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愛媛県の森林面積は約401千haで、県土面積(568千ha)の71%を占めています。
愛媛森林管理署が管理経営している国有林野面積は37.3千haで、その所在市町は、8市6町(官行造林地は除く)にわたります。
特に、「久万(くま)林業」の名で知られる久万高原町を中心に、石鎚山(1,982m)を主峰とした四国山脈脊梁部の中部及び西部、更には南部の滑床渓谷と篠山(ささやま)周辺に主として所在しています。
愛媛県の森林計画区は、今治松山、東予、肱川、中予山岳、南予に分かれ、国有林は、全ての森林計画区に存在します。中予山岳森林計画区と肱川森林計画区の一部では、高知県の土佐湾に注ぐ仁淀川の最上流部に位置しています。南予森林計画区の一部では、四万十川の支流の一つである目黒川の上流部に位置しています。
このような森林分布の中、自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存や自然観察等の保健・文化・教育的な機能を重視した石鎚山系及び滑床山山系、重要な水資源かん養地帯として水土保全機能のより高度な発揮を重視した高縄半島、瀬戸内海に面した地域と南予アルプス等、森林の持つ多面的な機能発揮への社会的要請が種々多岐にわたることから、これらの要請に十分留意しながら重視すべき機能に応じた国有林野の管理経営に努めていくこととしています。
森林は、育成林(人工林)が20,445haで、人工林率は58%と四国森林管理局の国有林野の人工林率67%に比べ低くなっています。これは西日本最高峰の石鎚山や滑床渓谷を中心とした国立公園、国定公園、森林生態系保護地域、自然休養林等に指定された原生的で貴重な天然生林が広く分布していることによるものです。
資源内容は、育成林の蓄積が5,538千m3で、256m3/ha、天然生林の蓄積が2,306千m3で、168m3/haとなっています。
国有林野面積 37,300ha
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(単位:ha)
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国有林野の管理経営に当たっては、公益的機能の維持増進を旨とする方針の下、開かれた「国民の森林(もり)」の実現に向けた取組を進めていくこととしています。
愛媛森林管理署は、個々の国有林野を重点的に発揮させるべき機能によって類型化し、「山地災害防止タイプ」、「自然維持タイプ」、「森林空間利用タイプ」、「水源涵(かん)養タイプ」の4区分に再編し、適切かつ効率的な管理経営を行うこととしています。
区分 |
機能類型区分の考え方(対象) |
管理経営の考え方(施業方法) |
山地災害 防止タイプ |
山地災害防止及び土壌保全機能の発揮を重視する森林 | 根や表土の保全、下層植生の発達した森林の維持 |
自然維持 タイプ | 原生的な森林生態系や希少生物の生育・生息する森林等、生物多様性の保全機能を発揮を重視する森林 | 原生な自然環境を保持する森林、希少な生物の生育・生息に適した森林の維持 |
森林空間 利用タイプ |
保健、レクリエーション機能又は、文化機能の発揮を重視する森林 | 保健・文化・教育的利用の形態に応じた多様な森林の維持・造成 |
水源涵(かん)養 タイプ | 良質な水の安定供給を確保し、水源かん養機能を発揮して、国民生活に欠かせない良質な水の供給を重視する森林 | 人工林の間伐や伐期の長期化、広葉樹の導入による育成複層林への誘導等を推進し、森林資源の有効活用にも配慮 |
|
水資源の確保、自然環境の保全、レクリエーションの場の提供等のため、次のような保安林、自然公園、レクリェーションの森が指定されています。
(単位:ha)
種別 |
面積 |
備考 |
水源かん養保安林 |
33,298 |
洪水や渇水の緩和、水を育む効果 |
土砂流出防備保安林 |
1,060 |
土砂の流出、崩壊による土石流を防ぐ |
土砂崩壊防備保安林 |
5 |
山崩れを防ぐ |
干害防備保安林 |
102 |
簡易水道等の水源が枯れるのを防ぐ |
潮害防備保安林 |
19 |
津波や高潮による被害を防ぐ |
魚つき保安林 |
19 |
魚類の棲息と繁殖を助ける |
保健保安林 |
7,089 |
森林レクリエーション等の場の提供 |
計 |
34,418 |
資料:国有林野施業実施計画書の「国有林野の現況」から算出
