ホーム > 報道・広報 > 報道発表資料 > 「後世に伝えるべき治山」の選定について
更新日:25年10月3日
担当:計画保全部治山課
本日、林野庁において「後世に伝えるべき治山」として、全国で60箇所の治山施設等が公表され、四国森林管理局管内からは、徳島県三好市の「大規模地すべりから地域を保全した平谷地すべり防止事業」と高知県室戸市の「大規模崩壊地(加奈木谷のつえ)の復旧により地域を保全した大道南山復旧治山事業」が選定されました。林野庁の「後世に伝えるべき治山」は、治山事業を実施して100年が経過したことを機に、緑がよみがえり国土の保全に寄与した治山事業地を「後世に伝えるべき治山~よみがえる緑~」に選定し、事業の重要性や必要性をアピールするため、5月から選定委員会を開催し、この度、林野庁において公表されたものです。四国森林管理局としても、地域住民に安心・安全を与え、地域環境の保全に資するこれら治山施設等を後世に伝えていくため、関係市町村と連携を図りつつ、PRに努めてまいります。 |
徳島県三好市東祖谷菅生に位置する平谷地すべりは、区域面積60ha、最大深度60mからなる深層の大規模地すべりである。
特徴としては、地すべり末端部が洪水時に崩壊・浸食を受け、末端地すべりが活動することにより上方の地すべりを誘発する後退性地すべりである。
また、末端部は祖谷川の渓床を潜り対岸を隆起させるという特異な地すべりであることから、地すべり末端部の渓床に大規模な床固工群を施工した。
また、地すべりの側圧を受けても破壊されない構造の床固工を開発・改良しながら事業を実施し、大規模地すべりを沈静化させた。
高知県室戸市佐喜浜町に位置する大道南山国有林に発生した45haに及ぶ大崩壊は、通称「加奈木のつえ」と呼ばれ、「日本三大崩壊地」一つとされている。
当地区の復旧工事は、大正6年から41年間かけて実施され、当初の砂防植栽と云われた時代の工法から昭和30年代当時新工法と言われた工法までが網羅されており、渓間工、山腹工ともに治山工法の変遷や当時の積工技術の高さを伺い知ることができる。
復旧工事は昭和39年に完了し、現在は、植栽木の生育、郷土樹種の侵入により、渓床の安定とともに植生も回復している。