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津軽森林管理署

平成27年度労働災害防止協議会の開催について

  平成27年11月4日(水曜日)に五所川原労働基準監督署と林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部の共催を得て、鰺ヶ沢町種里地区農村集会所と鰺ヶ沢町小森町字笠置山国有林内において労働災害防止協議会を開催しました。

  当日は、この時期には珍しく暖かく、好天にも恵まれ、参加事業体15社24名、関係者29名、総勢53名が参加し、現在実行中の製品生産事業現場で、主に車両系木材伐出機械などの林業機械と現場作業者が作業連携を行う場合の合図・待避の確認、立入禁止場所の確認などについて、林業・木材製造業労働災害防止協会青森支部からの現地指導、その後、場所を種里地区農村集会所に移し、五所川原労働基準監督署から「労働災害の発生状況等について」、また、林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部から「林業・木材製造業労働災害防止規程の変更について」の講話、意見交換を行い、今後も安全管理体制をしっかりと確立し、安全意識の高揚を図り、労働災害を発生させないように努力することを約束して閉会しました。

  開催内容は次のとおりです。 

 

開会 

  はじめに、協議会の開催にあたり津軽森林管理署長より、「津軽森林管理署では昨年度労働災害ゼロを達成したところであるが、今年度は既に1件発生している。全国的には10月までに重大災害が3件と昨年度よりも減少しているものの、東北森林管理局管内で2件発生しており、憂慮すべき状況となっている。また、東北森林管理局管内の労働災害も昨日まで18件の災害が発生し、今後、降雪前の作業の追い込み時期となり、労働災害も多くなることを非常に危惧している。本日の労働災害防止協議会を基に、今一度、安全管理体制の確立を強化し、安全意識の高揚を図り、労働災害の防止をお願いしたい。」と挨拶がありました。

 

 

津軽署長開催挨拶   津軽森林管理署長からの挨拶の様子です。
 開会セレモニー

 参加事業体  15社  24名

  関係者                     29名

  合計                          53名の参加です。

 

今回の協議会を当署管内で事業実行中の事業体に案内したところ、ほぼ全社から参加をいただきました。感謝しております。

 

 

 

現地指導

  続いて、現地指導に移ります。

  今回の現地指導は、車両系木材伐出機械などの林業機械と現場作業者が連携で作業を行った場合の合図・待避の確認、立入禁止場所の確認などに主眼を置き、伐倒、木寄せ、玉切り、集積などを実際に作業していただき、林業・木材製造業労働災害防止協会青森支部から指導をいただきながら、「労働安全衛生規則」など法令の確認、実際の現場で行っている合図などについて参加者全員で意見交換を行い、働く者全ての安全意識を高めることを目的にしております。

 

 

伐倒方向よし

伐倒方向の決定基準始めにチェンソーによる伐倒作業についてです。

チェンソーによる伐倒作業での労働災害は、かかり木の処理に係るもの、蔓がらみによるもの、不十分な待避によるものが多い状況です。

それらを防ぐためには、伐倒作業に入る前に伐倒木の周囲の確認と整理、待避路の確保、伐倒木の状況を確認し伐倒方向決めることが大切です。

写真は伐倒木の周囲を整理して、退避路の確保を行い、伐倒木の状況(傾斜、枝の付き具合、周囲の支障となる木などを確認)を確認して伐倒方向を決めているところです。

 

 

追い口切り

受け口切り次に伐倒予告の合図を行い、伐倒方向に向けて受け口切りを行います。受け口切りが終了したら、もう一度受け口が伐倒方向を向いているか確認し、追い口切りの伐倒予告合図を行い、受け口の反対側から追い口を切っていきます。

写真は受け口切りを終え、追い口を切っている状況です。

 

伐倒作業の際の合図は呼笛により行っていました。

・伐倒予告合図(受け口切り前)    ピー・ピー  (2回)

・伐倒予告合図(追い口切り前)   ピー・ピー・ピー  (3回)

・伐倒終了合図(伐倒木が倒れ安定を確認後)  ピー  (長く1回)

 

くさびによる伐倒

追い口切りチェンソーによる追い口切りは、受け口に平行につるをきちんと残すことが重要で、追い口切りの途中で、チェンソーが挟まれないように、また、伐倒方向を確実にするためにくさびを2本以上打ち込みます。

写真はチェンソーによる追い口切りを終え、くさびを打ち込んで伐倒する作業です。伐倒木が傾き始めたら早急にあらかじめ準備していた待避場所に退避します。

 

林災防から講評

伐倒作業終了後、一連の伐倒作業について林業・木材製造業労働災害防止協会青森支部より「今回の作業は手順・合図とも法令等が守られており、このような作業をしていただくと伐倒作業に係る労働災害も減少すると思います。」と講評をいただきました。

また、伐倒作業における災害事例についてもお話があり、同じ作業を繰り返すことによって慣れが生じ、どうしても手を抜いたり、集中力がなくなったりする、こういう時に災害が発生する危険が増すことになる。と指導をいただきました。

