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高尾森林ふれあい推進センター「緑の質問Boxの回答」

 Q1どうして森林は世話をしないといけないのですか?

A 森林は、家を建てる材料や紙の原料となる木材を生産し、水を蓄え、洪水や山崩れを防ぎ、空気をきれいにするなど私たちの生活の中で大変役に立っています。
これらの森林の役割を十分に発揮させるには、病気にかかりにくく、害虫からの被害や雪・風の害を受けない健全な森林づくりが必要です。
このため、裸の山には木を植え、植えた木の成長を邪魔する雑草は刈り払い、クズなどのつる植物や自然に生えてきた雑木を切り、大きくなった木と木が互いの生長の妨げとならぬよう木を間引く等の手助けをしなければなりません。

 Q2一度に何本くらい育てるのですか?

A 一度に1ha当たり2,500~6,000本位の苗木を植えます。植える本数は、スギやヒノキ、アカマツなど木の種類、作りたい材の目的(例えば、柱になる木を作る、板になる木を作るなど)、植える場所の日の当たり方、道路からの距離などをよく考えて決めます。木を植えた後には、下刈り、つる切り、除伐、間伐などの山の仕事を行って元気で大きな木を作る山づくりをしますが、時にはシカに皮を剥がされたり、病気にかかったり、雪の重みに耐えられなくなって枯れてしまう木もあり、木を切る頃(50年以上)には1ha当たり700~800本位になります。

 Q3人工林で育てられる木で多いのは何ですか?

A 人工林は、主に私たちが生活の中で使う木材を生産するために作られます。このため、家を建てる材料となること、育てる人々にとっては比較的短期間で育てられること、高い収入が得られることから、スギ・ヒノキが主に育てられています。
スギは、まっすぐ上に伸び、とても大きくなり、軽く、頑丈で長持ちする上に、縦に割れやすいので板にしやすい性質を持っています。一方、ヒノキは、頑丈で長持ちするほか、見た目にはきれいな木肌をしているため、建築材、器具材、彫刻用等に用いられます。
ちなみに、法隆寺のヒノキの柱は、1000年以上たっていると言われています。

 Q4天然林の方が育てるのは大変なことですか?

A 天然林は、まわりの木から落ちたり、鳥が運んできたりしたタネが自然に発芽し、自然の力で育つ森林で、育てるのは大変ではありません。だから、天然林は土地や環境に適した木で構成されますが、全ての天然林が木材生産や土砂の流出を防止する機能等をもつ森林になるには時間がかかります。このため、新芽が伸びやすいようにササを刈ったり、巻きついたつるを切ったり、病気の木を切ったりする必要があります。

 Q5林業の悩みは何ですか?

A 作業をしている人達の年齢が高くなっています。いつまでも仕事ができるわけではないので、人数もどんどん減っています。
林業も産業ですから木を伐って収入を得ています。しかし、木の値段が上がりません。日本は今、外国から木を輸入しています。外国の木の方が、日本の木より値段が安いのです。
木を伐っても収入が少ないので、山を育てるためのお金が足りなくなっています。
人間が生活していくためには、木が必要です。外国の木を伐りすぎて砂漠みたいになっては困ります。

 Q6人の手が加えられない森林があるのですか?

A 森林は、いろいろな生物が関わりあって暮らしています。カビやキノコ、コケ、草、昆虫、鳥、ウサギなどの草食動物やキツネなどの肉食動物。植物の種類、動物の種類もたくさんあります。そのたくさんの生物を絶滅させないことは、とても大切なことです。
また、今は発見されていなくても、将来研究が進んで、例えばガンの特効薬など人間に有効な成分が発見されるかもしれません。
人間が手を加えることによって心ならずも貴重な生物を絶滅させてしまうかもしれません。でも人間が生活するためには木材も必要です。だから、最近は人間が手を加えずに森林で暮らす生物を保護する森林と人間が利用する森林を区別しようという考えが進められています。

 Q7自分で育てた木を伐るときに、なんとなく悲しくはないのですか?

A お父さんやお母さんは、子供が成長して独立するときは、ちょっぴり悲しいけど、いっぱい祝福してくれると思います。
それと同じように木を育てるときは、「草やツルに負けるな、病気になるな、元気に立派に育て。」という思いで育てます。そして、その木を伐るときは、「よくここまで無事に育ったな。立派に育ったな。私のもとから旅立って行くけど、行った先で家になるかもしれないし、家具になるかもしれない。紙になるかもしれない。いずれにしても、立派に役割を果たして役立ってくれよ。」と晴れがましい気持ちで送り出してあげます。

 Q8除伐された木はどうなりますか?

