接する沢筋には「琴畑湿原ハルニレ遺伝資源希少個体群落保護林」がありミズナラやハルニレの遺伝資源を保全しています。

      さらに、琴畑林道から分岐する遠野市道「樺坂峠線」登はんしていくとボックスカルバートを利用したループ線があり、小規模とはいえ正真正銘のループ構造となっています。この市道は当初、琴畑高原の牧野に通じる農道「琴畑樺坂峠線」として昭和53年頃に開設されたものです。山岳国道などで採用されているループ線ですが、小規模な未舗装道路での施工事例は全国的にも特異ではないかと思われ、交通ファン垂涎の名所になることを期待しています。

       
                          琴畑渓流の白滝                     市道樺坂峠線のループ線




    お問合せ先

    林野庁  東北森林管理局
    岩手南部森林管理署遠野支署
     〒028-0515岩手県遠野市東舘町7-39
     TEL 0198-62-2670   FAX 0198-62-9628