フェラバンチャによる伐倒

次に伐倒木の木寄作業から玉切り作業、丸太の集積作業を高性能林業機械と現場作業者が連携して行う作業です。

当日は高性能林業機械のフェラバンチャザウルスロボが配置されていましたので、作業道の作設作業を仮定して、フェラバンチャザウルスロボによる伐倒から木寄せ、チェンソーによる玉切り、フェラバンチャザウルスロボによる丸太の集積作業を行いました。

連携作業では、機械運転手と現場作業者との合図の確認と退避が重要になります。

写真はフェラバンチャザウルスロボによる支障木の伐倒です。

機械による伐倒作業時の立入禁止区域は運転席から伐倒木の高さの2倍以上を半径とする円の範囲内となっており、立入禁止区域内に作業者等がいないか確認し作業開始合図をして作業を行います。

 

 

チェンソー造材

伐倒後フェラバンチャザウルスロボにより、集材路の側に木寄せを行い造材します。

林業機械の合図はクラクションにより行いますが、エンジンをスタートする時、走行する時、旋回する時などあらゆる場面で合図します。周囲に機械の存在を示しながら作業を行うことになります。

木寄せ後、機械を造材場所から安全な場所に離し、完全に停止させた後に合図をし、チェンソーによる造材作業が始まります。

はい積み木寄せ

造材作業終了後、フェラバンチャザウルスロボによる木寄せ、はい積みを行います。

現場作業者は立入禁止区域外に退避します。

はい積み・木寄せ作業時の立入禁止区域は機械の運転席からブーム・アームを伸ばした距離の2倍以上を半径とした円の範囲内となっております。

林災防林業機械説明

木寄せ・はい積み作業終了後に、林業・木材製造業労働災害防止協会青森支部より高性能林業機械を使用する際の注意点などについて説明がありました。また、出席者より昨年改正された「労働安全衛生規則」についての質問が出され、回答していただきました。

 監督署長講評

 現地指導の最後に五所川原労働基準監督署長より講評をいただきました。

五所川原労働基準監督署長からは

・労働災害を無くすためには、労働災害は絶対起こさないという意思を持って、現場作業者の指導をしなければならない。

・同じ作業を続けていると、徐々に手を抜いたり、集中力がなくなってくる、作業者の行動にも気を配り指導しなければならばい。

・労働安全衛生規則は作業者の安全を確保するためにある規則であり、面倒だから守らないでは到底許されるものではない、万が一災害が発生し、調査した結果、労働安全衛生規則が守られていない状況が確認された場合には、相当の罰則が科せられることを肝に銘じ、現場作業班に労働安全衛生規則の大切さについて厳しく指導しなければならない。

と指導があり、参加者の皆さんも気が引き締まったように感じました。

 

 労働災害防止協議会の開催

 午後からは、種里地区農村集会所に場所を移し「労働災害防止協議会」を開催しました。

協議会の内容については次のとおりです

講義

  

労働基準監督署講義

はじめに「労働災害の発生状況について」と題して五所川原労働基準監督署長より講義をいただきました。

五所川原労働基準監督署からはこれまでの林業に係る災害発生状況を分析した結果に基づいた、労働災害の現状と課題について様々な視点から説明されました。内容を簡単にまとめさせていただきました。

  • 五所川原労働基準監督署の管内では林業における労働災害の発生件数が昨年より増加傾向にある。
  • 林業の労働災害を型別でみると「飛来、落下」「激突され」が圧倒的に多く、かかり木の不適切な処理が原因であることが多い。
  • また、青森労働局管内の過去10年の林業に係る死亡事故の型別、起因別で見ても「激突され」が多く伐倒作業時に起こっているものと考えられる。
  • 昨年、労働安全衛生規則が改正され、各事業体も対応しているものと思うが、車両系木材伐出機械作業計画書の提出と合わせて地形等調査報告書も提出することになっているが、提出されていない、またきちんと調査していないような事例が見られる改善されたい。
  • 11月1日から平成27年度冬期労働災害防止運動が実施されている。冬期間の災害で一番多いのは転倒や墜落によるものであり、原因の排除や防止対策を徹底していただきたい。
  • 安全な作業には健康管理も大切である、定期的な健康診断実施後の措置として、医師からの意見を聴取し、必要があると認められた場合は適切な措置を講じなければなりません。

労働安全の確保には使用者が安全についていかに本気で取り組むかが重要である、会社全体で安全に取り組む雰囲気を作り、時には厳しい対応も必要であると考えさせられました。 

林災防講義風景

 次に、林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部より「林業・木材製造業労働災害防止規程の変更について」の講義をいただきました。

 講義は「林業・木材製造行労働災害防止規程の変更」のみならず、これまでいろいろな現場を点検した結果から、実際に現場で起こりそうな災害事例や不安全行動について実例を交えて説明がありました。内容について簡単にまとめてみました。

