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(社)ガールスカウト日本連盟千葉県支部
千葉地区協議会会長高瀬誠子
千葉森林管理事務所主幹(指導普及)永野みちる
はじめに
国有林における「国民参加の森づくり」については、当所では「21世紀を担う子供達に森林・林業を理解してもらう」をテーマとして参加者を求めていた。時同じくして「自然の尊とさや環境問題」を学習する野外活動の場所を求めていたガールスカウトと出会った。両者の目的が合致し、(社)国土緑化推進機構「緑の募金公募事業」の支援を受け、国有林に1.45haの「ガールスカウトの森」を設定、事業を開始したところである。
ガールスカウトが奮闘した地拵、植付、下刈等、生き生きした姿や声等を紹介し、今後の事業の進め方について考察したい。
少女と若い女性のための世界最大の社会教育運動で、1910 年にイギリスで始まり、現在は世界140 カ国、1,000 万人の会員が活動している。
同年代で年齢の1、2歳離れた少女が小グループを組んで、または団単位で活動し、さまざまな体験を通じて生きる知恵を身につける。
少女一人ひとりが個性を大切にし、自ら考え、身の周りや地域の事から良くしていこうと「自己啓発」「人とのまじわり」「自然と共に」を三つのテーマとして活動を計画実行している。
ア | 自己啓発 | 自分の可能性を発見し、主体的に生きる力を身につける |
---|---|---|
イ | 人とのまじわり | 地球規模の視野に立ち、共に行動できる人になる |
ウ | 自然と共に | 自然との調和を学び、豊かな情緒を養う |
千葉地区協議会(千葉市内)には約800 人の会員が所属し「自然と共に」をテーマとしてはキャンプをはじめ、植樹祭、田植え、稲刈り、収穫祭などを行っている。
今後更に多くの少女たちに自然の尊さ、環境問題に対する関心を深めてもらうため、一時的な植樹体験に留まらず伐採跡地の地拵から植樹、
保育作業など森づくりのための一連の作業を体験していくことが必要である。
この事業を通して森づくりの大切さ、林業への理解、森林の役割・大切さ、自然観察、樹木の成長など通じて自然の力・生命の力など学習したい。
管理事務所の対応として、事業の説明、助成金制度「緑の募金公募事業」の説明、作業内容、計画書の作成指示等を行い、12年10月27日現地視察会を実施した。
装備の斡旋、スカウトはヘルメットや腰鉈、腰鋸等を購入した。13年1月12日協定締結、1月17日地拵が開始された。
実施期間(実施日) | 内容 | 参加者(人) | 当所職員 |
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平成12年10月17日 | 現地視察会 | 10 | 7 |
平成13年1月12日 | 協定締結 | ||
1月~4月 | 地拵(5回) | 延べ200 | 延べ6 |
4月28日 | 植付(植樹祭) | 350 | 8 |
6月~9月 | 下刈(4回) | 延べ200 | 延べ4 |
9月30日 | 紐替作業/森林教室(紙芝居) 自然素材を使ったクラフト教室 |
90 | 2 |
11月29日 | 森は友達!作文コンクール提出 | 62 | |
平成14年2月2日 | 森林教室(役員・リーダー) ビデオ学習/意見交換 |
27 | 2 |
地拵作業前の打ち合わせ | 奮闘するガールスカウト |
地拵は、現地での作業方法や安全作業の検討会を行い、1月から4月にかけて、中学生高校生も含む延べ200人のガールスカウトや支援ボランティア等が協力しあい、1.45ha の地拵を成し遂げた。
4月28日植樹祭を開催。ガールスカウトは「グリーンフェステバル」と称し、平成9年から5回目を数えた植樹祭となっている。
開会式表彰されるローソン関係者
整列する子供達
「ガールスカウトの森」は緑の募金公募事業の助成金でガールスカウトが森林整備を行う。この「緑の募金」は全国47都道府県のコンビニエンスストアーローソンの店舗を通じて多くの市民から出資いただいた寄付金である。植樹祭にはローソン関係者、国土緑化推進機構等の来賓、ガールスカウトの支援ボランティア他、インターネットホームページで開催を知った市民も参加し350人が参加した。
スギの苗いい香り |
急斜面もなんのその! |
大きくなった雑草にビックリ | 手鎌を使って下草刈 |
紐替作業9月30日
紙芝居「森林は大切なんだね!」
ドングリ、マツボックリなどを飾って
自然素材を使ったクラフト
弟2団ブラウニー(2年生)泉田真莉菜 |
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私はガールスカウトの森に、植樹祭に、木を植えにいきました。8本植えました。山は高かったです。いろんな団がいました。てっぺんには行けませんでした。 山には木がいっぱいありました。山は、すごく暑かったです。植えたのはスギの木です。いい匂いでした。リーダーは穴を掘りました。私は土をかけました。 ミツバとドクダミとサンショウとワラビがありました。ワラビは開き過ぎて食べられませんでした。 ミツバは家にもって帰りました。帰りは大変でした。山から下りるのが大変でした。 |