A 除伐作業は、木を植えてから大体8年くらいたってから行います。
除伐木は、苗木と競争するくらいの大きさなので、まだそれほど大きくありません。直径2~3cmくらいの大きさの木がほとんどです。この大きさの木では木材として利用するには少し小さすぎるため、伐られた後は、造林地にそのまま放置されます。それらの木は、土に分解されて、苗木の養分になります。

 Q9木が1本倒れたらどうなるのですか?

A 人工林の場合、最初は1ha当たり3,000~3,500本を植えて、除伐や間伐をして最終的には700~800本くらいになりますから、1本倒れたからといって、1本植えるということはありません。
天然林の場合は、1本倒れることによって、それまでその木に遮られて太陽の光が届かなかった幼い木に光が届くようになって、その木が育つことができるようになります。そして、倒れた木は無駄にはなりません。生物のすみかになったり、虫やキノコなどによって分解されて、植物の栄養分になります。

 Q10森は毎日世話をしないと死んでしまうのですか?

A そんなことはありません。学校の花壇でも、雨が降れば毎日水をあげなくても草花は枯れないのと同じように、山に水をあげるのは自然に降ってくる雨なのです。木は、それぞれ根を大きく張って水や養分等を吸収しています。小さい間は、草を刈ってあげたりしますが、ほとんどの山が1年に1~2度の世話をするだけです。それでも木は元気に育ちます。

 Q11雪や雨の日も仕事をするのですか?

A 山の仕事は、雪や雨でも行われますが、天候の悪い日は、(1)足下が滑りやすい、(2)霧等で視界が悪い、(3)強風で枝や木が折れる、(4)土砂崩れで林道が通れなくなること等があるため、危険が予測される日は作業を中止します。また、山で仕事をする人は、天気予報を毎日聞き、急な天気の変化にも対応できるように、雲の流れや気温の変化に気を配っています。また、台風等の後には森林や林道の被害状況を調べ、対策を講じています。

 Q12雨や雪の日は、どんな服装で仕事をしていますか?

A 雨や雪で濡れた体が冷えると、手が滑ったり疲れやすくなるため、災害が発生しやすくなります。林内では、木の枝などがたくさん出ていて、傘を差して歩くことはできないため、手首・足首・上着の裾が締め付けられるようになっており、汗をかいても乾きやすい加工が施された雨合羽を着ます。靴は滑りにくいように底にスパイクがついており、又、上の隙間から雨水が入らないように覆いのついたタイプの長靴を履きます。

 Q13林業で悲しいことはなんですか?

A 火事や台風や雪などで、一生懸命育てた山が被害を受けることです。幼い木が鹿などに食べられてしまうこともあります。
この中で、一番悲しいと思うことは山火事です。これは、人間の不注意によるものですから、防ぐことができるのです。山でタバコを吸ってポイと捨ててしまう、焚き火をして完全に消さないでいなくなってしまう、これだけで山は灰になってしまいます。近くに家があったら燃えてしまうことがあります。
山火事が起こらないよう1人1人が気をつけてほしいと思います。

 Q14高尾山で、木を切ったために起こった災害はありますか?
その時、周辺の住宅などは、どのような被害をうけたのですか?

A 木を切ったために起こった災害は、ありません。
高尾山の国有林は人工林と天然林があります。
天然林は、森林生態系からなる自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存などのため、人が手を加えずに、自然の推移にまかせて保存していく森林で、原則として木を切り倒すことを禁止しています。(禁伐)
人工林は、景観の維持などを考慮し、伐採の際に樹木を抜き切りし、何本か残したところに新しい苗木を植え付ける方法(複層林施業という)を行っています。
複層林施業は、従来のいっせいに切って(皆伐)、そのあとに苗木を植える方法(単層林施業)は、切る面積が大きすぎると土砂くずれなどで山を荒らす原因になったり、森林が気象の変化に弱かったり、病気や虫の害におかされたりなどの欠点を防ぎ、森林のさまざまなかくれたはたらきを維持することが出来ます。
このように高尾山の国有林は、景観の維持はもとより、生態的にも安定して美しい森にデザインされています。
森林を木を切ったために起こった災害でなく、昭和61年3月に湿気をふくんだ重いボタ雪が大量に降ったため、雪の重みで、木が折れたり、曲がったりする被害がでました。
高尾山の国有林を守るために働く人たちは、毎日のように森に入り、森林が、昆虫、動物、病気、気象の害などにあっていないかどうかを調べます。
被害にあって枯れたり、倒れたり、折れたりした木により民家に被害が発生しないように、また、森林浴、ハイキング、植物観察、バードウォッチングなどで訪れた人たちがけがをしないようにするために、切り倒したり、整理を行います。