(単位:ha)
種別 | 特1 | 特2 | 特3 | 普通 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
瀬戸内海国立公園 | 0 | 0 | 0 | 114 | 114 |
足摺・宇和海国立公園 | 129 | 763 | 1,237 | 0 | 2,130 |
石鎚国定公園 | 1,850 | 2,831 | 1,934 | 169 | 6,784 |
四国カルスト県立自然公園 | 136 | 254 | 687 | 375 | 1,452 |
皿ケ嶺連峰県立自然公園 | 0 | 141 | 0 | 1,357 | 1,499 |
奥道後・玉川県立自然公園 | 0 | 23 | 0 | 0 | 23 |
篠山県立自然公園 | 0 | 32 | 759 | 0 | 791 |
計 | 2,114 | 4,044 | 4,617 | 2,016 | 12,792 |
石鎚国定公園(石鎚山) |
足摺・宇和海国立公園(滑床渓谷) |
(単位ha)
名称 | 面積 | 関係市町 |
---|---|---|
面河四国カルスト自然休養林 瓶ケ森自然休養林 滑床自然休養林 |
1,502 789 1,233 |
西条市・久万高原町 西条市 宇和島市・鬼北町・松野町 |
皿ケ嶺風景林 小田深山渓谷風景林 大谷池風景林 堂ケ森風景林 伊豆ケ谷風景林 石鎚風景林 寒風山風景林 笹ケ峰風景林 篠山風景林 成就野外スポーツ地域 |
47 91 165 44 300 129 191 124 248 34 |
久万高原町 内子町 伊予市・砥部町 西条市・久万高原町 久万高原町 西条市 西条市 西条市 宇和島市・愛南町 西条市 |
計 |
4,897 |
|
大谷池風景林 |
瓶ヶ森自然休養林 |
(単位ha)
保護林の種類及び名称 |
面積 |
主な樹種 |
||
---|---|---|---|---|
石鎚山系森林生態系保護地域 |
4,245 (嶺北署含む) |
ウラジロガシ・モミ・ツガ・ウラジロモミ・シラベ林 | ||
小田深山・小屋山林木遺伝資源保存林 |
8 |
ブナ・カシ類・カエデ類 | ||
滑床山林木遺伝資源保存林 |
37 |
ウラジロガシ・アカガシ・カエデ類 | ||
計 |
4,290 |
平成2年4月に石鎚山を中心とした4,245haが「石鎚山系森林生態系保護地域」として指定されました。保存地区は、森林生態系の厳正な維持を図る区域として、モニタリング(長期的変化の継続的観察)、生物遺伝資源の利用等の学術研究、その他公益的な利用以外には人手を加えずに自然の推移に委ねる扱いとしています。保全利用地区は、保存地区に外から環境変化が直接及ばないよう緩衝の役割を果たす区域として、開発を伴わない森林レクリエーション等の場として利用する扱いとしています。
シコクイチゲ |
【石鎚山系森林生態系保護地域の面積】 (単位:ha)
管轄森林管理署等 | 保存地区 | 保全利用地区 | 計 |
愛媛森林管理署(愛媛県) | 1,149 | 2,671 | 3,820 |
嶺北森林管理署(高知県) | 81 | 344 | 425 |
計 | 1,230 | 3,015 | 4,245 |
石鎚山系森林生態系保護地域(久万高原町)
国有林では、より広範で効果的な森林生態系の保護のため、これまで個々に保全を図ってきた保護林等を相互に連結して、森林の連続性を確保することにより、野生動植物の生息・生育地の拡大と相互交流を促す「緑の回廊」を設定しています。
愛媛森林管理署管内では、石鎚山から高知県の白髪山を結ぶ回廊として、石鎚山系森林生態系保護地域を始めとする保護林間を連結した 「緑の回廊」2,353haを設定しています。
石鎚山地区 緑の回廊 |
石鎚山地区四国の脊梁に位置する石鎚山から、高知県の白髪山を結ぶ延長約70km、幅約2kmの回廊です。 石鎚山系森林生態系保護地域をはじめとする4箇所の保護林と笹ヶ峰自然環境保全地域等を含む区域となっています。 設定面積は、約 7,861haで、結ばれる保護林(4,542ha)を合わせると約12,403haになります。 |
この森林は、久万高原町を流れる久万川の支流有枝川上流に位置する国有林です。高さ、年齢が異なる木で構成される森林で、このような森林を「複層林」と呼んでいます。
上層を占める木(上層木と言います。)の最も高齢のヒノキが、安政6年(1859)に植えられたことから、地元では、「安政の森」と呼ばれています。上層を占める木の植栽年数の違いにより、「安政の森」、「明治の森」、「昭和の森」の3つの林分があり、三世代に亘る複層林を見ることができます。
