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岩手南部森林管理署遠野支署森林官紹介!(平成28年12月)「地域の宝 早池峰山」森林官(大迫担当区) 今川 善一 大迫森林事務所は、岩手県のほぼ中央部に位置する花巻市大迫町内に事務所を置き、旧大迫町の国有林約4,900haを管轄しています。 管内の東側は遠野市の境に接し北側は早池峰山から西に連なる中岳・鶏頭山・毛無森の稜線につながる山岳地帯ですが、西側は旧石鳥谷町の境に接し比較的傾斜の緩やかな丘陵地帯となっています。 当地域は、ブドウ栽培や畜産業も盛んで、ワインや乳製品も製造されていますが何と言っても観光の目玉は管轄区域の北東部に位置し岩手県で2番目の高さを誇る早池峰山(1,917m)です。
毎年、6月の第2日曜日に開催される早池峰山の山開きには多くの登山愛好家が集まりますが、山頂で行われる安全祈願祭に早池峰岳神楽が奉納されるため、これを目当てに登山する人も多くいます。 早池峰山は、古来「東根嶽」と呼ばれ山岳信仰の霊場として人々の信仰を集めてきた山で、修験者によって伝えられてきた大償神楽(おおつぐないかぐら)や岳神楽(たけかぐら)は早池峰岳神楽とも呼ばれ、現在も脈々と地域に引き継がれており、大迫町の重要な観光資源にもなっています。
早池峰山には今年初めて登りましたが、2つびっくりしたことがありました。一つ目は稜線の南北でその景観が全く違うことでした、稜線の北側(宮古市側)は比較的森林に覆われていましたが、南側(花巻市・遠野市側)は急峻で森林限界から上部は蛇紋岩からなる巨岩・奇岩が連続し所々にハイマツ等の群落が見られる位で対照的な光景でした。 巨岩・奇岩の狭間には、ハヤチネウスユキソウ、ナンブトラノオ等の固有種やそれに準ずる高山植物が多数生育しているはずなのですが、時期が早かったせいか見ることが出来ませんでした、それでも山頂にむかう途中ミヤマキンバイ・ミヤマオダマキを観察することが出来ました。 二つ目は、早池峰山の南に対峙する薬師岳が裾野から緑で覆われており、早池峰山との植生の違いが明瞭であることでした。早池峰山は蛇紋岩の山で薬師岳は花崗岩の山、それぞれが独自の森林植物群落を形成しており、「早池峰山及び薬師岳の高山帯・森林植物群落」として特別天然記念物に指定されたのも納得しました。
このように豊かな自然環境を守るため、岩手南部森林管理署遠野支署では関係機関と連携し早池峰地域において移入植物の駆除作業を行っています。 移入植物は繁殖力が高く、高山植物を駆逐する可能性もあることから、登山道に向かう幹線道路沿いのセイヨウタンポポ・オオバコ・オオハンゴンソウの駆除を行っています。特にオオハンゴンソウは、地上部を刈り取っても残った地下茎や根から再生するため根元を掘り起こして根こそぎ取らなければならないため大変な作業となりますが、この豊かな自然環境を後世の残すため積極的に参加しているところです。 最後になりますが、今年の5月26日の大雨により花巻市側の登山口となっている河原の坊コースが山頂近くで崩落を起こし、市が通行止めの措置を行っています、県等の調査によると崩壊源頭部には不安定な土石が残っており、復旧の見通しも立たない状況となっておりますのでコースには絶対に立ち入らないようお願いします。
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