 Q15高尾山の木々を守るために、毎日、毎月、毎年やっている事なんですか?それは何回やるのですか?

A 森林は、私たちの生活に欠かすことのできない木材を生産するはたらきのほかにも、様々なかくれたはたらきをしています。
たとえば大雨が降ったときなど、洪水を防ぎ、表土や土砂が流れ出すのを防ぐはたらきや、森林内の木々や土に水を貯えるはたらき、空気をきれいにしたり騒音を防ぐはたらき、強い風から家や農地を守るはたらきなど、私たちの生活を陰からささえてくれています。また、動植物のすみかや生育の場となったり、レクリェーションの場として私たちにやすらぎやいこいをあたえてくれるなど、たくさんのはたらきをしています。
しかし、森林は、人手をかけないでほうっておくと、災害にあって、荒れてしまうことが多く、それがもとの姿にもどるまでには、大変長い年月がかかります。
木は小さな苗木が大きく育って、切るまで50~60年ぐらいかかります。その間には、さまざまな手入れが必要です。周りの雑草を刈り払い、まきついたツルをとり、下枝を刈り払うなどの作業を続けて守り育てて行くことが大切です。ですが森林は、農作物のように、いつも手入れをしなければならないというわけではありません。苗木を植えてから10年から15年ぐらいまでが、いちばん手がかかります。
高尾山の木々をまもるためのさまざまな手入れは、管轄の東京神奈川森林管理署高尾森林事務所の山で働く人たちが年間業務計画に沿って定期的に森に入り、行っています。

 Q16ハチに刺されないようにするには、どうしたらよいですか?

A ハチが巣作り、子育てで一番活発に活動している時期の7~10月の間にはハチも攻撃的になります。
巣に近づくか、巣に触れない限りは攻撃はしてこないのですが、山の下刈り作業中はうっかりということがあります。
ハチに刺されないようにするために、地下たびや長靴を履き、白い長袖シャツにゴムびきの厚手の軍手をはめ防虫網を着用します。
林内には、ペットボトルの中にハチを誘いこみ、溺死させるための誘引剤(酒、酢、砂糖を混合したもの)が入った誘引器をを木に取りつけています。

 Q17山の管理で困ることはどんなことですか?

A 一番困っていることは、ゴミの問題です。
山にはゴミ箱がありません。なぜかというと「人の出したゴミは、その人が責任をもって持ち帰る。」これが自然と付き合うルールだからです。
落葉や動物の死骸などは、他の生物が食べたり、分解して土にかえしたりして、自然の中で片付けますが、人間が出すゴミは自然の力では分解できないものもあります。
だから、自分で出したゴミは自分で片付ける、またゴミを見つけたら、なるべく拾うようにすることが大切なのです。

 Q18山の仕事で、たいへんなことは何ですか?

A 山で仕事をすることはたいへんなことです。急な斜面で、木を植えたり、下草を刈ったりしなくてはなりません。最近は、道ができて仕事をする場所の近くまで車で行くことができるようになりましたが、それでも道から仕事をする場所まで歩いていかなければなりません。
また、夏の暑い日でもケガ等から身を守るため、長袖・長ズボンで仕事をします。さらにハチに刺されないように、防虫網という網をかぶりますから、とても暑くてたいへんです。
急な斜面で、鎌やチェーンソー等の刃物を使ったりする仕事で、危険がいっぱいなので、安全には注意が必要です。

 Q19林業作業中、事故で亡くなった方はいらしゃいますか?