水土保全林複層モデル林(遅越山38林班)遠景 |
水土保全林複層モデル林(遅越山38林班)近景
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「水土保全複層モデル林」の概要(遅越山国有林38林班ほ1・ほ2・ほ3小班)
区分 |
面積(ha) |
樹種 |
植栽年(西暦) |
林齢(年) |
---|---|---|---|---|
安政の森 | 1.22 | ヒノキ | 上層木=安政6年(1859)、中層木=昭和23年(1948)、下層木=昭和62年(1987) | 上157中68下29 |
明治の森 | 1.33 | ヒノキ | 上層木=明治43年(1910)、下層木=昭和62年(1987) |
上106下29 |
昭和の森 | 0.88 | ヒノキ | 上層木=昭和23年(1948)、下層木=昭和62年(1987) |
上68 下29 |
林齢:苗木を植栽した年度を1年生とし、以後、2年生、3年生と数える。
この森林は、宇和島市の水道水源池の上流にある国有林で、この地域を代表するスギ・ ヒノキの複層林となっており、水源のかん養と水質保全を目的として、生活に欠かせない豊かな水の供給や山崩れ防止等の水土保全の機能を 高度に発揮させるよう取り扱っています。
名称 | 面積 |
植栽年(西暦) |
林齢(年) |
若山国有林2041林班 | 4.77ha |
上木:嘉永3年(1850年) 下木:昭和60年(1985年) |
上木:166 下木:31 |
若山2014林班の遠景 |
若山2014林班の林内 |
林野庁では、平成12年4月に次世代への財産として残すべく、国有林内の代表的な巨樹・巨木を「森の巨人たち百選」として選定しました。四国森林管理局管内では、7本の巨人たちが選定され、愛媛森林管理署管内には久万高原町猪伏山国有林77林班い小班内のトチノキが選定されています。
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猪伏の大トチ幹周=626cm樹高=30m樹齢=約600年 |
地元産業の振興や生活・文化・保健休養の場の提供等に、積極的に応えるとともに、個人や団体等と契約を結び、伐採時に収益を分け合う分収造林等の制度にも取り組んでいます。
区分 | 件数 | 面積(ha) | 備考 |
---|---|---|---|
道路敷 農耕・放牧採草地 電気通信事業用地 ダム・堰堤敷 鉱業用地 森林空間総合用地 その他 |
41 10 81 7 1 78 100 |
66.73 160.40 14.18 4.45 0.08 77.73 10.52 |
電柱1,474本 |
貸付地計 |
318 |
334.09 |
|
分収造林 |
101 |
795.06 |
|
分収育林 |
33 |
223.91 |
契約口数1,303口 |
計 |
452 |
1,353.06 |
「(財)ニッセイ緑の財団」による多様な森づくりや市民参加の森づくりの取組に対し、「 ニッセイの森」として、2箇所(約6ha)の分収造林契約を結び、フィールドを提供しています。
荒廃山地の復旧整備を行う「復旧治山事業」やダム上流等の重要な水源地域において、森林の造成を行う「保安林整備事業」など、国有林における水源の涵養、生活環境の保全・形成等を図るための「国有林直轄治山事業」を行っています。
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地域材を利用した治山ダム |
保安林整備事業による間伐 |
国有林では、「国民の森林」としての管理経営を行っており、国有林野事業に対する理解と協力を得られるよう、国民の要請等に基づいた各種取組を実施しています。
地方自治体、関係機関等と連携し林業体験や森林教室等の森林環境教育の推進に努めています。
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滑床山山開き(木工教室) |
自然と遊ぼうDAY(森林教室) |
自主的な森林整備等の活動に対し、フィールドの提供や必要な技術指導により支援する「ふれあいの森」制度に基づく協定を締結し、保育間伐や植樹、自然観察会等の活動を行っています。
協定相手方:滑床千年の森をつくる会・約5ha
協定相手方:愛媛県・約53ha
愛媛森林管理署
ダイヤルイン:089-924-0550
FAX:089-924-0598