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28号 |
平成22年12月発行 |
10月20日、愛媛県、宇和島市、松野町、環境省等の関係機関、有識者等の出席を得て、「第6回滑床山植生回復検討会」を開催しました。
最初に、昨年度にシカ防護ネットを設置した黒尊山国有林1林班で意見交換をしました。ここは昨年度末にムシロ伏せ工を実施した箇所で、現在ではイワヒメワラビが旺盛に成長しています。参加者からは、「周囲の枯れ木などを活用して土壌の流出防止措置を実施してはどうか」の意見が出されました。
次に、滑床山山頂(通称「三本杭」)とその近くの通称「たるみ」で、平成19年3月に移植したミヤコザサの生育状況等を確認しました。山頂では、森林総合研究所四国支所の奥村野生動物害担当チーム長から、モニタリング調査を基に、「移植したササは、今年急激に生長し、昨年平均15cmだったササが2倍の高さまで伸び、地下茎の発達が広がった」との説明と、一方、ネット外では、食害が進み、ニホンジカが食べないアセビが増えるなど生態系に影響が出ているとの説明がありました。
出席者からは、「雨水の流れをとめるのには、枯木などを利用することは効果があると考える」「シカ被害対策として、シカ防護ネット柵の設置だけでは限界があり、頭数調整が必要と考える」等、多くの意見が出されました。
提言された内容については、今後の取組としてさらに検討をしていくことしました。
奥村チーム長による説明 |
急激に成長するネットの内側(右側) |
10~11月の八面山は、イロハモミジやウリハダカエデが真っ赤に色づき一年中で一番賑やかな時期を迎えます。今年も、四万十市立川崎小学校・下田小学校・具同小学校、松野町立松野西小学校の児童、計149名を対象に案内しました。登山道沿いの樹木やニホンジカの食害を説明しながら、八面山山頂(1,165m)を目指し、山頂では、遠くに見える滑床山(1,226m)が、土佐藩、宇和島藩、伊予吉田藩との領地の境として杭を立てたことから「三本杭」と呼ばれるようになったことを話すと、児童達は驚いていました。 その後、近くのブナ林へ移動し、森林のもつ様々な働きについて、紙芝居を使って説明しました。「森林の働きについて知っていますか?」の質問に、「水を蓄える」「山崩れを防ぐ」等活発に答えてくれました。学習の後は、八面山名物の手作りブランコに「怖ーい」と言いながら何度も挑戦していました。
児童達は、八面山登山や森林教室を通じて、森林の働きと大切さを学び、ブランコに乗って楽しさを体験し、忘れられない秋の思い出となったことでしょう。
松野小学校 |
川崎小学校 |
下田小学校 |
具同小学校 |
10月22日、四万十川の支流の一つである黒尊川上流の国有林にて、四万十川の河口にある四万十市立下田小学校の6年生14人がイロハモミジの植樹を行いました。これは、今までに学習した森林の仕組みの学習のまとめとして、森林の機能を高め、より良い森林に育てていくために苗木の植え付けを行うことを目的としています。
児童は、慣れない傾斜地での歩行や持ち慣れない鍬での作業に苦労しながらも、丁寧に苗木を植え、シカに食べられることのないように植生保護管を被せ、約1時間で40本を植え付けました。
児童は、「何年か経って、イロハモミジの紅葉が見られるようになったら見に来たい」と言っていました。
当センターも再び訪れてくれることを楽しみに、またそのおりには紅葉の名所と言われているように、今できる施業をコツコツ続けて行きたいと考えます。
植生保護管の組み立て |
大きくそだて |
10月26日、四万十市立後川中学校の全校生徒21名を、土佐清水市にある足摺亜熱帯植物園と、天然記念物として国から指定を受けている「松尾のアコウ」に案内しました。 植物園では、足摺を代表するツバキやビロウ、ミカンの原種のタチバナ、変わった名前のショウベンノキ等に興味津々の様子でした。また、松尾のアコウでは、幹の様に見えているのは気根が成長したもので、アコウの気根は他の木に取り付きその木を枯らしてしまうことから別名「しめころしの木」と言われていること等を説明しました。 生徒達からは、「たくさんの植物について勉強することができた」、「ツバキのトンネルは涼しかった」、「家族でアコウの木を見に来たい」等の意見を頂きました。 当センターとしても今回の学習が、植物や自然に対する興味への入り口になってくれることを期待します。 |
神秘的なアコウ |
11月5日、四万十高校、大正・十和地域中高一貫教育理科部会の生徒62名を、「西の千本山」と「四万十川源水点」へ案内しました。西の千本山では直径巻尺を使っての測樹を体験しました。源水点登山では、足元の悪さに閉口していましたが、四万十川の最初の一滴を見て、疲れも吹き飛んだ様子でした。
11月8日、四万十市立西ヶ方小学校全校児童16名とその父兄を対象として、四万十川源流点登山と間伐体験を実施しました。源流点では、サンショウウオを見つけて大喜びし、間伐体験では全員がノコギリを挽き、思った以上に難しいことを体感していました。
今回の間伐体験・登山を通じて、林業作業の大変さや、自分たちの生活を支える水をつくる森への関心・理解が一層深まったことと思います。
源流の水を飲む |
サンショウウオ |
11月9日、神奈川学園高校(神奈川県)の2年生36名が、フィールドワークとして、八面山登山・ブナ林散策や間伐を体験し、森と川の関係、自然や環境等について学習しました。八面山登山では「あられ」が降る寒い中、歩道沿いの樹木の特徴やニホンジカの食害についての説明に、メモを取ったりデジカメに納めたりしていました。間伐作業ではノコギリの取り扱いに苦労しながらも約20本のスギを伐り倒しました。