A 木を伐ったり、伐った木を森から運び出したりする作業は、機械を使って行いますが、木を伐っている時、風の影響で人のいる方に倒れてきたり、伐った木が何かのひょうしに突然動いて人が下敷きになったりで亡くなった人もいます。また、急な斜面の狭い歩道を歩いていて、転落して亡くなった人もいます。
このように林業の作業は、天候、地形などの厳しい自然環境の中で行われている場合が多く、災害をおこさないためには、仕事の手順とか正しい動作を守り、安全に心掛けて作業をしています。

 Q20秋になると、どうして紅葉するのですか?

A 紅葉は落葉と深い関係にあります。
紅葉というのは、葉が老化したために起こる現象です。秋になり、だんだん気温が下がってくると、休眠の準備として根からの吸水量を減らすとともに葉からの水分の蒸散をさせないようにするために、葉柄の元にコルク質の膜(離層)を作り葉を落とすのです。紅葉の色の違いは、離層が出来てからは水分の補給が出来ないが、葉の中に残された水分を使って光合成を行い、作られた糖が少ない葉は、もともとの葉の中にある黄色の色素が浮かび上がって見えてくるため黄葉となり、作られる糖が多い葉は、糖が夜間の急冷によって変化して赤色の色素となり紅葉となります。

 Q21食べたあとの残ったクルミの殻から食べ主がわかりますか?

A 絶えず伸び続ける頑丈な門歯をもっているリスは、隆起線(もり上がった部分)にそって堅い殻を削り、半分に割って中身を食べることができるほどの力があるので、きれいに真っ二つ割れた堅い殻が転がっていたらリスが食べたのです。体の小さなネズミたちにはとてもこのまねはできません。ネズミの食べたクルミの殻には、隆起線をまたいだ丸い穴が、片側または両側にあいています。こんな殻が1カ所にかたまっていたら、それはアカネズミの食事のあとです。小柄なヒメネズミは、堅い殻は歯がたちません。

 Q22木の実・ドングリのできる木は何ですか?

A 木の実は、木になるタネのことで、全ての木(種類)にできます。ドングリは、ブナ科という種類の木にできる木の実のことをいいます。ドングリのできる木は世界中には600種類、日本では約20種類あるといわれています。
ドングリは、茶色でかさをかぶっていますが他のタネは外にむきだしのものや、マツカサのようにかさの間にタネが入っているものもあります。また、形は種類によって丸いもの、小さいものなどがあり、色は赤、黄、茶などです。

 Q23花粉症の原因といわれているスギ花粉が多いのは、いつなのですか。

A 飛散するスギ花粉量は前年の夏の気象条件に大きな影響を受けます。
7月から8月にかけての期間に、日射量が多く、気温が高く、雨が少ない“から梅雨”、猛暑になると翌年の花粉が多くなります。
花粉がいつ頃から飛び始めるかは、1月から2月の気温の状況によって変化します。
1月の気温が高いと花粉は早く飛び始め、寒い冬の場合は遅くなります。冬の気温の状況によって、花粉の飛び始める時期は1ヶ月くらい変化します。日本列島でスギの花粉が早く飛び始めるのは九州と東海地方の一部で、スギの花粉前線は関東までは10日~20日で北上します。東北地方は3月に入ってからのことが多いようです。

 Q24スギの実はどうしてにおいがつよいのですか。

A 植物には、虫やカビ、病原菌などから植物自体を守ったり、逆に虫などを引き付けたり、人間の体を元気にしたりする成分をがあり、においもその成分のひとつです。においの成分を木からとり出し、液体にしたものを精油といいます。
精油は、木の種類によって含まれている量が違います。量が多いのは、針葉樹では、トドマツ、ネズコ、スギ、ニオイヒバ、ヒノキなど、広葉樹ではクスノキ(服の防虫剤に使われる樟脳がとれる)、ヤブニッケイ(シナモンの原料)などです。
ちなみに、スギの葉はお墓参りをするときなどに使う線香の材料です。

 Q25どうして植物の葉っぱは緑色なのですか。

A 植物の葉っぱは、太陽の光を吸収して、根から吸い上げた水や空気中の二酸化炭素から自分の身体を作る働きをしています。この働きを光合成といいますが、葉っぱの中にある葉緑素(クロロフィル)という物質が行っています。
太陽の光には目に見える色で、虹の7色がありますが、葉緑素はこの内の赤色と青色の光の部分を利用して光合成を行います。このため、利用されない緑色の光は吸収されずに私たちの目にはそのまま届きます。それで葉っぱが緑色に見えるのです。

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