岩手・宮城内陸地震に起因した山地災害の復旧対策担当者研修会の概要

震災復興について

• 震災後、住民の80％が耕英に戻ってきている。20％は通勤農業している。8軒の別荘所有者も戻ってきた。これからは、我々が多く人を呼び寄せ、復興から発展へとつなげていきたい。そのためには、住民が喜んで長く住めるような地域にならなければならない。
• 工事が進めば安全・安心が増す。現在は工事車両も多く入ってきているが、工事車両がなくなったときには、安全・安心が増した証明になる。

地震発生直後の初動体制について

• レーザープロファイラ、衛星写真等は初期対応に十分生かせる。国土地理院では地震発生3日後にインターネットで被災後の写真を公開していた。どのような機関でどのような情報が出しているか整理していくことも重要。
• 行政側では、地震直後の対応について二次災害に対して実務的に集中される状況にある。地震後の時間経過とともに、どのような所で崩落、新規崩壊及び拡大崩壊が起きるのかデータが集まってきていると思うので、今後災害が発生したときの初動体制に生かしていただきたい。

復旧対策について

• 工事の進め方において、死亡事故ゼロは素晴らしい安全管理。
• 荒砥沢地すべりの安定解析におけるφの設定については、新たな試験方法について考える必要がある。
• 地震発生後5年間は突然崩落することがある。地形的な特徴があり、ほぼ垂直に近い地形でオーバーハングの下側に亀裂があれば注意が必要。凝灰質等の堆積岩系の中に膨張性の粘土などが入っていると、そういうところが開いていく。被災地域についても注意すべき箇所を抽出しておいてモニタリングしておく必要がある。

復旧対策の検証について

• 今後、モニタリングをすることにより、新しい治山計画、技術基準につなげて欲しい。侵食されやすい地質の中で、谷止工で効果的であったか、そうでなかったかを誘因分析を何年後か先に行っていただきたい。
• 荒砥沢の自然に委ねるエリア等は、うまくいけば低コストの緑化工法につながる可能性が高いのではないか。また、多くの新技術が使われているのでフォローも必要と考える。

関係機関の連携について

• 磐井川の市野々原地区の地すべり対策工事を進める上で、国土交通省をはじめ関係機関と十分な意見交換が出来たことは良かった。
• 特に、岩手県、一関市の職員の方たちが地元の調整を含めて橋渡ししてくれたため円滑に工事を進めることができた。

地域の防災体制・防災教育について

• 岩手県奥州市胆沢区では自主防災組織の比率が17％から地震後50％を超える比率になってきている。災害を契機に防災に関心が高まっているのを維持して欲しい。
• 来年度から小学5年の社会科では自然災害の防止についてウェートが高くなる。今回の事例等を含めて防災意識を喚起するような努力を続けていただきたい。

                                           現地視察：岩手県コース                                                                                                                現地視察：宮城県コース

                                                   意見交換会