  • 規程の改正は労働安全衛生規則に則した変更のほか、リスクアセスメントの普及定着、熱中症予防の強化、チェンソー防護衣の着用の義務化、アドレナリンの自己注射器の携行についての義務化が新設された。
  • 林業の労働災害で被災者となった者には中高年者、経験豊かな方の災害が多いように感じる。
  • これまでの経験が変なプライドとなっているようにも感じられる。
  • かかり木の処理についも、恥ずかしいので自分で処理しようとあびせ倒しや、かかられた木に手を付けてしまったりと、不適切な処理により災害となってしまう。
  • 伐倒時の合図についても、動作により方法が決まっていたり、合図するタイミングも決まっているのに、とりあえず吹いてればいいというようなのが多い、普段から合図をしていないのがすぐわかる。
  • 後継者の指導をしなければならない立場でありながら、誤った見本となってしまい残念である。
  • 労働災害の発生する率が林業が他の業種に比べてずば抜けて高い、いろいろな要因はあると思うが、これを何とかしなければ後継者も増えず、業として成り立たなくなる、とにかく災害を減らしたい。

と様々な現場を点検してきた経験からの講義で、事業体の皆さんも共感してるように感じました。

これで講義は終了となります。

 

意見交換

 

先崎林業 弘前森林組合 三林興商 つがる森林組合

天徳林産 白川林産 三浦産業 外崎林業

青い森国土保全 石川組 富士建設 菅原工務店

折谷組 渡辺建設 三上建材

 各事業体からは次のような感想・意見をいただきました。

 

  • ヘッドガードは保護フィルムでも可能か 
  • 現地の機械の合図と連携について非常に参考になった。 
  • 安全等の看板を設置してるが、現在の表示内容で良いか。 
  • 作業計画について現場が変更となった場合の届け出と表示について教えていただきたい。 
  • 健康診断結果に基づく再検診などは個人負担となるので強制できないのではないか。 
  • 自己注射器の携行が義務付けとなるが、費用はどのくらいとなるのか。 
  • 走行集材機械の安全教育はどのようにしたらいいのか。 
  • 現場の表示、作業手順について非常に参考になった。
  • 当社では玉切り作業の安全対策として盤台を設置している。
  • 林災防に安全指導などをお願いできるのか。
  • 建設現場では指差呼称を行い安全確認をしている、林業の現場でも行うべきだと思う、防護衣の義務化は参考になった。
  • 通常の作業時に不安全作業を気づかないことが重大だと思う、安全作業の周知、教育が必要。
  • ハチ刺され災害の防止に誘因捕殺というものをやっているようだが、どのようなものか。
  • ヘッドガードの強度の基準はあるのか。
  • 作業時の危険木の処理の手続きを明確にしてもらいたい、リスクアセスメントの方法などの周知が必要ではないか。 

 

 など、多数の意見や質問が出されました。

 

林災防回答 

  各事業体からの質問について、林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部より、今後の周知方法なども含め、今後検討が必要なもの、具体的な対策方法については、改めて周知を図りたいと回答がありました。

最後に、津軽森林管理署長より

  • 労働安全の確保には、我々行政と、使用者、作業者が一体となり安全活動を進めていくことが非常に大切であり、常日頃から各機関が情報を共有し、一体となった安全活動を実行していきたい。
  • 改正された「林業・木材製造行労働災害防止規程」については、各現場で確実に実行できるように、労働基準監督署、林災防、当署も協力していきたいと考えているので、各事業体で検討しながら確実に実行していただきたい。
  • 今後、当署では各事業体の安全点検を行う予定をしているので、協力を願いたい。

 

 と意見集約を行い、今後も労働災害防止のために、実効性のある安全活動を行い、今年度の残り数ヶ月を無災害で終了することを約束して「平成27年度労働災害防止協議会を終了しました。

 

終わりに

 平成27年度労働災害防止協議会を開催するにあたり、五所川原労働基準監督署及び林業・木材製造業労働災害防止協会青森県支部の皆様に多大なるご協力を賜り、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

 津軽森林管理署では、昨年度請負事業体等の皆様のご協力も賜り無災害を達成しましたが、今年度、開始早々に一歩間違うと重大災害になり得た労働災害が発生してしまいました。昨年度無災害ということで少し気の緩みがあったのではないかと反省し、それ以降無災害を継続しているところです。

五所川原労働基準監督署長から、労働災害を無くするためには、使用者が先頭になり、現場も一体となり本気になって法令等の遵守、積極的な安全活動を行う必要がある。と指導をいただいたところです。

  今後もそのことを肝に銘じ、実効性のある安全活動進めてまいりますので、引き続き各方面からのご協力をお願いいたします。

 

 

お問い合わせ先

津軽森林管理署 
ダイヤルイン:0172-27-2800
FAX:0172-27-0733

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