今回のフィールドワークを通して、自然の厳しさ、食害対策の難しさ、間伐の大変さを体験し、有意義な一日となったことでしょう。
シカによる食害について学習中 |
間伐作業は大変 |
当センターでは、松野町立松野西小学校4年生の総合的な学習の時間の中で、年間6回の森林教室等を行っております。その4回目として9月28日に、「炭焼き」をテーマに学習のサポートを行いました。
最初に、炭の材料や作り方のほか、白炭や黒炭、竹炭などの種類があることを学習しました。次に、自分たちが持ち寄ったマツボックリ、ドングリ、ひょうたん、トマト、ミカンなどを、モミ殻と一緒に空き缶に詰め、たき火の中に入れます。待つこと約1時間、煙の色が透明になればできあがりです。ドキドキしながら缶の蓋を開けます。マツボックリやひょうたんはきれいな炭になりましたが、トマトやミカンは水分が多いため、半焼けの状態でした。
失敗もありましたが、身近にある材料を使った炭作りを通して、炭への関心と理解につながる学習になりました。
また、この日は地元テレビ局2社の取材があり、夕方のニュースで紹介されました。
うまく焼けるかな |
テレビの取材中 |
11月11日、6回目のテーマは「土壌に住む生物」と「森林土壌の仕組みを学習する」です。
土壌に住む生物では、虫眼鏡で発見した生物を、マイクロスコープを使ってスクリーンへ大きく映し出しました。ミミズの幼生は腸の中の土まで映し出され、土を食べていることが理解できました。このミミズが糞をし、豊かな土がつくられることを説明すると、児童達は納得した様子でした。
水の土壌浸透実験では、裸山と樹木が生い茂った山の模型を作り、じょうろで水をかけました。裸山はすぐにくずれ始めましたが、樹木のある山は、ゆっくりと水が流れていく様子がわかり、森林の土砂流出を防ぐ働きが理解できました。
何がいるかな 観察中 |
模型を作成中 |
11月13日、四万十市西土佐黒尊の親水公園を主会場に、「しまんと黒尊むらまつり」が開催されました。当センターも例年どおり木工体験と八面山登山の案内を担当しました。
当日は大勢の人が訪れ、用意した木工クラフトは順調に数を減らしていきました。また、八面山登山では天候にも恵まれ、ウリハダカエデの燃えるような紅葉の中、深まりゆく秋を堪能していました。
親水公園の様子 |
人気の木工クラフト |
11月23日、高岡郡四万十町大道 小椎尾山国有林2057林班の日本最古と言われている複層林において、その誕生から200年を祝うイベントが、四万十町観光協会の主催で開催されました。
当センターも、複層林の案内役として参加し、複層林の施業の経緯や下木が植栽されてから77年経過していること等を説明しました。その後、上木80本の幹周りを計測し、林内での作業を終えました。
昼食は、場所を大道生活改善センターへ移し、「とおわのおかみさん市」によるおもてなし料理をおいしくいただきました。
参加者の皆さん |
複層林についての話 |
宇和島自然科学教室は、宇和島市周辺の学校の理科が好きな教師が集まり、小学生を対象に野外観察活動を行っている団体で、今年で五十周年となることから、その記念行事として八面山への登山と黒尊山での植樹を行いました。
11月27日、晴天に恵まれ登山道周辺の樹木の説明を聞きながら、八面山山頂に登り、そこから続くブナ林に到着しました。そこではロープで作ったブランコをしたり、林床に積もったブナの葉に埋もれてみたりして元気に遊びました。
記念植樹は当センターが、自然再生事業を行っている黒尊山で、イロハモミジの苗木20本を植え、シカの食害から守るために植生保護管も取り付けました。
日常では経験することの少ないブナ林での散策や、山の斜面での作業は、児童の自然や森林への興味を深めたことと思います。
八面山登山 |
記念植樹 |
12月9日、四万十町立昭和中学校の全校生徒25名が、伊豆ヶ谷山国有林2053林班において、間伐体験を行いました。
職員から間伐の必要性とその大切さや、作業についての注意を受けた後、作業に取りかかりました。木を伐るのは初めてという生徒もいましたが、職員の指導を受け全員が1本ずつ伐り倒しました。
生徒からは、「間伐は何のために必要なのか確認できた」「伐った部分に光が差し込んでいたので、自然の力になれて嬉しかった」などの感想を頂きました。
生徒達は間伐を通して地域の産業の1つである林業を体験でき、自然環境保全に対する気持ちが高まったと思います。
間伐について説明 |
思った以上に・・ |
12月7日、松野町立松野南小学校全校児童13名を対象に、身近かな材料を使っての炭焼き体験と木工クラフト作りの出前授業を行いました。
炭焼き体験では、炭の種類や利用方法の説明、ノコギリを使っての切断実験の後、各自が持参したマツボックリやドングリ、折り鶴などをブリキ缶に詰め、ドラム缶のたき火の中へ放り込みます。ブリキ缶から煙が出なくなれば焼き上がりです。缶を取り出し、不安げに蓋を開けると、マツボックリ、折り鶴、紙飛行機がちゃんと炭になっていました。
木工クラフト作りでは、当センターが用意した木の枝の輪切りを利用して、クマのストラップと置物を作りました。作った作品は3学期の学校行事で、地域の方々にプレゼントするそうです。
児童からは、「白炭と黒炭の性質の違いが良くわかった」「ストラップや置物が思ったより上手くできてよかった」等の感想があり、身近にある材料を使った炭づくりや木の枝のクラフトづくりを通して、森林や木材への関心・興味に繋がる学習となりました。
また、この日は地元テレビ局の取材があり、夕方のニュースで紹介されました。
たくさんできました |
取材中 |