弟23団ジュニア(4年生)荒木えり |
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私は、2ヶ月前に植えた木がある山の下草刈にいきました。山に着いて見上げたら、植えた木が見えないほど、下草がたくさん生えていました。 まやはさみを使って下草刈はとても大変でした。トゲのある草や匂いの強い草がありました。 家の近くにいる蝶やミミズよりも、倍の大きさの蝶やミミズがいました。下草刈が終わって、家に帰って、森林はなぜ、大切なのか不思議に思って調べてみました。 調べた結果?よごれた空気をきれいに変えてくれるから。?動物の住かや食べ物をあたえてくれるから。?大雨の時に洪水を防いだり川の水を調整する緑のダムの役目。 以上の事で、森林がとても大切だということが分かりました。私たちが植えた木々も大きく育って、森林の役に立つとよいと思いました。 |
弟2団ジュニア(6年生)佐々木彩花 |
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植樹祭に行って木を植えました。すごい坂道の山になっていて、行動するのが大変でした。スギの木を植えました。 1本植えると次の木を、取りに行くことが、遠くて大変でした。その日はよく晴れていたので、とても暑く、疲れて歩けなくて、休んだりしながらやりました。 「お昼だよ~」という声がして、嬉しくて急いで下りていきました。とても働いたのでその時のご飯はいつもより美味しく感じました。 木を植えるのはとても大変だったけど楽しかったです。 60年後には、あんな小さなスギの木が立派になっていると思うので、その時がとても楽しみです。 これから雨のシャワーをあびたり、太陽の光をあびたりして、ぐんぐん育ってほしいなあ~と思います。 60年後は、私はもうおばあちゃんになっていると思うけど見にいけたら行きたいなあと思います。 |
役員・リーダーの森林教室
このように、子供達一人一人の目には私達には感じられなくなった様々な風景もたくさん写っていた。
2月2日には役員・リーダーによる森林教室が行われた。安全作業(上下作業や逆足、支手の注意、刃物の使い方)下刈、つる切り、除伐等の保育作業、また「間伐をなぜ行うのか」地球温暖化防止の為「木材を使う意義」など管理事務所が用意した資料の説明やビデオを熱役員・リーダーの森林教室心に学習した。この様な学習を定期的に開催したいこと。各団の子供達を対象に実施したいこと。またスカウトの森以外で、下刈の次に必要な作業。つる切や除伐、保育間伐など作業体験をプログラムに組んでほしいこと、などを要望としている。
以上、紹介したとおり、ガールスカウトは意欲的に森林整備を実行し、かつ森林・林業の必要性を積極的に学んでいる。
こちら側からの一つの問題提起を契機に、そこから何本もの枝を伸ばす様に興味や問題意識が広がっていく。
ガールスカウトの目的を冒頭に紹介したが、野外での実体験に伴う、生きた教育プログムを必要としている。これに添う森林教室の充実を今後も更に図っていく必要がる。
ガールスカウトの森づくりは県内の新聞 「千葉日報(右」県広報誌「青少年ちば」 などに掲載された。
県内各地域でも、里山保全や人工林の整備の森林ボランティアが結成され、こうした記事が地域のメディァが取り上げ、森林・林業に対する問題意識が広がっている。
千葉県緑化推進委員会のホームページでは県内の森林ボランティア7団体の活動を紹介している。
また千葉県と共同で「みどりのボランティア」を結成し、推進委員会が事務局を担い、県内の会員を募集している。
森林整備の実践活動や、知識・技術の向上を図るため、研修会・講習会を行っている。
今回ガールスカウトと当所が結びついた直接のきっかけには、千葉市内の里山で活躍している森林ボランティア「千葉市森林づくりの会」の存在がある。
この様な森林ボランティアや、緑化推進委員会、県、市町村、林業関係団体と情報交換や連携を図り、国有林での林業体験の機会を「ガールスカウトの森」に限らず、市民に提供して参りたい。
森林ボランティアは、自らが森林整備を行いながら、その作業で汗をかきながら、森を良くしていく。
と同時に、社会にたいして市民が市民に「森づくりの大切さ」をその行動により広げていく市民運動であると思料する。
「国民参加の森づくり」当所ではガールスカウトと結びつくことからスタートした。
この様な森林ボランティアと連携して、林業の大切さが少しずつ社会に広がっていくことを確信して積極的に推進していきたいと考えている。
元気に森づくり!森遊び!グリーンフェスティバル(PDF:553KB)